第74回「浜風にのって」(2002年12月14日)

マレーシア周遊(4)

ラマダン

マレーシアは多民族国家で、ごく大ざっぱに分けると、イスラム教のマレー系が6割、仏教・儒教の中国系が3割、ヒンズー教のインド系が1割弱である。
政治面ではマレー系がリードし、経済活動は中国系が主体のようで、どこに行っても漢字の看板の多いのには驚いた。

とは言っても、マレーシアはイスラム教を国教と定めており、イスラム教を抜きにしては語れない。
クアラルンプールには国立の立派なモスク(寺院)があり、空港にはイスラムの礼拝所が設けられていた。

私たちがマレーシアに入国した11月6日はちょうどイスラム教の大事な行事「ラマダン」の初日に当たっていた。
ラマダンとは「断食月」の事で、ラマダンに入ると、イスラム教徒は妊婦や幼児などを除いて、日の出から日没までは一切の飲食物を口にしない。

私たちがペナン空港の待合室で航空機を待っていると、イスラム教の服装をした人たちが20人ほどやってきた。
男も女も白かシャーベット調のピンクやブルー、黄色などの足首までの衣装を着ており、女性はそれと同じ色調のスカーフをかぶって、顔だけ出していた。

顔を見ると、かなり年配と思える女性がピンクの衣装を着て、ピンクのスカーフをしており、誰もがおしゃれに大変気を使っているように見えた。
イスラムの衣装が実に華やかで、待合室はまるで花が咲いたようであった。

この人たちが午後7時になると、急にかばんから水や食べ物を取り出し、食事を始めた。
日没後の食事をしても良い時間になったのである。

イスラム教徒の女性は働いているときも常にスカーフをしており、高速道路の料金徴収を若い女性がスカーフをかぶってやっており、空港などで働いている女性もスカーフをかぶっている人がたくさんいた。
朝の出勤時には、色とりどりのイスラム衣装で出勤する姿が見られ、おしゃれで、とても似合っていた。

マレーシアの人たちはイスラム教徒だけでなく、仏教徒もヒンズー教徒も信心深く、毎日の生活が宗教に深く根ざしているようである。仏教もヒンズー教も立派な寺院があり、これらの寺院はみな信徒の寄進で建設され、維持されている。

(写真はヒンズー教聖地の飾り)

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