第79回「浜風にのって」(2003年1月25日)

雪の話(1)

今年は寒い日が多いように思う。
毎日のように夜は氷点下になり、パンジーなどの草花がしおれて、かわいそうである。

日本海側や北海道ではここ数年に見られなかった積雪で、金沢では正月早々50aの積雪となり、北海道の留萌では、累積降雪量が225aに達したという。
今年は大雪の年になるのであろうか。

私は昭和51年から9年間、新潟県西部の雪の多い所で暮らしたことがある(写真は昭和59年2月の我が家)。
ちょうど雪の多かったころで、毎年、屋根の雪下ろしをしていた。

屋根にたくさん雪が積もると、その重みで軒が垂れ、戸がきつくなり、そのままにしておくと、戸の開け閉めができなくなる。
これを防ぐため、雪が1b近く積もると、大型のスコップを持って屋根に上がり、雪を下ろすのである。

屋根から雪を下ろすのはまだ楽なのであるが、下ろした雪を片づけるのが重労働である。
ガラス戸と下ろした雪の間隔を確保したり、人間の通路を作ったりするために、雪を跳ね上げたり、運んだりしなければならない。

雪が多かった年はこの下ろした雪を登って屋根に上がる事ができるほどであった。
私は経験ないが、豪雪地帯だと下ろした雪が軒先より高くなり、雪下ろしでなく、雪上げになることもあると聞いた。

 最近の家は、屋根のこう配をきつくしたり、家の基礎を高くしたりして、雪下ろしをしなくても良いようにしたものが多くなって、随分楽になったようである。
また、新潟ではこの10年ほど、雪下ろしをしなければならないほど雪が降らないようでもある。

雪国の生活は楽になったとはいえ、雪のない太平洋側に比べるとやはり厳しい。
12月から3月の4ヶ月は布団を干すこともできず、長靴とフード付きのコートを手放せない。

冬が厳しいだけに、雪が解け、草木が芽生えるころになると、心がうきうきしてくる。
このうれしさは雪国で生活したものでないと、とても理解できないであろう。

南国育ちが雪国で生活すると、思いがけない事を色々と経験した。
大変な思いをする事も多いが、雪国ならではの楽しい経験も多かった。
これらの事を数回にわたって紹介する。

エッセーへ戻る
トップへ