生薬名 |
牽牛子(けんごし) |
基 原 |
ヒルガオ科 Convolvulaceae 牽牛 Ipomoea hederacea
Jacq.
の成熟種子を乾燥したもの。黒色のものを黒丑、白色のものを白丑という(日本では黒牽牛子・白牽牛子という)。一般には黒いものをよく用いる(日本では製薬上仕上がりの色から白牽牛子が喜ばれる。成分は変わらない。)が、現在は多くの薬店で黒白を区別しないで用いている。 |
性 味 |
味は苦、性は寒。有毒。(帰経:肺・腎・大腸経) |
主成分 |
pharbitin 約2%(樹脂配糖体で、牽牛子脂ともいう)・脂肪油約11%など |
薬理作用 |
瀉水逐飲・消腫散結
瀉下作用・利尿作用・殺虫作用 |
臨床応用 |
主として逐水消腫に用いるが、腹部膨満・便秘などの裏実証をともなう水腫で、体力があまり衰弱していないときだけに適用する。
- 肝硬変の腹水に用いる。
- 腎性水腫に用いる。慢性腎炎の腎変性期の水腫には、黒丑30〜60g(成人量)に他の逐水薬・温腎薬を配合して用いる。
このほか、便秘・舌の小紅斑・口が苦い・黄苔・尿が濃いなどの症状がある回虫症にも用いる。他の駆回方剤に黒丑を加えて用いてもよいが、慎重に用いる必要がある。
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用量 |
常用量は粉剤では1.5〜5gで、場合によっては12〜15gまで用いる。湯剤には24〜30gまで用いてもよい。 |
使用上の注意 |
- 逐水消腫に用いるときには、攻補兼施(水腫があって体が衰弱しているような邪実正虚のときには、攻下または補益単独では、効果がないので、両法を同時に用いて正気を保護しながら邪気をのぞくことをいう。補気瀉下と滋陰瀉下の2法がある。)するか攻後即補(衰弱の程度が少ないときに、攻下法を用いて邪実の症状を除いたあとすぐに補益法をほどこすこと。)する。虚弱者・老人・妊婦には禁忌である。また、腹部膨満がないとき・便秘していないときには使用しない方がよい。
- 牽牛子は常用量では中毒を生じないが、量が多すぎると(児童に30g以上用いるなど)神経症状・血尿・粘血便・激しい腹痛・嘔吐などの中毒症状が出現する。
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