ネオニコチノイド系農薬・斑点米関係にもどる
n00105#秋田県大潟村村議会が、コメの農産物検査法などの見直し請願を可決#18-04
記事t31003と記事t31104で、コメどころの秋田県大潟村の2017年6月村議会で「水稲への殺虫剤使用を助長する『農産物検査法』を見直し、ネオニコチノイド系殺虫剤不使用を特徴とする大潟ブランドの推進を求める請願」が提出されたものの採択されなかったことを報告しましたが、今年3月の村議会で、前回と同じく生き物共生農業を進める会の今野さんが中心になってまとめた請願「食糧の安全・安心を図るため農産物検査法と植物防疫法、JAS法の抜本的見直しが必要です」が採択されました。以下、請願の本文です。これをもとに、村議会は、3月16日に衆参両議院議長や内閣総理大臣、農林水産大臣、消費者庁長官などに宛てた食糧の安全・安心を図るための農産物検査法とJAS法の抜本的見直しを求める意見書を提出しました。
*** 大潟村村議会での農産物検査法などの見直し請願 ***
現行の農産物検査法は、昭和26年、食糧不足の時代に、政府が生産きれた米を農家か
ら全量買い上げ・配給する、食糧管理法(食管法)の下で制定きれたものです。
米の生産が過剰となり食管法が平成7年に廃止となった以後も、同法は制定当時とほぼ
変わらずに現在に至っています。時代の変化に則した見直しが行われておらず、
農薬の多使用が促きれるなど、食の安全・安心を求める消費者ニーズに逆行しているのが
実情です。
夏期に水稲で散布きれる殺虫剤のほとんどは、農産物検査法の1等米基準を満たすための
カメムシ退治用です。
秋田県農業試験場の「無防除区における斑点米混入率」は平均0.385%であり(資料1−略−)、
水稲のカメムシ退治はこれを一等米の着色粒基準0.1%以内に抑えることが目的です。
大潟村議会は平成14年、「不必要な農薬使用を助長する農産物検査制度の見直しを求める
意見書」を可決し、秋田県議会も平成17年、「農産物検査制度の見直しを求める意見書」を
全会一致で政府に送付したところです。
きらに、平成27年は、都道府県の病害虫担当者からも国に(資料2−略−)のような
質問書・意見書が提出きれるなど、現行の農産物検査制度の見直しを求める声が次第に
高まっているのが現状です。
こうした中、農林水産省は米等級の廃止など、平成34年までに農産物検査を抜本的に
見直す方針と報道きれており、具体的にはこれから国で審議きれることとなります。
つきましては、子どもの健康被害防止の観点から、また、生産者に不利な制度にならないよう、
下記について国会及び関係省庁に意見書を提出していただくようお願いいたします。
記
1.農産物検査法「着色粒」規定の廃止⇒村議会意見書では、「廃止」が「見直し」となる
2.現行農産物検査法を抜本的に見直し、食の安全・安心を図る目的とすること
3.関連法であるJAS法の見直し
4.「指定有害動植物」が科学的根拠に基づくよう、植物防疫法の運用の見直し
⇒村議会意見書ではこの項は削除された
以上
今後の米づくりの方向性を示す本請願には、「着色粒規定を廃止すべき理由」として、次ぎの記述があります。
(1)玄米に混入した着色粒は精米段階で容易に除去可能で、白米への混入がほとんどないこと
(2)着色粒の混入限度は、1等米、2等米の間で最大0.2%の差異しかなく、あえて
(薬剤防除が必要となる)等級を区分けする理由が見あたらないこと
(3)現行基準の設定の根拠が曖昧なこと
(4)たとえ着色粒基準を廃止しても、玄米への着色粒混入率はそれほど高まらないと考えられること。
(5)農薬多使用に繋がる検査規定は本末転倒であること
昨年の請願と違い、ネオニコチノイド農薬は名指しこそされていませんが、米の検査規格や関連法令を改正し、カメムシ防除用農薬散布を減らすことは、ミツバチやポリネーターの被害を防止し、水田の生物多様性の保持につながることは間違いありません。
EUでは、ミツバチ被害防止のため、2018年末までに、ネオニコチノイド系殺虫剤3種の屋外使用を禁止することが決まりました(海外情報の頁へ)
作成:2018-04-30、更新:2008-06-05