映画「戦場のピアニスト」が良い映画だとの評判で、何年ぶりかで映画館に足を運んだ。
この映画は、ポーランドのユダヤ人ピアニストが第2次世界大戦での過酷な体験を書いた回想録を映画化したもので、フランスとポーランドの合作である。
映画はドイツがポーランドに攻め込む所から始まり、ポーランドを占領したドイツ軍はユダヤ人を虐待し、殺害する。
その場面が繰り返しでてきて、その残酷なやり方にまともには見ていられないほどであった。
厳しい生活の中で、主人公のピアニストは奇跡的に生きのび、最後はドイツの将校に助けられて終戦を迎えた。
ピアニストが再びピアノを熱演する所で映画は終わる。
映画が終わっても観客はすぐには起たず、私も心に響くものがあって思わず拍手したほどであった。
このピアニストの回想録は1946年に出版されたが、共産党当局により発禁扱いになり、1998年、息子さんにより再出版され、映画化されたものだという。
その息子さんは、現在、福岡の大学で教えているそうで、先日、父の遺品だと言って腕時計を持ってテレビに出ていた。
映画を観る前にこのテレビを観ていたので、映画を観ながら息子さんの事が思い出されて、この映画がよそ事ではないように思えてならなかった。
今までに戦争映画を何度も観たが、こんなにもユダヤ人が残酷に扱われるのは初めてである。
無抵抗のユダヤ人が虫けらのように殺されるのはとても人間の仕業とは思えない。
戦争が普通のドイツ人を狂わせたのであろう。
最後にドイツの将校がやつれはてたピアニストを助ける事で救われる気持ちになるが、それでもドイツ兵の無惨なやり方を許す気にはとてもなれない。
何よりも戦争を起こしたトップが責められねばならない。
昨今、イラクでの戦争は避けられないように報道されているけれども、最後まで戦争を回避する方策を探す事が是非とも必要である。
「一人の人間を殺すと殺人罪に問われるが、戦争で大量の人間を殺すと英雄である」と言われるが、この様な事はあってはならないのである。