昨年12月、「雪国はつらつ条例」を「雪国はつらいよ条例」と教科書に誤記していた事がニュースになった。このように誤記したのは雪国の事を理解していない人が書いたからである。
雪はそこで生活する人たちにとって厳しい面もあるが、人々は雪を自然現象として受け入れ、雪を利用したり、楽しんだりしている。
雪国の楽しみは何といってもスキーである。
私は40歳を過ぎてのスキーはけががこわくて、スキーを覚える事はできなかったが、子供たちも妻も上手に滑れるようになった。
真っ白のゲレンデ滑降するのをみていて、うらやましく思ったものである。
関東出身の若い社員はすっかりスキーにはまって、一シーズンに50日ほども滑っていた。
土日はもちろん、年次休暇をとって、スキーに出かけるのである。
車で20分ぐらいのところにスキー場があって、奥さんたちは夫や子供を送り出し、近所の奥さんとこっそり車でスキーに出かける事もあったようである。
子供が学校から帰ってくるまでに帰宅するので、家族にスキーに行った事がばれる事はない。
現在は昔ほど注目されていないが、北陸から新潟にかけては、今も雪を利用した最大の水力発電地域である。
この電気を利用した重化学工業がこの地域の発展に大いに寄与した。
私の勤めていた会社も水力発電所を何か所か持っていた。
雪が降るとそれが春には雪解け水となって電気を起こすので、幹部は「雪はお金が降ってくると思え」と言ったものである。
九州で会社の寮にいたころ、北陸の出身者が「九州は季節感がまるでないねー」と、いつもぼやいていたが、私にはこの気持ちが分からなかった。新潟に住んでみて、ようやくこの気持ちが分かるようになった。
雪国では雪が季節の始めで、雪解け、新緑、盛夏、紅葉と続く。
九州や四国と比べると、季節の移り変わりが非常にはっきりしていて美しい。
高い山に雪が残り、山麓が鮮やかな新緑の風景が私は一番好きであった。
この新緑は秋になると紅や黄色に色づく。
雪の降る所も、降らない所も、それぞれに長所短所があって、「住めば都」といえよう。
(写真は家族のスキー姿 1979年)