思いつくまま 2016.07-12

new2016.11.20 紫野・前大徳・大徳寺派

茶掛の軸・色紙・短冊には大徳寺ゆかりの禅師の書かれた禅語が良く使われます。我が家でも稽古の時はそういう色紙・短冊を掛けています。

書かれた方の署名には《紫野○○》《前大徳○○》《大徳寺派下○○》などと肩書がまちまちです。この肩書は大徳寺僧侶の位のようですが、どう違うのかと疑問がわき調べてみました。

《紫野○○》・・・大徳寺塔頭の住職に限られた肩書

《前大徳○○》・・本山にて1日だけ大徳寺住職になる改衣式を行い本尊と開山祖師に報告の法要をし、一山の各住職に披露した方の肩書

《大徳寺派下○○》・・大徳寺派のお寺の住職の肩書

大徳寺には門外も含めて24もの塔頭があります。

如意庵の立花大亀師、黄梅院の小林太玄師、三玄院の長谷川寛州師などは、《紫野》という肩書が付きます。もっとも私の持っている太玄師の軸には黄梅院主太玄と署名されています。

橋本紹尚師、足立泰道師、戸田明道師・・などは《前大徳》。

柳生紹尚師、法谷文雅師、前田宗源師・・などは《大徳寺派》。

家元の軸を掛ける時も、禅師の軸を掛ける時も位はどうであれ そこに家元、禅師がいらっしゃると思って恭しく一礼をします。

2016.11.16 茶壺の紐結び

11月の開炉の頃に宇治の茶師から壺の持ち主にその年の新茶(葉茶)が届きます。

抹茶は5月に摘んだ葉茶を11月まで壺に入れ封をして熟成させておきます。そして開炉の時に封を開けて中の葉茶を取り出し、石臼で挽いて抹茶にするのが本式です。

幸い今日では年がら年中フレッシュな抹茶を手に入れることができます。ですから本格的に茶壺を茶師に預ける方は少ないのではないかと思います。石臼もなければならないので。 我が家にも茶壺はありません。

しかし茶壺の紐結びは練習しておきたいです。紐を通すところが3か所しかありませんが丁度大きさが適当な《沖縄の泡盛が入っていた壺》があったのでそれで練習しました。

私も毎年練習するのですが、本と首っ引きです。

行之行台子以上の生徒さんに練習してもらいました。丁寧な写真入りの「茶の結び緒」という本を見ながら試行錯誤しつつ、皆様ちゃんと「真」と「行」「草」の結び方を完成されました。素晴らしいです!

私は昔、師のところで「紐結びをやってごらんなさい」と再三言われましたが、先輩の方々が多くいらしたので何となく出来ないと恥ずかしいと遠慮ばかりしていました。今から反省しても遅いです。

皆様が見事に紐結びされたことが嬉しかったと同時に、躊躇しないで挑戦されたその素直さ感動しました。若い方はすばらしい!!!

「後生畏るべし」…若い方の秘めたる可能性に大いに期待したいです。

2016.11.05 開炉

今年も早や11月・・・また炉の時期を迎えました。

5月に摘んだ新茶が いよいよ壺から取り出される口切の時です。と言っても今は年がら年中美味しい抹茶が売られている有り難い時代です。

茶人にとっては正月ともいえる時、障子を張り替えたり、畳を変えたりして迎えます。我が家では気持ちだけあらたまって・・迎えました。

お道具はよそゆきにして、ふたつの「べ」も”ふくべの花入れ”と”織部の茶碗”を揃え、棚は寿棚。お菓子は”亥の子餅 ”

《続きお薄》で行いました。普段の稽古では4畳半の動きでしていましたが、今日は8畳でしましたので

出る足帰る足の右左も、また最後拝見道具が4個あるときの立って返す時の持ち方も勉強しました。また出し帛紗の扱いも。

この頃小寄のお茶会に呼ばれたときに案外《続きお薄》でもてなされることがあります。

水曜クラス・土曜クラスともにあらたまった開炉の稽古ができ、これから半年間の炉の稽古がスタートしました。

 

 

濃茶

 

選手交代して薄茶に

織部茶碗

 

2016.10.22 唱和の式

風炉最後の稽古で、初めて《唱和の式》をしました。

全員で花を入れ、香を聞き、濃茶を頂き花月で薄茶を頂き、そのあとで自分で入れた花に因んだ歌を認めるという式です。

歌を詠むという事ですので、あらかじめ用意する花々をお知らせしておき、歌を考えておいてもらいました。

我が家の庭にはホトトギスしかないので花屋さんでコスモス等買いましたが、ちゃんとご自分でお花を持ってきてくださった方もいらっしゃり、助かりました。

この式では亭主に当たった方はいろいろすることがあり大変です。花を最初に入れて香を焚き、濃茶を練ることをしなければならないのです。濃茶が終わって薄茶になるときに「お薄は花月で」と言い、薄茶は皆様で札を引いて点てるのです。

最後に懐中してきた短冊に歌を書いて皆様に声を出して披露します。

歌は和歌でも俳句でも良いことにして「恥ずかしい」と言いながらもそれぞれ素晴らしい歌を披露されました。

重硯箱がないので、一つだけ硯を用意、筆で書かれても筆ペンで書かれても良いことにしました。

花月の練習を結構重ねてきているので、このように《唱和の式》が皆様とできるようになり嬉しいことです。

七事式などをいろいろすることで茶道の楽しさを広げて行こうと思います。

終わって時間があったので、貴人清次濃茶付き花月も練習して風炉の仕上げとしました。

 

 

皆様の歌が写真ではわかりにくいので下記をご覧ください。

  吾亦紅  秋晴れの大寄せ茶会袖そばで 紅々と咲く吾亦紅     陽子

  菊    きくのにわ そぼとたわむる おさなきひ        ゆみこ

  コスモス 秋風にゆるるコスモスしなやかに 強き風にも美しきまま  薫

  藤袴   空わたる雁にも着せたや藤袴 吹く風冴えて嵯峨野の夕暮れ 宗陽

  こすもす 鷹狩のすみわたる空と秋桜             千寿

  ほととぎす 炭熾し花ほととぎす選び挿し 静かに待てる稽古のはじまり 宗恒

new2016.10.12 中置

今年は9月は台風や、秋雨前線ですっきりした秋晴れが少ないでした。10月に入ってもはっきりしない雲の多い日が続いています。そして朝晩冷えてきました。

中置のシーズンです。暖かい風炉を畳のまん中まで客側に近づけ、涼しさを表す水指は勝手の方に置く点前です。

水指は狭いところに置くので細いものを使います。

風炉を長板の上、真ん中に置けば《長板一つ置き》になります。

今月は名残のわびた時期、道具組も渋い取り合わせにしました。茶碗は私のお気に入り、中里太郎衛門窯の絵唐津です。これは九州の中里太郎衛門窯に実際に行った時に気に行って求めたものです。真円ではなくちょっと楕円の形。

今日はこれら中置の練習をしました。

小板中置

 長板一つ置き

柄杓の飾残し

季節を敏感に感じ取り、臨機応変にお客様に快適な心遣いをするのが茶道。

長板は台子から発生したもの。小板の中置よりちょっと格調があり、よそ行きのお点前の感があります。

ついでに《長板二つ置き》も練習しました。(→)

長板の上に風炉と水指を飾っておく設えで、この場合の水指はやはり格調高いものを使った方が良いです。

三種類の点前を稽古しましたが、ひしゃくの位置、飾り方、水指の蓋の扱い、湯返しなど微妙に違うので要注意です。

今月で風炉の季節は終わります。10月最後の稽古には普段とちょっと違ったものでまとめようと思います。

 

 

2016.10.07 大納言小豆・小倉あん

 

生徒さんから銀座HIGASHIYAの”大納言羊羹”を頂き、早速稽古の時に使いました。細長い羊羹です。(2.5cmx4cmx28cmくらい)

包装もしゃれていて、大納言小豆を贅沢に混ぜ込んだ深い味わいの羊羹で、皆様と美味しく頂きました。

大納言?その名前の由来が気になり早速調べました。

大納言小豆は丹波の大粒の小豆で、煮た時皮が破れにくいもの…いわゆる「腹割れ」が生じにくいものだそうです。

そこで切腹の習慣がない公家の官位である「大納言」と名付けられたとのことです。

ちなみに江戸幕府での大納言は《尾張徳川》と《紀州徳川》のみで、同じ御三家の《水戸徳川》は中納言。

中納言の唐名は黄門侍郎、略して黄門・・だから徳川光圀は水戸黄門と呼ばれていて、仮に殿中で刀を抜けば浅野内匠頭と同じ運命をたどることになるのでしょう。

次に、粒あんのことを「小倉」という事も気になり調べました。

809年ごろに、空海が中国から持ち帰った小豆の種を京都の小倉山付近で栽培したという説が一つ。

もう一つの説は、小豆の粒が鹿の斑紋に似ていることから鹿といえば紅葉、紅葉といえば小倉山との連想からというものです。

私は後の説が気に入ってます。

 

2016. 09.17 真の稽古

 

久しぶりに《真の行台子》と《大円真》の点前の稽古をしました。

これらの点前はそれぞれ小一時間かかるので、たまたま生徒さんの人数の少ない時に、そして習熟度が同じ方々だったので急遽思いつき行いました。

《真の行台子》点前は裏千家では最高のお点前です。事前に私も何回か練習しておきました。教える立場でも奥伝ともなると忘れてしまうので事前の練習は欠かせません。

《真の行台子》と《大円真》はとても似ていますが、ちょっとしたところが違うので稽古中もちょっと混乱がありノートで確認してしまった箇所があり大反省です。

《大円真》までで裏千家のお点前カリキュラムは終了です。

「これで裏千家のお点前は全部お教えしたのよ」と私。生徒さんはたった一回ではなかなか覚えられないのでそう言われても半信半疑の感じです。  

先日研究会で項目は《行の行台子》でした。D業躰先生がおっしゃたことですが、印象に残ったのでここにメモしておきます。「《行》は現在進行形の世界で明日の稽古がある世界、《真》は過去、仏の世界で修業が終了した世界です」と。

中国から台子点前が入ってきて、その影響が一番顕著に現れるのが真台子で唐銅皆具を使ったお点前です。現在の茶道のルーツとも言えるもの。ここから和物茶器を少しずつ取り入れて日本風にアレンジして《行の行台子》→《盆点、唐物、台天目》→《小習》とだんだん簡略化してきたのです。

茶道のルーツともいえる《真》のお点前を学ぶと「あーあのお点前はここの部分から派生してきたのだわ」と今まで習ってきたお点前がより理解できるようになると思います。

 

2016. 07.23 清流無間断

 

この時期《清流無間断》の軸をよく掛けます

清らかな川が途絶えることなく流れている…いかにも涼しげで清らかな風景が浮かびます。字面だけ読むとこうなりますが、茶席で掛ける軸となるとそこに深い意味があるのではと考えることも大切です。

今日の稽古で皆様に投げかけました。《どういう意味を感じますか?》と。

一人の方は《清らかな心を持ち続ける・・》と言われました。私は《それって素晴らしい発想》と思わず讃えました。

しばらくして別の方は《点前も川の流れのように滞ることなくする》《人生も川の流れのように何かがあっても立ち止まったりするとことなく進んでいくのがよい》と素晴らしい考えを述べられました。

お茶をある程度習熟された方は、軸を見る時も 字面だけ見て納得することから一歩進んで、その奥に隠された心まで考えるようにできたらよいと思います。

ちなみに私は川を学ぶ事と置き換えて途絶えることなく学ぶことの大切さ、継続することの大切さを感じます。

考えに正解はありません。それぞれの方が自分なりに一歩深く考えて答えを出せばよいのだと思います。まさに《茶禅一味》。

 

new2016. 07.23 員茶

今日の稽古は《員茶の式》かずちゃのしき。

【員】を【かず】と読むのは難しいです。表千家では【数茶】というようです。

全員が札によって順にお菓子を頂き、お茶を飲んで、お点前をするのがこの式です。全員の【員】から【員茶】となったのかしらと思います。

札元・目附・亭主、それに客が5人で行いました。わが社中は生徒さんが多いのでこの式ができ嬉しく思います。

8人がお点前をするので結構時間がかかり、足がしびれるかたが続出・・・。札元・目附・亭主はお菓子は頂かない決まりなのにうっかり3人ともお菓子を頂いてしまったりはしましたが、初めての稽古だったので、皆様も楽しまれたのではと思います。とにかく生徒さんにいろいろお茶を経験してもらいたいのです。

札は十種香箱を本来は使うのですが、我が家にはないので急遽 私が紙で作りました。花の模様を描くのは難しいので茶道具の絵にしました。

大折据もないので、若狭盆で代用しました。普通なら「撫子の札お除けを」等というところ「茶碗の札お除けを」となります。

道具がないからできない…それなら手作りしたりほかのもので代用するというのが私の信条・・利休様の得意な”見立て”に通じるかも????

 

 

 

 

 

手作りの札

これを大折据の代わりに若狭盆の載せました

 

 

目附・札元・亭主

 

 

 

2016. 07.20 茶道点前テスト

”茶道の稽古って何だろう?” ”指導する者として毎回毎回生徒さんのお点前を見て順序を正したり、扱いを注意したりするだけでよいのであろうか?”

毎回時間にとらわれて、一人ずつ細かくご指導できないことも私は反省しています。なまぬるい稽古場になっても良くありません。マンネリになるのも良くありません。

折角稽古に来て下さるのであればどこで披露しても大丈夫なきれいなお点前をしていただきたいです。ややもすると習熟度が上がったとしても慣れてきて雑になって、割り稽古の基本を忘れてしまった目だるい点前になってしまったりします。

そこで《喝》を入れなくてはと、点前のテストをしてみました。あらかじめくじで各々の行うテスト点前をお知らせしておきます。一週間家で予習してテストに臨むのです。

今日は3人の方に《平手前のお薄点前》《長緒》《貴人清次薄茶点前》をテストしました。私は無言で審査します。

初めの準備に始まって姿勢、足運び、道具の位置、帛紗さばき、器物の清め方や扱い、問答、ひしゃく扱い、点前順序それに後片付け・・・等が審査の対象です。

終わった後、習熟度に照らし合わせて「一二三の式」等で使う十種香の札箱で月1・月2・月3、花1、花2・花3、1・2・3で結果をお知らせし、どこが良かったか、悪かったをお話ししました。

緊張していても、とてもうまくできた部分や、反対に普段はさらっとできるところもとまだったり、順序もおぼつかなくなったり、変な間違いをされたりいろいろです。

今回のテストは生徒さんのためでもありますが、私自身の指導力のテストともいえます。

初めての試みでしたが私にも生徒さんにも良い《喝》だったと思います。

 

 

「お菓子をどうぞ」と礼をするところ

 

お供さんへのお薄を点てるところ

 

 

 

手作りの”紙で作った十種香の札箱”

 

 

 

2016. 07.07  茶道クイズ

茶道をお教えしていて、お点前と共に茶道一般に関する最低限の知識を生徒さんに勉強してほしいと思っています。

普段の稽古の時にも折に触れいろいろお話ししたり、《茶道に関する本を何でもよいから読んで》と促したりしています。

しかしどのくらい分かっていらっしゃるか簡単なクイズを提案してみました。

例えば茶道をしていらっしゃらない方から《茶道って何?》とか《日々是好日ってどういうこと?》《なぜ亭主は客と一緒にお茶を飲まないの?》《濃茶と薄茶の違いは?》などと質問されたとき答えられないとちょっと悲しいです。

茶道検定もありますが、そこまでしなくても一応茶道の基本知識は抑えていただきたいと思ってます。点前の稽古をしていくうちにそういうことは自然にわかってくるとは思いますが、一つの試みとしてクイズにしてみました。

軸の禅語も一語抜けると「何だったかしら??」と・・・。面白かった答えは《茶□一味》の答えを《茶菓一味》と答えられたことです。

これからも時々手作りクイズを出していこうと思います。

下記はほんの一例です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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