第92回「浜風にのって」(2003年4月26日)

食物考(2) ミネラルウオーター

このところスーパーで,ミネラルウオーター2gのペットボトル6本入りの段ボールがたくさん積まれているのを見るようになった(写真)。

以前は裸のペットボトルが並んでいて、段ボール入りをあまり見かけなかったように思うが、最近は段ボールでミネラルウオーターを買う人が増えたということであろう。

日本の名水百選が選ばれたりして、水に関心が高まり、ミネラルウオーターの消費量が次第に増えているようである。

お茶を入れたり、コーヒーを入れるのに、わざわざ遠くまで名水をくみに行くという話を随分前に聞いたことがある。
最近はご飯を炊いたり調理にもミネラルウオーターを使う人がいるそうで、水道の水をそのまま飲むなどというと、それこそとんでもないと笑われそうである。

新潟や群馬に住んでいたころ、東京の水道水は飲めた物ではないと思っていた。

大都市の水は消毒の塩素のにおいがして、慣れないうちはうがいをする時でもツーンと鼻に来たものである。
慣れればそんなに気にならなくなり、今では水道水を飲んでもそれほど違和感はない。

お茶やコーヒーを入れたり、ご飯を炊いたり煮物をする時、水道水を使うのとミネラルウオーターを使うのとで味が違うだろうか。
私は試したことがないのではっきりしたことは言えないが、塩素の残る水も沸騰させれば塩素は抜けるので、お茶や煮物などは水道水を使ってもミネラルウオーターを使っても味は変わらないと思う。

水道水も沸騰してから冷やせば、美味(おい)しい水になり、私の舌ではミネラルウオーターと区別がつかない。

群馬にいたころ、東京からの客に、冷やしソーメンを出して、たいへん美味しいと喜ばれたことがある。
考えてみると群馬の水道はミネラルウオーターのような地下水を使っていて、塩素臭はなく、東京の水道で冷やしたソーメンよりも美味しかったようである。

ソーメンやそばのように水で洗ったり冷やしたりする食べ物は、塩素の多い水道水を使うと味が落ちるかもしれない。

4月も終わりになると、冷たい飲み物が欲しくなる季節である。
我が家の冷たい麦茶は輸入物の高級ミネラルウオーターに決して負けはしない。

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