第17回「浜風にのって」(2001年11月18日)

紅葉のカナダ(5)セントローレンス川

 セントローレンス川を大西洋から遡ってくると、川幅が狭まるところがあり、ここがケベック市である。
 我々がケベック市を観光した日、ここの港にはニューヨークから万トンクラスの豪華客船が停泊していた。川幅が狭いと言っても1`はあり、豪華客船が楽に通行出来るのである。

 モントリオールまでは大型船の通行が可能で、それから先は運河の開通により、五大湖まで9千トンまでの外航船の通行が可能になっている。
 セントローレンス川は昔も今もカナダの大動脈である。

 ケベック市から100`ほど川を下ってシャルルボアあたりに来ると、川幅が広くなって、対岸が見えなくなってくる。
 モントリオールから河口まで1650`で標高差が6bとのこと。水は緩やかに流れているのであろうが、見た目には流れているとは全然見えない。
 この川を見て日本人なら誰も川と思う人はいないのではなかろうか。まるで豊後水道か瀬戸内海で、違いは真水のためか、水の色が海水に比べて灰色がかって見えた。

 シャルルボアの北側からは海水が混じるようになり、鯨やイルカが棲息している。我々もホエールウオッチングの船に乗り込み、鯨を見に出かけた。
 船は200人ぐらいは乗れる大型船で、二階の甲板と一階の船室から鯨やイルカを眺めるようになっていて、ほぼ満員であった。

 船では女性がスピーカーで盛んに鯨やイルカのことを説明していたようだが、15分ぐらい走ったところで、なにやら大声で叫んだ。鯨が見えたようであるが私には見えなかった。
 私は二階の甲板から前方を凝視していると、黒い物が盛り上がってすぐ消えた。これが鯨であった。

 その後はこの鯨の丸まった背中を何度も、それも船から2、30bぐらいの近くに見ることができたが、尾ひれを出して跳ねるとか、潮を吹く姿は見えなかった。
 鯨はミンククジラかザトウクジラだそうで、体長は10bぐらいであろう。
 ここだけにしか見られないという白イルカが数匹一緒に泳いでいるのがよく見えた。

 鯨や白イルカが見えるのは6月から10月までで、冬になるとセントローレンス川は厚い氷で覆われる(終)

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