第91回「浜風にのって」2003年4月19日)

有機野菜

「無農薬、有機栽培の野菜を使っていて、とてもおいしいでーす」
と、テレビでレポーターが大声をあげていた。

スーパーには「無農薬、無化学肥料栽培」のラベルを付けたレタスや葉付きだいこんが売られており、「有機栽培米」と銘打った米も売られていた。

農薬と化学肥料を全く使わず、鶏ふんや牛ふん、たい肥などを使って農産物を栽培する方法は有機栽培と呼ばれ、英語ではオーガニックと呼ばれている。

インターネットで調べてみると、オーガニック○○と称するものがわんさと出てきて、オーガニックは大流行である。
野菜や米などの外にオーガニックの緑茶、コーヒー、紅茶、ビール、ワイン、ビーフ、さらにはオーガニックのコットン、ウール、シルクがあり、オーガニック・ドッグフードまであった。

無農薬とか有機栽培が持てはやされているのは、農薬や化学肥料は体に良くないとの考え方があるからで、私はこれが気になるのである。

化学技術者として永年勤めてきた私としては、農薬や化学肥料を悪とする考え方には賛成できない。
私は農薬と化学肥料に関係していたこともあり、農薬や化学肥料は農業生産を大幅に向上させ、世界の食糧生産に大いに寄与していると自負している。

もし農薬も化学肥料もなければ、地球上約60億の人間が生きていくだけの食糧を生産することはできず、多くの人が飢えに苦しむ事は間違いない。

過去において、農薬の過剰散布とか残留農薬、無認可農薬の使用など、農薬に関するもろもろの問題があった事は事実である。
これらはあくまでも農薬の使用方法に問題があったためであって、農薬そのものが悪いわけではない。

適正な農薬を適正に使用して生産された農産物なら、健康上の問題点はぜんぜんないのである。

スーパーで、野菜担当者に有機野菜について聞いてみた。
「値段は少々高いですが、それでも買う人はおります。味は普通のものと変わりません」
との返事だった。

私はこれからも有機野菜や有機米を買う積もりはないし、オーガニックの衣料やオーガニック・ドッグフードなど、とんでもないまがい物だと思っている。

(図は有機農産物の認証マーク。3年間、無農薬、無化学肥料で栽培されたと認証された農産物に貼付が許可される)

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