今回の話は「七福神」の発音についてである。
「七福神」をまず口に出して読んで頂きたい。ふりがなをふってもらえばさらに好都合である。
子供が幼稚園に通っていた時のこと、先生から数の数え方が間違っていると言われた、と子供が母親に訴えた。
その間違いとは「七」を「ヒチ」と発音しており、正しくは「ヒチ」ではなくて「シチ」だというのである。
これを聞いて、私も数を数えてみると「七」を「ヒチ」と発音しており、妻も「ヒチ」と発音していた。
子供はこれにならって「七」を「ヒチ」と覚えたのであった。
辞書を引いてみると「七」を「ヒチ」と読むことはどの辞書にも載っていなくて、すべて「シチ」である。
江戸っ子と言われる人が「し」と「ひ」が逆転し、「人」を「シト」、「日比谷」を「シビヤ」、「質屋」を「ヒチヤ」と発音することがある。
私の場合はこれとは違って、「ひ」を「し」と発音するのではなく、数字の「七」を「ヒチ」と発音していたのである。
このことがあって以来、「七」を「シチ」と発音するよう心がけているのであるが、うっかりすると「ヒチ」になることがある。
「七福神」「七月」「七三」「七七 四九」のように言葉がつながると、「ヒチ」になりやすい。
テレビやラジオを気を付けて聞いていると、はっきりと「シチ」と聞こえることもあるが、なかには「シ」と「ヒ」の中間、若しくは「ヒ」に聞こえることもある。
「七」を「ヒチ」と発音するのは私だけではなさそうで、これが、関西弁なのか四国の発音なのか、それが私には分からない。
冒頭に戻って、「七福神」を「シチフクジン」と発音されたであろうか、それとも「ヒチフクジン」だったであろうか。
「シチフクジン」が標準の呼び方で、本紙の読者が何割ぐらい「シチ」と発音されたか大変興味深い。
多くの方が「ヒチ」と発音されたなら、私としては納得のゆくことなのである。
話し言葉は何年経っても子供の時に覚えたものが抜けきらない。
特に言葉のアクセントは子供の時に覚えたものが抜けず、私の場合、すぐに関西圏の出身だと分かってしまう。