第267回(2006年10月14日)

埴輪ルック


 10月も半ばになると、この間までのTシャツ姿がうそのように、すっかり秋の装いである。
 さすがに女性のヘソ出しスタイルは姿を消して、駅階段のカチカチというミュールの音もなくなった。


 秋になって新しい流行スタイルとか流行カラーがあるのかもしれないが、私にはそのあたりのことは分からない。


 新しいスタイルには気がつかなかったが、若い女性の埴輪(はにわ)ルックと呼ばれる服装が秋口に入ってちらほらと見られるようになった。 埴輪ルックとはスカートの下にパンツをはいた姿で、数年前から若い女性のファッションとなっている。


 年配者のために付け加えると、スカートの下にパンツをはくのは昔からのことで当たり前だと思われそうだが、ここで言うパンツはズボンのことである。
 スカートの下にズボンをはいたのが埴輪ルックである。


 教科書に出ていた埴輪の写真を思い出していただきたい。代表的な埴輪として、腰のあたりが細くなり、その下にスカートのように広がった衣装を着、その下にズボンを履いた埴輪がある(イラスト)。
 女性がスカートの下にパンツをはいた姿が、この埴輪を思わせることから埴輪ルックと呼ばれるようになった。


 元は10年ほど前、群馬の女高生がスカートの下ジャージーをはいたのが始まりだというが、正確なことは分からない。
 最初は防寒対策だったかもしれないが、現在は防寒対策などではなく、だれもがおしゃれとしての埴輪ルックである。


 スカートの下のパンツは足にぴったりしたジーンズが多かったように思うが、最近はひざ丈ぐらいのものが多いようだ。
 私が真冬にはくことがあるハーフサイズのもも引きに似たパンツをはき、その上にミニスカートをはいた若い女性が何人も横浜の街をさっそうと歩いていた。


 以前、冬の札幌に行ったとき、女高生がミニスカートにソックスで歩いているのを見て、こちらの方が震えの来る思いであった事を思い出す。
 北海道の知人の話によると、今も女高生は冬でもミニスカートだそうで、埴輪ルックにすればよいのにと思う。


 しかしながら、ミニスカートに男性の視線がゆくかぎり、女高生のミニスカートは冬でもなくならないのかもしれない。