私が新潟で暮らしていたのはもう20年ほども前になるが、その頃でも雪で交通が止まったという記憶はない。
除雪のために一時的に道路が閉鎖されても、長時間にわたる事はなかった。
雪が降った朝は暗いうちに除雪車が出て道路の除雪を行い、通学通勤時間までには車が通れるようになった。
商店街などの道路では消雪パイプが埋められ、雪が降り始めると地下水を放水して雪を溶かすようになっていた。
そうは言っても、車庫からメイン道路までは自分で除雪しなければならないので、雪の日に車を出すには一苦労であった。除雪しても、路面には雪が残っており、車はアスファルト道路のようには走れない(写真)。
バスなどはチェーンを巻くが、一般の車はスノータイヤでそろそろと走る。
スノータイヤはタイヤの溝が大きくて深くなっているもので、雪の上でもスリップし難くなっているが、時にはスリップして車が横を向くこともある。
それでも、雪の中のでは不思議と大きな事故にはならなかった。
最近は4輪駆動の車が多くなって、この車だと少々の雪では問題ない。
雪国では除雪だけでなく、雪を克服するために数々の対策をとってきた。
冬でも不自由のない生活が送れるようになったが、このためにかかる費用はばく大な額になる。
人口数万の市でも、除雪費用は数億円から多い年には10億円に達し、小学校が1校建つほどの費用がかかるといわれたものである。
道路の白線は車のチェーンではぎ取られて、毎春、引き直さなければならない。
3月も半ばを過ぎると、雪が積もることがあってもすぐ溶けて、道路が乾いてくる。
こうなると車はスノータイヤを普通タイヤに付けかえる。
音がうるさくて乗り心地の良くないスノータイヤを普通タイヤにかえると、車が軽くなって、気分までうきうきする。
最初に春が来たのを実感するのは車を普通タイヤで走らせたときであった。
雪道で貯まった鬱憤を晴らすかのように、春先にはついスピードをだしすぎてしまう。
車の大きな事故は、雪道よりも春先の車の飛ばしすぎで起きる事が多かった。