12月の花屋は赤い花で華やかである。
シクラメンとポインセチア、シャコバサボテンの三種がその代表で、これらの花は白系統の花も少しは見られるが、赤い花が圧倒的に多い。
中でもポインセチアの赤は鮮やかで、他を圧倒している。
わが家でも小さなポインセチアの鉢植えを買って窓辺に飾り、シクラメンは小さな鉢を買って、ヘデラ(つた)と一緒に寄せ植えにした。
シャコバサボテンはこの時期に咲くことからクリスマス・カクタスとも呼ばれ、数年前に買ったものが今年も花をつけて、今が花盛りである。
シクラメンとポインセチアも買った株を、翌年も咲かそうと試みたがいつも失敗し、これらの花は買うしかない。
昭和50年ごろ、「シクラメンのかほ(お)り」という歌がはやった。
小椋佳作詞・作曲で、布施明が歌い、レコード大賞を取った歌である。
この歌を聴いたとき、シクラメンにどんな香りがあるのだろうかと思って、シクラメンの香りを何度かかいだことがあったが、どのシクラメンにも香りはなかった。
最近のテレビで、原種のシクラメンには香りがあり、香りのあるシクラメンも作られたと放送していたが、私はまだ、シクラメンの香りをかいだことはない。
小椋佳さんが作詞したころもシクラメンに香りはなかったはずで、それがどうして「シクラメンのかほり」なのだろうかと長年思っていたが、つい最近この疑問が氷解した。
「シクラメンのかほり」は「香り」とか「かおり」でないところにヒントがあり、「かほり」は小椋佳さんの愛妻「佳穂里(かほり)」さんだというのである。
「シクラメンのかほり」は「シクラメンのような佳穂里さん」という意味であり、歌詞の中のシクラメンは「佳穂里」と置き換えてもよい。
「シクラメンのかほり」は小椋佳さんの佳穂里さんへの賛歌だったのである。
無粋な私にはこんな解釈ができるはずもなかった。
♪真綿色したシクラメンほど清(す)がしい ものはないーーー。
でシクラメンのところを恋人なり奥さんの名前を入れて歌ってみれば、歌の情感がよく分かるはずであるが、私には到底その勇気はない。
(写真はわが家のシクラメンの寄せ植え)