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n01502#農水省が2017年度の国産農作物の農薬使用状況公表〜不適切な使用はなかったというが#19-06

【関連記事】記事n00103(2015、16年度)
【参考サイト】農水省:国内産農産物における農薬の使用状況及び残留状況調査の結果についての頁
        平成29年度結果の概要使用状況調査農薬別残留調査作物別残留調査

 農水省は、2017年度の「国産農作物における農薬の使用状況及び残留状況調査結果>を公表しました。今号では使用状況の内容を報告します(2015と16年度は記事n00103参照)。

★調査対象農作物は10種、調査農家数477戸
 調査対象の作物は表に示したように、コメ、ぶどうと野菜類8種、計10種です。調査対象農家数は、作物ごとに異なり、29から80戸で。合計477戸でした。農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が、予め当該農家に農薬使用状況等記入簿を配布し、使用された農薬の適用農作物、使用量又は希釈倍数、使用時期及び使用回数の調査を行うものです。農家は、栽培した作物1検体分(コメの場合2kg以上、その他は、5個以上かつ2kg)を提供して、残留農薬分析が行われることになっています。

 今回の使用調査では、不適正な使用(対象作物、使用量・希釈倍率、使用時期、使用回数)は、見事にゼロ行進でしたが、これで、生産者はみんな「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」にある農薬使用履歴を帳簿に記載するという努力規定を守って、農薬のラベル表示どおりに適正に使っていると安心するわけにはいきません。国内の販売農家約120万戸のうちFAMICのお目がねにかなった477戸がセーフだという証にすぎません。
表からわかるのは、せいぜい、作物ごとに平均何回の農薬が使用されるかということぐらいで、ぶどうは20.1、たまねぎは17.9、ネギは16.4、なすは14.1回も使用していたのかとその多さに驚きます。

【福島県大熊町のイチゴ:適用外農薬見逃す】6月に福島県大熊町で発覚したケースは、イチゴの生産企業ネクサスファームおおくまの農薬発注先であるJA福島さくらが誤ってイチゴに適用のない農薬を供給したことが発端ですが、JAも出荷会社も作業者もだれも、適用外農薬であることに気づかす=すなはち、容器の適用表を読まずに使用してしまい、いちごの出荷前になってはじめて、適用がない農薬で栽培したこと=農薬取締法違反だったことを知り、出荷を中止したというものです。これは、農薬使用者側がいかにいい加減な意識で農薬を使っているかの悪しき事例です。6月20日のネク社の出荷時期の変更についてをみると『JA福島さくらとは、「今回の農薬誤納品で生じた損失補償金を弊社へ支払う」ことで合意しております。』とあり、間違いに気づかなかった己の責任を認めていません。これには、首を傾げざるをえません。

 残留農薬調査では、一律基準や残留基準を超えるケースは、ありませんでしたが、農薬残留状況(農薬別作物別)については次号で報告する予定です。

対象農産物調査農家数農薬の
総使用回数
平均使用回数不適正使用の
あった農家数
誤った作物に
使用
誤った使用量又
希釈倍数で使用
誤った時期に
使用
誤った回数で
使用
米穀602904.80 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
ぶどう601,21220.20 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
だいこん605779.60 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
さといも291715.90 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
ほうれんそう583035.20 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
みずな301655.50 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
ねぎ6098516.40 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
たまねぎ3053617.90 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
なす6084814.10 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
さやいんげん3014950 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)
4775,236110 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)0 (0.0%)


作成:2019-06-30