■民間薬解説
 

ネコヤナギ


 

ネコヤナギは、川沿いに生えるヤナギの代表的な種類です。
高さは2〜3mになる枝の多い落葉低木で、枝が立ち上がる型と横に伸びる型があります。
葉は長楕円形で、若葉の両面に絹毛があります。
分布は広く北海道から九州、そして東アジアまでの渓流の水辺などに野生します。
春まだ浅いころ、葉に先立ってふくよかでやわらかな銀白色の尾状の花序(花穂、かすい)をつけます。
ネコヤナギの名は、この花穂に密生する絹のような毛を猫の毛に見立てたもので、独特の雰囲気が好まれ、春の生け花の花剤によく使われます。
世界に400種あるヤナギの仲間の薬効は、古くから知られていました。
中国の古典には、ヤナギの枝で作った楊枝を歯痛に使うとの記載があります。
医祖ヒポクラテスは、ヤナギの樹皮を解熱・鎮痛に用い、ギリシャ本草書ディオスコリデスの薬物書にも「ヤナギの葉を砕いて少量の胡椒とブドウ酒と共に服用させると、疝痛にくるシム患者によく効く」とあります。
有効成分は、ヤナギ科植物の樹皮に多くふくまれるサリシンという配糖体です。
この物質が世界で最も多く使われている医薬品、「アスピリン」の母体となった物質であることはよく知られています。

 


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