生薬名 |
丹参(たんじん) |
基 原 |
シソ科 Labiatae 丹参 Salvia miltiorrhiza Bge.
(タンジン)の根を乾燥したもの |
性 味 |
味は苦、性は微寒。(帰経:心・心包経) |
主成分 |
tanshinone A C18H12O3
・ tanshinone B C19H18O3
・ tanshinone C C19H20O3。色素の主成分は
C19H20O3
である。ビタミンEも含む。 |
薬理作用 |
活血去オ・涼血・養血安神
血管拡張・血管下降作用、抗菌作用
臨床的には、鎮静・精神安定・鎮痛などの作用がある。 |
臨床応用 |
- 冠不全による疼痛に、丹参のオ血を除去し・血管を拡張する作用を利用する。
また、心筋梗塞の救急治療に丹参注射液の点滴静注が有効であるという報告がある。心電図の心筋虚血の所見が急速に改善し、血中脂質が低下する症例もある。
- 気滞血オによる月経困難症・月経痛・産後の悪露停滞・オ血による疼痛には、単味の粉末(すなわち丹参散)を1回6gずつ陳酒(永年貯蔵した酒)かぬるま湯で沖服する。
- 神経衰弱で、動悸・不眠・煩躁・不安などの心血虚の症状があるときには、丹参12gを水煎して朝夕に分けて服用する。
- 肝欝による脇痛に使用する。慢性肝炎や肝硬変初期で肝脾腫大・肝機能障害のあるときに、丹参の去オの効能を利用する。急性伝染性肝炎に丹参を利用する人もいるが、結局は肝疾患の慢性期にもっとも適している。
- 軽症の血栓性静脈炎に使用する。
- 高血圧症に、丹参の鎮静作用を利用する。
|
用量 |
活血去オには6〜15g、大量で15〜30g。静脈炎には30〜60g。 |
使用上の注意 |
- 古人は、丹参はオ血を除去し・新血を生じ・行血し・養血するので、“丹参一味で、四物湯と同じ効果がある”と称賛している。しかしながら、これは過大評価であって、実際には丹参と四物湯は活血去オの効能は似ているが、四物湯には活血と同じに補血の効能があり、丹参には補血の力はない。
- 丹参の薬性はおだやかではあるが、出血時間・プロトロンビン時間の延長を生じる症例もあるので、出血性疾患の患者には用いない方がよい。
- 習慣的に藜芦との配合は禁忌である。
|