第143回(2004年4月24日)

思い出ベンチ

 「二人,平凡に生きる」 三上道雄・秀子

 「全力で翔けぬけた鮮やかな人生,ありがとう」 石井一成

 これは日比谷公園の「思い出ベンチ」に刻まれていた文章と、それを書いた人の名前である。

 先日、有楽町に所用があって出かけたとき、時間に余裕があったので一つ手前の霞ヶ関で降り、日比谷公園の中を歩いてみた。

というのは、近所のハナミズキが満開になっていたので、日比谷公園のハナミズキも見事に咲いているのではないかと期待し、そのハナミズキを観たいと思ったからである。

 霞ヶ関側より公園に入ると、ハナミズキが十数本あって、白い花が咲いていたが、どの木も元気なく、まばらな花だった。
ハナミズキにとって東京の真ん中は環境が厳しすぎるようである。

期待はずれにがっかりして遊歩道を歩いていくと、公園の東側の遊歩道に、新しいベンチが数十個もずらっと並んでいるのが見えた。
どのベンチにも長さ15センチぐらいの銘板が打ち付けてあって、「思い出ベンチ」刻印され、冒頭のような短い文章が刻んであった。

 このベンチは以前テレビで紹介された事があって思い出したが、都が公園にベンチを寄付してもらい、寄付者の名前とその人の短い文章を刻んだ銘板をベンチに取り付けたものである。

 調べてみると、「思い出を記したベンチを公園に作りませんか」と都が日比谷公園と井の頭公園に各100基募集したところ、両方とも早々に満杯になるほどの人気だったという。

 この種のベンチはイギリスでは以前からあったそうだが、日本では初めての試みで、この3月に両公園に設置完了した。
費用は15万円と20万円があり、都はベンチの設置費用の節約となり、寄付者は自分の思いをベンチに託して公園に残すことになった。

 私も思い出ベンチに座ってみた。
ベンチには
 「パパ,ママ,何時までも仲良く元気でいてね。今までお世話になりました。そしてこれからもよろしく」 2004年嫁ぐ娘,友子より
 とあった。

 さて、私が思い出ベンチを置くとなるとどこになるであろうか。
私にとって此処だというところが思い浮かばない。

(写真は日比谷公園の思い出ベンチ。東京都のHPより)