生薬名 |
石斛(せっこく) |
基 原 |
ラン科 Orchidaceae 細葉石斛 Dendrobium hancockii
Rolfe、金釵石斛 D. nobile Lindl.
(コウキセッコク)の新鮮な茎あるいは乾燥したもの。広東省産のものは銅皮石斛
D. crispulum K. Kimura et Migo
(キバナドウヒセッコク)と鶏爪蘭 D. Kwantungense
Tso (シロバナドウヒセッコク)である。 |
性 味 |
味は甘、性は微寒。(帰経:肺・胃・腎経) |
主成分 |
dendrobine C16H25O2N
・粘液質・デンプンなど |
薬理作用 |
生津益胃・滋陰潤肺
解熱・止渇・制吐作用がある。
解熱・鎮痛作用、健胃作用 |
臨床応用 |
胃陰を滋養するために常用薬である。
- 発熱性疾患による脱水(熱病傷津)には、石斛の清涼滋潤の効能を利用して、解熱し・胃陰を滋潤する。とくに発熱性疾患の後期で、熱感・微寒・視力減退・口渇・筋肉や関節が痛だるい・舌乾紅・脈軟数無力・症状が夜間に増悪するなどのとき(営分証)に使用することが多い。
温熱病(初期から熱象だけをあらわす発熱性疾患でたとえば日本脳炎などでみられる。)の初期で、発熱・口渇・煩渇・舌紅などの症状があらわれたとき(気分証)に用いる。
- 胃陰虚による虚熱の症状があるときに最も適している。慢性胃炎などで、食欲不振・食べるとすぐに吐く・ときどき乾嘔する・舌質は深紅・光剥無苔(舌苔が完全に剥落して味蕾が消失したような舌象で、鏡面舌ともいう。)などの症状に、石斛で胃熱をさまし・胃陰を滋潤する。
胃熱(実熱)のときには、飢餓感・多食・上腹部の不快感・るい痩・口乾・舌が燥く・口渇・多飲・口臭・口が苦い・歯鹹の腫脹・出血・舌質紅・舌苔が黄でザラザラする・脈は滑数などの症状があらわれる(消渇証で見られるが、一部は糖尿病である)。
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用量 |
6〜12g。湯剤にする方がよい。 |
使用上の注意 |
- 石斛は種類が多いが、性質・効能は大同小異である。肉厚で・茎が太く・色沢が黄潤のものがよい。鮮石斛は清熱の力が強いので温熱病に使用する。小環釵石斛は生津解熱の力が強く、滋潤するが消化機能を障害しないので、陰虚による煩熱に使用する。
- 石斛は清熱滋潤の性質があり、清熱と補益を同時に行うので、陰虚で熱象のあるときに最も適している。陰虚でも熱象のないとき、舌苔が厚膩・腹が脹るなどの実熱証には使用しない。
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生薬画像 |
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