■民間薬解説
 

ナツメ


 

ナツメは、落葉性の小高木で高さ10m程になります。
葉はなめらかで光沢のある卵形をしており、縁には鋸歯があります。
花期は初夏で黄緑色の小さな花が葉腋に集まって開きます。
秋になると緑色をした楕円形の果実をつけ、熟すと暗赤色となります。
原産地は、欧州南部・アジア西南部で、中国には多くの栽培種が存在します。
日本にも奈良時代には、すでに渡来していたらしく、万葉集の歌の中にその名が認められ、 延喜式にも各地から献上された記録が残されています。
古代中国では、桃、李、杏、棗、栗を「五果」と呼び、重要な果物としてきました。
特になつめの果実は糖などの栄養分を多く含み、ビタミンC含量も高いことから、 中国の北方地域においては、なつめは栗とともに救荒食として栽培が重視されていました。
決明子漢方ではナツメの果実を蒸してから乾燥させたものを「大棗(たいそう)」と呼びます。
大棗は強壮、炎症緩和、利尿などの効能を有し、 様々な漢方処方に高頻度で用いられています。
頂背部のこわばりを伴う風に繁用される葛根湯においては、 大棗は体を緩解・滋養し、甘草とともに筋肉の痙攣をやわらげる重要な役割を果たしています。

 


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