肝の生理機能
○肝は疏泄(そせつ)を主(つかさど)る

疏泄とは、滞らず伸びやかであることを指します。主とは管理、コントロールするという意味です。肝は気(エネルギー)の流通をよくし、情緒を安定させ、胆汁の分泌と排泄を調節します。気の流通がよいと内臓の働きや血液循環が順調に活動します。肝の疏泄作用が順調であれば精神は安定します。逆に過度や長期のストレスは肝の疏泄機能を失調させる原因となりイライラや情緒不安定を起こさせます。胆汁は肝で作られ胆のうへ送られます。

○肝は血を蔵す。

肝は血流調整を行い、休息時には血液を肝に集め、活動時には必要とする器官へ血液を送る働きがあります。貧血や女性の生理不順や無月経などは肝の造血作用と関連する場合が多いようです。

○肝は筋を主り、その華は爪にあり、目に開きゅうする

筋とは骨についている腱・筋膜・じん帯などを指します。肝は血を筋に送り、正常な機能を保つようにします。このため、肝血が不足すると筋は十分な栄養を受けることができずにケイレン、しびれ、ひきつけなどを起こします。また、肝血の状態は爪や目にも反映されます。
肝血が不足すると爪が薄くなる、もろくなる、目の疲れ、かすみ、視力減退、乾燥感、しみる、などの症状が現れます。