私の住んでいる地域は昭和40年頃より宅地開発が進められてきて、幹線道路には歩道があり、街路樹が植えられている。
イチョウ、ケヤキ、トウカエデ、プラタナス、ユリノキなどがその主なもので、何れも直径30aぐらいに育っている。
晩秋になると、これらの木が一斉に黄葉し、その中での主役はイチョウである。
黄葉した木の姿がきれいだし、歩道に降り積もった落ち葉は、黄色いじゅうたんを敷いたように鮮やかだ。
昨年、神宮外苑のイチョウ並木を見に行った。
黄葉の一番きれいなときで、左右に二列ずつ並んだイチョウの大木は絵画館に向かって収斂しているように見え、見事な眺めであった。
近所のイチョウも神宮外苑のように成長すればよいと思うのだが、これがそうはなりそうもない。歩道には電柱も同居していて、電柱の邪魔にならないようどの木も枝切りされるからである。
もう昔のことになるが、「日本のプラタナスはこぶだらけ」といったような新聞記事を読んだことがある。街路樹のプラタナスは高さ数bの所で毎年枝を切られ、そこから新しい枝を芽吹いて、その箇所がこぶのように膨らんでいるからである。
私はプラタナスとはこの様な木だと思っていた。
ある時、公園で自然のプラタナスを見たとき、同じ木とはとても思えなかった。
プラタナス独特の白い肌の幹をまっすぐに延ばして、途中から大きな枝を数本出し、高さ30bほどの大木であった。
新宿御苑には自然の姿のプラタナス並木があって、大きなアーチを作っている。
中国でもプラタナスの街路樹が多く、自然の樹型で道路を覆うように大きなトンネルを作っていた。
電線や電話線を地下溝に埋め電柱を無くすれば、街路樹の枝を自然に伸ばすことが出来る。10年か20年先には素晴らしい並木が出来ると思うのだが、現在の財政状況では当分望めないであろう。
師走に入ると、イチョウもケヤキもすっかり葉を落として裸の枝を見せて、その間に電線が交錯している。
春までにその枝の一部は切られ、街路樹は電線を邪魔しないよう共存するしかない。