第30回「浜風にのって」(2002年2月9日)

「定年からの青春」てんまつ記(3)

 本を送ってから年末年始にかけて、わが家は大賑わいとなった。電話がかかり、手紙が届き、ワインや菓子などを送って来る人もいた。
 一部の人には出版社から本の紹介ダイレクトメールも出していて、書店を通して私の本を買ってくれた人もいた。この人達からも電話がかかったり、手紙をもらった。

 「一気に読みました」「意外な面を知りました」「毎日の生活が充実しているようで私も見習いたい」といった感想がたくさん寄せられた。
 「意外な面」については私がこの様なエッセーを書いたことに対して「意外」という人と、エッセーに出てくる私の毎日の生活が「意外」という人の二種類あったように思う。

 「面識のある人が書いたものは、面識のない人の書いたものよりずっと興味深い」ことなので、私の本に対して頂いた言葉はかなり割り引いて考えねばならない。
 そうだとしても、多くの方が好意的な評で、とても嬉しいことであった。
 この本を知り合いに見せたいので送って欲しいという話もきて、何冊か送ると、その代金や図書券などが届き、これもありがたいことであった。

 小学校からずっと私と同学年だった仲良し3人娘がいて、この3人も私の本を買って読んでくれていた。私が父の7回忌で帰省すると聞いて、3人が一席設けてくれた。
 私と同年とは思えない若々しい3人のマドンナと楽しく話が出来て、これこそまさに「定年からの青春」ではないか。
 この様な縁から八幡浜新聞にエッセーを書くことにもなり、本を出版した甲斐があったというものである。

 今年に入って、出版社あずかりになっていた本の報告がきた。これによると61冊が売れ、その印税は1922円で、税金を引いて1730円を送るというものであった。
 店頭に出ず、宣伝もなしで61冊も買ってもらったというべきか、61冊しか売れなかったというべきか。
 いずれにしても、身銭を切って本を買って頂いた方には感謝、感謝である。

 先日、印税の郵便振替証書が届いたが、これは換金しないで、記念にとっておこうかと思っている。(終)

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