第44回「浜風にのって」(2002年5月18日)
一枚の写真が送られてきた。この写真は「昭和24年神山小学校卒業生同級会」と大きく書かれた紙を前にした団体写真である。
私もこの同級会の案内をもらっていたが、出席できないので写真を送ってほしいと頼んでいた所、幹事さんが親切に送ってきたものである。
写真の41名の顔をつくづくと眺めた。顔の判る人は数人である。ほとんどが半世紀も顔を見ていない級友たちだ。
写真には名前が判るように名簿が付いていて、この名簿と写真を見比べると、何人かは思い出した。
なくなった髪を補ったり、髪型をおかっぱに戻すと、昔の童顔がよみがえって見えた。
残りの人については先生を含め、私の記憶の顔と写真の顔が結びつかなかった。
名前は覚えているけれど、この顔が○○だと言われても「そうですか」と言うしかない。
中学卒業以来会っていない級友も多く、私が覚えている15歳の顔を50年後の今の顔の中に探しても判らないのが当然かもしれない。
写真には先生5名、男性12名、女性24名が写っており、どの顔も笑っていて、笑い声が聞こえてきそうである。
特に、女性陣は元気が良く、大口を開いて笑っている人もいて、にぎやかさが伝わってくる。
撮影者の腕で楽しい写真になった事もあるであろうが、出席者のだれもが、実りのある50年を送り、その積み重ねが今の顔に現れているのであろう。
先生方の顔も教え子と同じように見え、生徒が65歳にもなると、外見ではどれが先生だか生徒だか判らない。
昭和24年の神山小学校卒業生は名簿を見ると105名であった。
その内、今回は36名が集まり、手紙によると、東京、長野や関西からの初参加もあったという。
級友に半世紀を隔てて会う気持ちはどのようだったろうか。
私なら懐かしい気持ちとともに怖い気持ちが交錯し、最初に何と言葉を出せば良いものかと思う。
この会の世話役のY子さんより、会の案内と、会が終わった後の2回電話をもらった。
Y子さんとは高校以来会っていないのに、親しい友人のように会話ができた。
小学校や中学の同級生とは、50年の年月を隔てていても不思議と気持ちが通じるのである。