今年のプロ野球はセ・リーグが巨人、パ・リーグが西武の優勝となった。
両チームとも昨年とはうって変わって強いチームになり、2位に大差をつけて全く危なげのない優勝であった。
巨人は清水の1番定着、リリーフに河原の起用、ベテランの桑田、工藤の復調、松井の成長、さらに斉藤、福井の活躍など昨年とは様変わりで、戦力は群を抜いていた。
西武も積極的な攻撃スタイルに変わり、松井の1番定着、5番和田の活躍等で得点力が向上し、リリーフ豊田の安定など昨年がうそのような強さだった。
両チームとも選手の顔ぶれは昨年と変わらないので、こんなにも強くなったのは、コーチ陣を含め新監督の手腕である。
管理者の研修などでよく出る話に井戸掘りの話がある。
AとBの二人のリーダーに各々5人の部下をつけ、井戸掘りをやらせた。
Aは自らスコップを持ち、先頭にたって穴を掘り下げていった。Bは部下に指示して穴を掘らせ、自分は掘り出した土の捨て場を確保し、土をつり上げる滑車を準備し、さらに部下の飲み物や食事まで手配した。
Aは汗だくになって頑張ったが、仕事の段取りが悪く、井戸が完成するまでにBの倍の時間がかかった。
ここで先ほどの研修では「皆さんはAさんになっては駄目ですよ。Bさんになるよう努力してください」という話になる。
今年の巨人と西武の強さを見て、この井戸掘りの話を思い出した。
昨年までの長島、東尾両監督はいつも自分が主役で、Aリーダーのタイプだったように思う。
これに対し原、伊原両監督はBリーダーのタイプで、コーチと協力しながら選手個人個人が力を最大限に発揮するよう起用した。
その結果としてチームが強くなり、ダントツの優勝となった。
シリーズでの両者の戦いが面白そうである。
野球に限らずリーダーのあり方とか、トップの役割といった問題は数人の単位から、何万人の大企業、さらに国全体の政治まで、人の集まる組織では常につきまとう問題である。
最近は不祥事で大企業のトップが謝罪したり辞めたりするニュースが多いが、日本丸のかじ取りをする政治の世界は大丈夫であろうか。