第49回「浜風にのって」(2002年6月22日)

ダイエット(2)

肥満の原因である体脂肪は、食べ物がないときでも何日かは生き続けられるように、動物的本能として蓄えられたものなのである。

 

摂取と消費のエネルギーが赤字で、体脂肪をエネルギーに使おうとすると、「大事なときのための体脂肪を使わないで、もっと食べなさい」と体が訴える。

この訴えが「腹減った」「ひもじい」「食べたい」といったような「空腹感」で、体脂肪の消費の時は必ず空腹感を伴う。

 

もし空腹感がなくて体脂肪の消費、すなわち体重減少が起こるなら、これは体のどこかに異常があるはずである。

 

体重を減らそうと思うなら、「ひもじさ」の克服が鍵(かぎ)となる。

 

ダイエット法として「マッサージする」「泥の風呂(ふろ)に入る」など様々なことが宣伝されているが、この種のものは全てまやかしだ。

 

これらの方法は体の新陳代謝を良くし、汗によって体の中の水分が減り、体重が減るだけで、体脂肪減少はない。

サウナ風呂なども同じで、発汗による体重減は水を飲むと元に戻ってしまう。

 

「脂肪を燃やす効果」を宣伝する飲み物などもその効果を期待しない方がよい。

脂肪が燃えるとは脂肪が酸素と結びついて水と炭酸ガスになり、エネルギーを発生することであって、このエネルギーが運動などによって消費されない限り、脂肪は燃えない。

 

もう一つのダイエット法に「こんにゃくダイエット」とか「りんごダイエット」といったものがある。

 

これらの方法は低カロリーの食品を食べることによって摂取エネルギーを減らし食事の満腹感を得、少しでも空腹感を抑えようとするものである。

こんにゃくを腹一杯食べれば満腹感はあるかもしれないが、摂取エネルギー不足による体脂肪消費からの空腹感は満たされない。

 

こんにゃくダイエットやりんごダイエットでは空腹感は抑えられなくても、こんにゃくやりんごを食べることによって、摂取カロリーが少なくなれば、体重が減ってくることにはなる。

 

ダイエット正否の鍵は長期間ずっと空腹感に耐えられるかどうかということに尽きる。

 

日常生活ではいろいろな食べ物の誘惑があり、これらに目をつむって、誘惑に打ち克つしかダイエット成功の道はない。(続く)

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