生薬名 |
石膏(せっこう) |
基 原 |
含水硫酸カルシウム鉱石 Gypsum |
性 味 |
味は甘・辛、性は大寒。(帰経:肺・胃経) |
主成分 |
生石膏は含水硫酸カルシウム CaSO4・2H2O
を含む。 |
薬理作用 |
清熱瀉火・解渇・除煩
解熱作用・鎮静作用・消炎作用 |
臨床応用 |
主として裏熱に使用し、温熱病に対する主薬である。
- 気分証に使用する。肺炎・流行性脳脊髄膜炎・日本脳炎などの発熱性の感染症で、高熱・煩躁・煩渇・大汗・口乾・舌苔が黄・脈が洪大などの気分証には、解熱鎮静の石膏を使用する。意識障害・譫語・皮下出血などの営分証・血分証のときには、石膏を増量して用いる。
また、熱性疾患の経過に出現するひどい日哺潮熱(午後4〜6時頃になるとあらわれる発熱)には、とくに石膏を使用するのがよい。熱性疾患による細胞内の脱水のためいくら水を飲んでも止まない口渇(煩渇という)にも、石膏を使用すれば効果がある。作用機序は不明である。このほか、脳膜炎による高熱・頭痛にも効果がある。
- 温熱病の後期で、胸が苦しい・口渇・水を飲みたがる・舌湿が紅・舌苔が少ない・脈は虚数などの余熱が残っている症状があるときには、余熱をさます石膏を用いる。
- インフルエンザなどの重症の外感病が進行して、口渇・煩躁などの裏熱証があらわれたときに使用する。この場合には解表薬だけでは十分に効果がないので、石膏を加える必要がある。
また、肺熱による咳嗽・呼吸困難・口渇・高熱などには、石膏で肺熱さます。年長の児童の麻疹で、高熱・煩躁などの激しい反応があるときにも、透疹薬を基礎に石膏を加える。
- 歯周炎・歯鹹炎・口内炎などの胃熱(火)の症状に使用する。
- 産後の熱感・煩躁・悪心・嘔吐・乳汁が出ないあるいは少ないなどの熱象には、生石膏を用いる。過去には、産後は温法を用いるべきで、石膏を使用しない方がよいとされていたが、弁証が正確で配合が適当でさえあれば使用してもよい。
- 熱象に外用する。生石膏の粉末を創面に塗布すると、冷感があって痛みが止まる。
このほか、高血圧症にも使用するが、体質が強壮で頭痛・便秘・胸があつ苦しいなどの熱象があるときだけ適用する。
軽度の浮腫で、悪寒・頭痛などの表寒証とともに口渇・胸があつ苦しい・尿が濃いなどの裏熱証が見られるときには、石膏と麻黄を配合して解表と清裏熱を同時に行うことによって利水し、浮腫を除く。 |
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用量 |
比重が重いので大量用いるべきで、少量では無効である。内服には少なくとも20〜30g使用する。温熱病の実熱にはとくに大量で、成人で60〜120g・幼児でも30gぐらい必要である。一般の清熱消炎にはやや少量でよい。 |
使用上の注意 |
- 石膏は実熱だけに用いる。一般に、虚弱体質・慢性疾患・消耗性疾患には投与してはならない。使用しなければならないときには、人参か党参を加えて補益調整する必要がある。
- 砕いて20分位先に煎じる。
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生薬画像 |
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