生薬名 |
天麻(てんま) |
基 原 |
神農本草経の上品に収載。ラン科 Orchidaceae
天麻 Gastrodia elata Bl.
(オニノヤガラ)の塊茎を乾燥したもの。 |
性 味 |
味は甘、性は微温。(帰経:肝経) |
主成分 |
vanillyl alcohol ・ vanillin
・配糖体・粘液質・微量のビタミンA類物質 |
薬理作用 |
去風鎮痙・通絡止痛
鎮静・鎮痛作用、抗痙攣作用 |
臨床応用 |
眩暈・頭痛に対する主薬である。性質は微温であるが、発散にも滋補にもかたよっていないので、適当に配合すれば外風・内風のいずれにも使用出来る。
- 眩暈、とくに肝風内動による眩暈に効果がある。古人は経験的に、“眼虚して頭旋し、虚風内におこれば、天麻にあらざれば除くことあたわず’と述べている。現在、天麻を高血圧症・メニエル病・脳動脈硬化症・虚弱体質の眩暈などに使用して一定の効果を得ている。
血虚による眩暈感には、一般に補血を主として天麻は少量にし、天麻の温燥の性質により傷陰することのないようにすべきである。どうしても使用する必要があっても、補血剤に加えるだけにして、4〜5回服用したらすぐに中止すべきである。
- 頭痛、とくに肝風や痰湿による偏頭痛に効果がある。
- 湿象が顕著な痺証で、四肢のしびれ・運動障害があるものに用いる。
- 筋肉攣縮に、他の熄風鎮痙薬を配合して用いる。
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用量 |
3〜9g |
使用上の注意 |
- 釣藤鈎との比較:両者の効能はほぼ同じで、頭痛・眩暈に効果があり、併用することが多い。釣藤鈎は甘寒であるから、熱象のために生じた内風にもとづく頭痛・眩暈に、天麻は甘温で燥の性質があるから、痰湿をともなう風寒による頭痛・眩暈に効果がある。
- 天麻がないときには下記のような組み合わせで代用する。@白疾黎加釣藤鈎。A川きゅう加きょう活、あるいは川きゅう加きょう活・何首烏・防風。B土天麻
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生薬画像 |
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