第32回「浜風にのって」(2002年2月23日)

人体デッサン

 横浜美術館に併設して、「市民のアトリエ」がある。
 ここで市民を対象にした色々な美術講座が開かれていて、1月から「人体デッサン」の講座を受け始めた。

 毎週、金曜日の夕方6時より8時半までが講座の時間で、1月より3月までに11回講座が開かれる。  定員20名で、「人体デッサン」が講座名であるが、描くのはヌードデッサンである。

 今までにも絵画講座で何回もヌードデッサンをしており、ヌードだからといって、特別の期待を持って参加したわけではない。  ヌードデッサンは絵の勉強になるし、描いていて面白いからである。

 受講生は男性7名女性13名、ほとんどが50代から60代と思われる年齢で、金曜の夜と言う時間帯から勤め帰りと思われる若い女性も2名加わっていた。

 講座の進め方は、モデルを前にして、もっぱら描くだけである。
 それも5分、10分、20分と短い時間のポーズで、5分ポーズだと人体の大まかな形を描くのが精一杯、あっと言う間にポーズが終わってしまう。

 1回から3回までが女性ヌード、4、5回は男性ヌードであった。
 男性ヌードのデッサンも初めてではないが、男性ヌードを描くのは少しばかり気恥かしい気がしてならない。

 中高年が殆どとはいえ多くの女性に囲まれて裸になるのは、まるで自分の裸が見られているようで落ち着かないのである。  男性のモデルは平気なもので、堂々とポーズをとり、周りの女性達も変わった様子はない。

 以前の絵画講座で男性ヌードを描いたときのことである。2時間で1ポーズをじっくりとデッサンするやり方で、隣の女性の描いたデッサンを見てびっくりした。
 男性のその部分が実物通り精密に描かれていたのである。私の場合、女性ヌードも男性ヌードもその部分を描くときは遠慮がちになって細かくはとても描けない。

 私だけでなく、男性はヌードデッサンで女性男性の意識が強いのに対し、女性は女性ヌードでも男性ヌードでも、単なる物体としてしか感じていないのであろうか。

 男性ヌードが2回続いて、次回からは女性ヌードなので、気分良く安心してデッサンが出来そうである

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