環境汚染にもどる
n00706#2017年度のゴルフ場使用農薬の水質調査結果〜水産指針超えは3件#18-10
【関連記事】記事t31705(2016年ゴルフ場農薬調査)
【参考サイト】環境省:ゴルフ場暫定指導指針対象農薬に係る水質調査結果の頁
ゴルフ場で使用される農薬に係る平成29年度水質調査結果について
都道府県別の水質調査結果、農薬別の水質調査結果(排水口)
水質汚濁の防止及び水産動植物被害の防止に係る指導指針
環境省は、「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針」を定め、ゴルフ場からの排出水等の農薬調査を実施しています。調査対象農薬は当初45種でしたが、2017年からは、生態系保全の観点により、水産動植物被害の防止のための水産指針値指導指針が追加され、前年より6農薬増の174 農薬(157 成分)の調査が実施されました。
★検出された農薬は64種
2017年の排出水調査は、表1のように、全国の約2000のゴルフ場のうち1435か所で実施されました。対象農薬は、前年より増え174ですが、都道府県により、分析農薬数には、例年通りのバラツキがあり、少ないのは、調査ゴルフ場数が0〜3の山梨0、山形5、三重6、山口11農薬。多いのは、兵庫150、京都135、栃木132、茨城129、長野128、埼玉124農薬などで、1ゴルフ場あたり平均27農薬が分析されました。なお、ゴルフ場排出水の分析実施は、単なる努力規定ですし、常時監視する必要もありません。
表1 ゴルフ場排水口等の水質調査結果及び取組状況の推移
調査年度 1996年 2016年 2017年
全国ゴルフ場数 2340 -
調査実施ゴルフ場数 1984 1038 1435
調査対象農薬数 30 168 174
総延べ検体数 約10万3千 27182 38,927
排水口調査延べ検体数 − 6604 9,739
排水口調査の結果、検出された農薬別の検体数と最大検出値を表2に示しました。
延べ総検体数は前年より約1.4倍増え9739で、64農薬が検出され、約4.1%の406検体に農薬が検出されています。水濁指針値や水産指針値の多くは、それぞれ、水質汚濁に係る農薬登録保留基準や水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の10倍値となっています。
2017年の検出値で、水濁指針を超えたものはありませんでしたが、水産指針を超えたのは3件あり、内訳は、ダイアジノン1検体(最大検出値7.5μg/L)、ピロキサスルホン2検体(同21μg/L)でした。
表2 2017年度のゴルフ場排出水中の農薬検出状況(単位:μg/L)
農薬名 検体数 検出数 最大値 農薬名 検体数 検出数 最大値
MCPA系3農薬 35 2 12 チアメトキサム 132 19 3
アシュラム系2農薬 608 55 26 チウラム又はチラム155 2 2.4
アセキノシル 5 2 0.07 チオファネートメチル106 2 1
アセタミプリド 51 1 1 チフルザミド 177 35 12
アゾキシストロビン494 20 12 テトラコナゾール 82 1 0.036
アトラジン 20 5 3 テブコナゾール 237 8 1.4
アラクロール 13 1 1 トリアジフラム 52 1 1
イソキサベン 39 1 1 トルクロホスメチル148 1 20
イソプロチオラン 83 1 2 ナプロパミド 61 2 2
イマゾスルフロン 12 4 0.01 ハロスルフロンメチル91 3 14
イミダクロプリド 107 4 5 ピロキサスルホン 81 23 21
イミノクタジン系2農薬129 3 0.021 フェニトロチオン 135 11 21
エトキシスルフロン 46 2 2 フェノキサスルホン 40 6 2
オキサジクロメホン154 1 1 フラメトピル 31 6 9
カフェンストロール 72 8 6 フルキサピロキサド 64 11 5
グリホサート系4農薬25 1 6 フルトラニル 99 4 4
クロチアニジン 477 46 19 フルベンジアミド 71 3 2.8
クロラン フルポキサム 108 10 2.3
トラニリプロール197 2 0.001 プロピザミド 157 15 21
クロリムロンエチル 42 3 2 ヘキサコナゾール 79 2 1
クロロタロニル 185 1 8 ペンシクロン 356 26 4.3
シアナジン 19 1 8 ペンフルフェン 72 7 13
シアントラニリプロール7 1 1 ボスカリド 86 3 0.071
シクロスルファムロン160 2 1 ホセチルアルミニウム77 1 1
ジチオピル 113 2 1.6 ミクロブタニル 11 1 1
ジノテフラン 7 1 0.035 メコプロップ系4農薬158 8 24
ジフェノコナゾール110 1 4 メタラキシル系2農薬175 1 0.15
シプロコナゾール 130 5 2 メトラクロール系2農薬24 3 4
シメコナゾール 60 1 3 メプロニル 89 2 7
ダイアジノン 145 2 7.5 レナシル 4 2 8
チアクロプリド 21 2 1 銅系5農薬 5 5 2
406
★ゴルフ場農薬 きれいな芝には特にご注意を
【参考サイト】緑の安全推進協会;Top Page 情報の窓
緑の安全推進協会の調べ(報告会社33社)では、2017年度のゴルフ場、緑地分野の農薬製剤販売実績(単位トン)は、表3のように、除草剤の殆どは、芝と緑地用、殺菌剤の殆どは芝用、殺虫剤の60%は樹木用でした。
化管法の指定農薬に限れば。2016年度の成分別年間排出推定量(=出荷量相当)でゴルフ場多く使用されているのは、殺菌剤ではチオファネートメチル19.6t、ジラム19.4tで、アゾキシストロビン19.0t、テブコナゾール14.9t、TPN11.9t、除草剤では、メコプロップ12.94t、プロピザミド14.1、メトラクロール10.9t、2,4-D9,733tの順でした。なお、表2に見られるネオニコ系は化管法指定のない農薬であることを忘れてはなりません。
表3 2017年度 ゴルフ場、緑地分野の農薬製剤出荷実績 (単位 トン)
使用場所 芝 樹木 緑地 合計
用途 実績 前年比 実績 前年比 実績 前年比 実績 前年比
殺虫剤 392 105.7 461 90.2 2 193.1 855 96.8
殺菌剤 935 104.4 0 93.4 0 250.0 935 104.4
除草剤 1,231 115.3 8 87.0 4,495 119.0 5,734 118.1
植調剤 109 316.3 4 165.0 35 69.8 148 169.8
その他 114 166.4 29 88.2 - - 142 140.9
計 2,781 114.1 502 90.3 4,532 118.4 7,815 114.6
作成:2018-10-29