第14回「浜風にのって」(2001年10月21日)

紅葉のカナダ(1)

 カナダの紅葉を見たいものと、まだ夏前の6月下旬、旅行社にツアーの予約をした。
 10月2日出発の「錦秋のケベック秋色紀行8日間」がそのツアーで、紅葉が盛りの頃、カナダ東部をバスで巡るものである。

 ところがアメリカでテロ事件が発生し、この事件があってから1週間ほどは全部のツアーが中止になった。
 再開された後も9月出発のツアーは無償でキャンセル出来ることになり、10月以降出発ツアーも国内旅行など他のツアーに振り替えれば、キャンセル料が要らないことになった。

 カナダ旅行を止めるか行くか大いに迷っていた。
 空港のチェックが厳しいので今ならテロが起きることもなく、どこも空いていて旅行チャンスだと言う人もいて、覚悟を決め予定通りカナダ旅行に行く決心をした。

   成田空港に集まった参加者をみると、添乗員1名を含め総勢20名。ツアーの定員40名が満員になったと聞いており、当初の申し込み者うち、20名以上がキャンセルしたようである。
 参加者の顔ぶれは年配の女性2人組と残りは私達と同じ年格好の夫婦連れであった。

 空港のチェックが厳しく、手荷物の爪切りや安全剃刀、小さなはさみまで没収されると聞いていたので、それなりの対応をしており、スムースに手荷物検査を通過した。
 その後も今までになくパスポートの提示を求められ、いつもと違っていたが、無事航空機の席に着いた。

 航空機は定員250名と少ないにもかかわらず、席はがらがらであった。同行の参加者のほとんどが3人席を1人で座り、ひじ掛けを起こして横になって、寝ながらの空の旅となった。

 シカゴで乗り継ぎ、カナダのモントリオールに18時間かかって4時過ぎに到着した。

 空港にバスが迎えに来ており、このバスがトイレつき50人乗りの大型バスで、これにわれわれ20人が2人掛けの席に1人ずつ座った。
 運転手は五歳の子供があるというやや太めの大声の女性で、この日から最後までカナダの旅につき合うことになった。

 最初の夜はモントリオール東部のリゾート地に泊まり、翌日からは5日間にわたって、セントローレンス川に沿った古い街並みと紅葉巡りである。(続)

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