表 2018年度の都道府県別、農薬によるミツバチ被害件数★農水省は。養蜂蜜蜂のみに注目〜野生の蜜蜂・ポリネーターは眼中にない
県名 2013-16 17年 18年 県名 2013-16 17年 18年 県名 2013-16 17年 18年 北海道 104 13 6 静岡 0 0 0 岡山 1 0 0 青森 5 1 0 新潟 1 0 0 広島 2 0 0 岩手 5 2 1 富山 0 0 0 山口 0 0 0 宮城 0 0 0 石川 1 0 0 徳島 1 0 0 秋田 8 3 0 福井 0 0 0 香川 0 0 1 山形 0 0 1 岐阜 14 2 0 愛媛 0 0 0 福島 7 1 2 愛知 0 2 1 高知 0 0 0 茨城 1 0 1 三重 0 0 0 福岡 10 0 1 栃木 14 4 1 滋賀 0 1 0 佐賀 5 0 0 群馬 5 1 2 京都府 2 0 0 長崎 1 0 0 埼玉 0 0 0 大阪府 0 0 0 熊本 5 1 1 千葉 4 0 0 兵庫 2 0 0 大分 6 0 0 東京都 0 0 0 奈良 1 0 0 宮崎 6 1 2 神奈川 4 0 0 和歌山 6 0 0 鹿児島 0 1 0 山梨 0 0 0 鳥取 0 0 0 沖縄 1 0 0 長野 2 0 0 島根 4 0 1 計 228 33 21
・情報の共有(提供)に基づく対策の実施(巣箱の移動、巣門の閉鎖、避難場所の設置、 蜜蜂に配慮した農薬散布等):40都道府県 ・蜜蜂被害に関する知見、被害軽減対策等の周知(通知の発出、講習会での周知等):32都道府県 ・被害軽減のための体制の整備(協議会の設置、開催等):13都道府県また、『2017年度に被害33件のうち、2件で18年度にも同一の場所で被害が報告された。31件については、巣箱の設置場所の変更、情報共有の推進による農薬散布期間中の巣箱の退避等の対策により、30年度に被害報告はなかった。
【北海道】2013年〜18年の被害は123と一番多く、18年は6件で、前年から半減しました。 実施した対策は、地域別対策会議を開催し、地域ごとに可能な対策を講じた/農薬散布情報の 提供の徹底/事前に防除計画情報を提供/養蜂家に対する現地指導/巣箱設置情報の情報提供などで、 効果があったのは、『養蜂家に対する現地指導を行ったこと により、巣箱の避難等に対する意識が高まり、 一部の養蜂家が避難場所の確保 に取組んだ結果、道内の被害件数が半減したことから、避難場所の確保が 有効 な対策であることが確認された。』 ただし、避難のための労力確保が難しい。という課題が残り、今後 、放牧地の活用等避難場所の検討 【栃木】2013年〜18年の被害は19ですが。18年は1件で、前年から3件減りました。 水稲農家へは、 各農協を通じて水稲農家向けチラシを配付。養蜂家へは、養蜂家向けチラシ及び 個人防除の予測時期及び無人ヘリによる農薬散布情報を配布 県は栃木県無人ヘリコプター推進協議会に対して、蜜蜂の飼育場所等の情報を提供 2018年度から県は各農協に、管轄内だけでなく、隣接地域の蜜蜂飼育場所等の情報 を追記して提供した。 水稲農家及び養蜂家への注意喚起を促すことから効果はある 課題として、個人防除者への蜜蜂の飼育場所等の情報の伝達が困難 養蜂家の巣箱情報を提供する際に、個人情報保護の観点から、提供が難しい場合もある。 養蜂家が巣箱を水田の周辺から退避させるには、他に設置する場所がなく、実施が困難な場合がある。 【岐阜】2013年〜18年の被害は16ですが。前年から2件減り。18年は0でした。 農林事務所から養蜂業者の情報を農協などの農薬使用者に提供することで、 被害の削減に一定の効果あり。 天候等により急に農薬散布の予定日が 変更になった場合、巣箱の退避等の対応が難しい。 【秋田】2013年〜18年の被害は11ですが。前年から3件減り。18年は0でした 養蜂業者に対し過去の蜜蜂事故の発生事例を紹介した。 ほ場の近くで蜜蜂が飼養されている場合 は危害防止対策を徹底するよう農業者に 対し依頼した。 養蜂業者に対し、蜜場周辺における無 人ヘリの防除計画等について情報提供を 実施した。 課題として、個別農家の農薬散布計画について情報提供が行われず、養蜂業者が事前に 散布情報を 把握できない場合がある。 農家側も周辺で蜜蜂を飼養して いる養蜂業者の連絡先が分からず、情報提供できない場合がある。 【福岡】2013年〜18年の被害は11ですが。18年は1件で、前年から増えました。 養蜂家へ農薬散布情報を提供することにより、巣門の閉鎖等の対応が可能となった。 降雨(梅雨など)が続いたあとの晴天の日は、防除と蜜蜂の活動が重なり、調整が難しい。 【福島】2013年〜18年の被害は10ですが、18年は2件で、前年から1件増えました 対策は、農水省の指示通りで、関係機関における養蜂家の飼育情報の共有と防除実施者から 養蜂家への情報提供。 課題として、防除情報を提供しても、多数の蜂群を有る養蜂家は対策を実施できないこと (それにより空中散布を断念し た事例もある)。また、ドローンで個人防除を実施する場合、 養蜂家と情報共有を図る際に軋轢を生じることがある。 【宮崎】2013年〜18年の被害は9ですが。18年は2件で、前年から1件増えました。 無人ヘリを含む水稲防除日程の周知が図られたと考えられ、被害防止に一定の効果があった。 個人により無人ヘリ防除日程についての情報共有が行われていないケースがある。 【岩手】2013年〜18年の被害は8ですが。18年は1件で、前年から1減りました。 連絡協議会の開催で、 県、市町村、JA、県養蜂組合でのJAの防除暦(主に水稲および果樹)、 蜜蜂飼育届内容、無人ヘリコプター防除計画を共有し、事前の巣箱の待避 が円滑に進んだ。 カメムシ防除との因果関係が明らかでない被害事案もある。蜜蜂斃死には、農薬被害以外情報が乏しい。 カメムシ防除回数が減少、または不要となるよう環境整備するなど、抜本的な対策が必要と思われる これに向けては、農産物検査におけ る着色粒規定の緩和等も一つの方法ではないかと考える。 【群馬】2013年〜18年の被害は8ですが。18年は2件で、前年から増えました。 水稲開花期における蜜蜂被害軽減対策についてのパンフレットを養蜂家へ配布効果あり。 養蜂家が諸事情により巣箱の位置を明らかにできない場合があるため、 農薬使用者はどこに 巣箱があるのか把握できず、現状の対策 に限界がある。 養蜂家に巣箱を退避する場所が無いことがある。 【熊本】2013年〜18年の被害は7ですが。17と18年は1でした。 無人航空機による防除計画の養蜂家へ の配布 巣箱の設置場所や無人航空機の防除計画等の情報の精度が低いものがあり、活用されていない。 無人航空機の防除時期や箇所等の情報を提供しても、巣箱の設置数が多く、移動が困難 水稲防除時期の避難場所の設置。養蜂家の要望に合う避難場所の確保 【青森】2013年〜18年の被害は6ですが。17年1で、188年はゼロでした。 関係団体の認識や養蜂家と耕種農家との連絡調整の強化を図った 養蜂家から耕種農家及び耕種農家から養蜂家への情報提供、防除計画と巣箱位置の情報共有する 毎年春先の農作業時期に入る前に、散布ほ場と巣箱の位置に係る情報を連絡し合う。 飛散の危険がある場所から巣箱を遠ざける等の対応が行われるよう働きかける。 現在の防除計画は詳細な散布予定日や散布ほ場の記載がないため、 防除計画に記載の連絡先に対し、 養蜂家が自ら詳細情報を確認する必要がある。 【和歌山】2013年〜18年の被害は6ですが。17と18年は0でした。 無人航空機による農薬散布計画を畜産課及び地域の養蜂組合へ提供 関係者の情報共有に努める。 【大分】2013年〜18年の被害は6ですが。17と18年は0でした。 同意のあった養蜂家の巣箱の位置等の情報を無人航空機防除業者へ提供し、防除地域周辺における 巣箱の有無を事前確認をする 無人航空機防除業者からの防除計画の提出が遅れがちで、養蜂家へ迅速に情報提供出来ないことがあり、 計画書を早急に提出するよう指導する。 【島根】2013年〜18年の被害は5ですが。17年は0と18年は1でした。 有人ヘリ連絡協議会(島根県森林病害 虫等防除連絡協議会) 情報提供:養蜂家から耕種農家へ(内容:飼育場所、飼育蜂郡数、飼育期間、 方法:文書) 耕種農家から養蜂家へ (内容:無人航空機防除実施計画、方法: 文書、県のHP) ・養蜂家側の課題:飼育届(住所、連絡先等)の情報提供に同意していない養蜂家に対し 耕種農家からの情報提供ができない。 ・耕種農家側の課題:無人航空機防除実施者・JA生産組織 以外の農業者に、 蜜蜂農薬被害防止対策の 周知が徹底されているとはいえな い。 【佐賀】2013年〜18年の被害は5ですが。17と18年は0でした。 施設野菜で用いる蜜蜂の被害防止、無人ヘリ防除による蜜蜂被害を防止 、水稲および果樹ほ場の 近隣の巣箱の 被害防止 として効果があったと考える。 系統外業者の無人ヘリ防除計画の提 出が直前になることがあり、情報共有す ることが難しい。 【千葉】2013年〜18年の被害は4ですが。17と18年は0でした。 農林水産航空事業の実施計画につい て、町字単位での詳細な散布計画の情報 を収集し、養蜂家へ提供 転飼調整会議で県畜産課と連携し、県養蜂協会の各地区役員に注意喚起 詳細な蜂の飼育場所が分かりにくい。町字単位での詳細な散布計画の情報 収集に時間がかかる。 【神奈川】】2013年〜18年の被害は4ですが。17と18年は0でした。 関係団体を通じ、養蜂家と耕種農家にお いて、蜂場設置場所や農薬使用に関する 情報を共有 農薬を大規模散布する際、農薬使用者 から養蜂家へ事前連絡
【散布情報・共有化など】農水省の指導の骨格のひとつで、殆どの自治体で行われています。 農薬使用者と養蜂者の情報共有で、農薬使用者が農薬散布情報を、養蜂者は巣箱の設置情報を 互いに交換共有することですが、両者の連携がスムーズに行かない点が、指摘されています。 また、巣箱の退避先がない、移動が困難など、養蜂者の対応がとれないケースもあります。 個人情報保護や盗難防止の観点から、養蜂者が巣箱の位置情報などを提供しないケースが、愛知、 島根、大分でみられました。 【使用農薬の剤型や散布時刻について】農水省は、粒剤の利用を推奨していますが、 これを検討しているのは、秋田と石川の2県で、石川県は、価格が高いことから、浸透しないと しています。また、散布時刻についての検討は、山形しかみられませんでした。 【水稲カメムシ対策と無人航空機による農薬空中散布について】農水省は、養蜂蜜蜂被害について、 今までの通知等で、『水稲のカメムシ防除に使用された殺虫剤に、蜜蜂が直接暴露したことが 原因である可能性が高いと考えられること。』としていますが、蜂の直接被曝に限定している上、 殺虫剤名すらあげていません。カメムシ駆除には、ジノテフラン、クロチアニジンなどの ネオニコチノイド系やエチプロール、エトフェンプロックスがよく使用されます。 水田では、7-8月の水稲の開花時期に、無人航空機で散布されることが多いため、空散情報の提供が 問題になります。 作物別には、下記のような自治体が検討していました。水稲関係が多く、岩手県が、 『カメムシ防除回数が減少又はなくす/農産物検査における着色粒規定の緩和する』を あげているのは、注目されます。 ・水稲又は斑点米カメムシ対策:19県(岩手、秋田、山形、宮城、茨城、栃木、群馬、長野、富山、 石川、福井、愛知、愛媛、福岡、佐賀、熊本、宮崎、鹿児島。沖縄) ・松くい虫対策:3県(長野、富山、島根)、・ウメ輪紋ウイルス;東京都 ・果樹対策:5県(岩手、山形、富山、愛知、佐賀) ・ゴルフ場農薬;2県(三重、滋賀) なかでも、農薬濃度が高く、高所から広範囲に農薬を散布する無人航空機による空中散布は、 周知されても、実際の巣箱の退避は簡単ではありません。 ・無人航空機対策:26県(岩手、宮城、山形、群馬、栃木、埼玉、長野、静岡、石川、愛知、滋賀、 京都、兵庫、和歌山、鳥取、島根、山口、徳島、香川、愛媛、佐賀、長崎、熊本、宮崎)。 うち。ドローン型は、福島、兵庫の2県で、福島は個人のドローンによる防除情報が得られるかに 疑問を呈しています。 また、兵庫は、『ドローンを用いた空中散布については、事業計画、実績報告の必要がなくなり、 従来行っていた「蜜蜂の飼育及び農薬に係る情報提供実施要領」に基づく養蜂家への情報提供が行えなくなる ことから(この件は、記事n01701参照)、関係者間の情報共有に支障を及ぼす。 (近年、@ドローンを用いた空中散布を行う防除業者が増加している。A今後、無人ヘリ並に 大規模に農薬散布が可能な大型ドローン参入が見込まれる中、トラブルの発生を懸念している。)』総じていえることは、農水省の対策では、養蜂蜜蜂の被害をなくすことは出来ず、まして、自然界のポリネーター対策のおいておや、ということになります。
・農薬使用者と養蜂家の間の情報共有 ・巣箱の設置場所の工夫・退避 ・巣門の閉鎖(併せて日陰に設置するなどの対応が必要) ・農薬の使用の工夫(粒剤を使用する、蜜蜂の活動の盛んな時間の使用を避ける等)養蜂関係者の組織である日本養蜂協会(養蜂業者数2,905業者)は、農水省からこの通知に協力するようとの依頼要請を受け、会員向けに独自の通知を発出していますが、その中で、農薬被害があったと思われる場合は、都道府県の畜産担当部局に連絡するだけでなく、協会にも報告をお願いするとなっています。
−通年モニタリングによる市街地養蜂に対するネオニコチノイドの発生源及び暴露経路推定− 亀田 豊,藤田 恵美子(千葉工業大)さんの発表要旨
|