サンマが安くて美味しい季節になった。
スーパーではほとんどの魚がパック入りで売られているのに、サンマは発泡スチロール製の魚箱に氷と共にバラで入れられ、一尾100円しない値段である。
サンマのような青魚にはDHAやEPAが含まれていて、魚を食べると血液がサラサラになるとの事で、なるたけ魚を食べることにしている。
調理は煮物、蒲焼き等もあるが、塩焼きにして、大根おろしと一緒に食べるのが私には一番美味いと思う。
サンマは北海道、三陸、銚子沖などでたくさん穫れるので、昔から関東では広く食べられていた。
以前は生サンマを関西まで運ぶことは難しく、関西ではサンマになじみが薄かったように思う。
私も子供の頃、サンマを食べた記憶がないし、学生の頃、大阪でも食べなかった。
東京に住むようになって初めてサンマを食べ始めたように思う。
「サンマは苦いかしょっぱいか」と佐藤春夫の詩にあるように、サンマはわたも一緒に食べるものだという。
ところが、私はわたの苦みが苦手で、わたを出して塩焼きにする。
私がサンマを食べる習慣で育たなかったためかも知れないが、私にはわたまで食べる人は無理して通ぶっているように思えてならない。
現代は冷凍や冷蔵の流通が進歩したので、サンマやサケが広く流通するようになり、今では九州でもサンマの塩焼きを食べ、生サケも手に入る。 全国どこでも、何でも手に入る時代になったので、スーパーの魚売り場の様子も全国どこも同じかといえば、それがそうではない。
新潟に住んでいた頃、冬場になると魚売り場にスケソウタラが丸ごと大量に並ぶ。
新鮮な物は刺身でも食べるが、多くは鍋物で食べられる。
東京や九州のスーパーではスケソウタラのぶつ切りがパック詰めされて、少し並ぶだけである。
九州ではタチウオがたくさん並び、刺身も売られているが、新潟でタチウオを食べるようになたのは、最近の話のようだ。
九州の魚売り場でニシンやホッケを見たことがなく、新潟ではイトヨリやイサキを見たことがない。
転勤で新潟から九州へ移ってきた奥さんが、九州の魚屋の店頭を見て、「金魚みたいな魚ばかり並んでいて、買う気がしない」と言ったのを覚えている。