■民間薬解説
 

ヒオウギ
- Belamcandea Rhizoma -


 

ヒオウギはアヤメ科の多年草で、高さは1mほどになります。
日本では、本州以南、そして朝鮮半島、中国の山地や草地に自生します。
ヒオウギは「檜扇」と書きます。
剣状の葉が重なり合った様子が、平安時代の貴族が用いた檜扇に似ていることに由来します。
葉は平らで、長さが30〜40cm、幅は3cmほどで、白っぽい緑色をしており、茎の下部に扇形に並んでいます。
ヒオウギは夏の花で、幾つにも枝分かれした茎の先にオレンジ色の花をつけます。
花の直径は約5cmで、暗赤色の班があります。
果実の中には、球形で光沢のある漆黒色の種子があります。
その色を鳥の羽の色に見立てて、鳥羽玉(ウバタマ)と称しました。
ウバタマは射干玉(ヌバタマ)とも言い、黒・夜・闇・夢などの枕詞です。
ヒオウギ
広く帰化している北アメリカでも、種子の色から、ブラックベリー・リリーと呼ばれています。
ヒオウギの漢名は射干(ヤカン)といい、根茎を掘り取り、日干しにしたものを薬用とします。
扁桃腺やこれに伴うのどの痛み、または咳止め・去痰に用います。

 


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