生薬名 |
膠飴(こうい) |
基 原 |
糯米(もちごめ)粉・粳(うるち)米粉・小麦粉に麦芽を加えて加工製成した飴糖
Saccharum granorum |
性 味 |
味は甘、性は微温。(帰経:脾・肺・胃経) |
主成分 |
麦芽糖・少量のタンパク質 |
薬理作用 |
補中緩痛・潤肺止咳
滋養強壮・健胃作用がある |
臨床応用 |
- おさえると痛みが減少する(喜按)腹痛・空腹時痛・食べると痛みが減る・味覚がうすい・熱い飲食物を好む・唾液が多い・舌湿淡紅・脈弦緩あるいは沈遅などの虚寒(陽虚のために生じた寒象のこと。)の症状に用いる。消化性潰瘍・慢性胃炎・腸管癒着などによく見られる。
- 乾咳・無痰・声が低く小さい・動くと息切れする・呼気が長いなどの肺虚の症状に用いる。慢性気管支炎・肺結核などによく見られる。
このほか民間では、稲ののぎを食べてしまったときに膠飴を頻回に食べると、胃腸を保護し、稲ののぎを排出する助けになるとされている。また、烏頭・附子などの中毒には膠飴を服用すると解毒の補助になる。
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用量 |
湯剤には1日量15〜60gをとかし2〜3回に分けて服用する。 |
使用上の注意 |
- 膠飴は非常に甘いため、腹部膨満を生じやすく、多量に服用すると嘔吐をおこすので、腹部膨満・悪心・嘔吐などに症状があるときには使用しない。泥状便・歯痛などにも使用しない方がよい。
- 膠飴・密糖(蜂密)・紅糖(黒砂糖)・氷砂糖・白砂糖の比較:
膠飴は補中益気の力があるので、温補剤に配合して使用する。
蜂蜜の味は甘、性は平で、潤肺潤腸の力がある。燥咳・便秘に、清熱滋潤薬か瀉下薬を配合してしよう使用する。
黒砂糖の味は甘、性は温で、産後の虚寒による咳嗽に使用する。清熱解毒の力もある(利尿作用に関連すると考えられる)ので、湿熱による下痢に用いる。
白砂糖は嘔吐をおこしやすい(動風)ので薬として使うことは少なく、たまに風熱による咳嗽に用いるぐらいである。氷砂糖は清熱滋潤の力があるので虚弱な者の咳嗽に用いるとよい。
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