一年前、エッセー集「定年からの青春」出版した。その顛末記である。
退職して自由時間が出来たのを機会に、通信教育でカルチャーセンターの文章講座を受講した。3年間、月1回エッセーの指導を受け、私のエッセーに対する評は次のようであった。
新聞を見ていると《誰もが本を出せる時代。本にしたい原稿お送り下さい。原稿を拝見してどのように出版出来るかお返事は半月ほどでOK》とあった。
早速、これまでのエッセーから面白そうなもの40数編を選んで、「定年からの青春」と題を付け、広告の出版社に送付した。この時はエッセーを本にする気はなく、エッセーの評価がどう出されるかに興味をがあったのである。
10日ほどして出版社から返事が届いた。
《読みやすい文体でユーモアもあり、魅力的な作品ということで、小社社長による検討の結果、Bタイプでの出版をお勧めする事になりました。ぜひ私どもに山下様のご本を出版させていただきたいと思います》
Bタイプ出版というのは、費用は著者持ちだが、初版の半分を出版社が預かり、全国の書店を通じて注文販売する。この為自費出版より費用が安く、売れたものについては3%の印税を払うということであった。
本を出すなんてまったく初めての経験で、この出版社がどのような会社かも知らないし、百万円を超える費用が高いか安いかも分からない。
妻は「最近の事を書いているので今本を出した方がいいんじゃない。歳とってからでは読んでもらえなのでは?」
私のエッセーは「すらすら読めるが感動が薄い」ということのようであった。時には「面白く書けています」「共感を呼びます」「笑いました」などと書かれているのもあって、少しはましなエッセーもあるのではないかと思っていた。
また、送ったエッセーは気に入っているものばかりではなく、もっと面白いものが揃った段階でも遅くないのではないかという気持ちもあった。
と言ってのけた。(続)
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