農薬の毒性・健康被害にもどる


n01703#農薬危害防止と線路除草剤問題〜JR各社から回答#19-08
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 農薬危害防止運動に関して、当グループがJRの鉄道除草について農水省・国土交通省へ要望し、回答を得ました。そこで、JR各社に、あらためて、問い合わせと要望を送りましたが。前文については記事n01505で紹介していまので、本号では、設問と回答を以下に示します。
 JR北海道以外の各社から返事がありましたが、内容は、漠然としたものにすぎません。特に、農水省らからの通知の配布については、殆ど同じ文言でした。

【設問1】貴社は、本年度に発出された農薬危害防止運の実施についての連絡通知を、
 どこから、何時、どの部署で、お受取りになりましたか。
 【JR東日本回答】
  「2019年度農薬危害防止運動の実施」につきましては、本年5月に関東運輸局より発出された
  文書を弊社として受領しております。
 【JR西日本】
  農薬危害防止運動の実施についての連絡通知につきましては、関係官庁発信文書により、
  担当する技術開発部にて受領し、同通知の主旨を踏まえ、関係箇所に対し周知の手配を行っております。
 【JR四国】
  農薬危害防止運動の実施についての連絡通知につきましては、関係官庁発信文書により
  弊社総務部が受領し、担当する安全推進室が同通知の主旨を踏まえ関係箇所に対し周知しました。

【設問2】上述の省令や通知のの内容を遵守するよう、貴社の植栽管理や線路等の除草担当部署、
   各駅管理者に、いつ、どのような、周知連絡されましたか。ご確認の上、実施状況を点検してください。
 【JR東日本回答】
  弊社では、法令等を踏まえた適正な除草剤の使用及び管理等に努めており、弊社内関係箇所や
  担当者等に対し、必要の都度文書等により指導及び周知を行っております。
★除草剤散布について〜使用除草剤の名称も教えない
 以下の3つの質問をしましたが、いずれの社からも除草剤不使用や、農薬についての具体的な回答はありませんでした。
【設問3】わたしたちは、沿線の住民や農作物に農薬や除草剤が飛散し。被害を与えることは、
   省令や通知に違反すると考えています。
   鉄道運航安全上、除草が必要な場合や駅等の植栽管理に、出来るだけ農薬や除草剤を
   使用しないようにしてください。周辺の状況が目視できない夜間散布はやめてください。

【設問4】万一、農薬や除草剤を使用する場合は、沿線や駅等周辺の公共施設や住民、農業者に、
   散布計画を周知した上、その意見を聞くことが重要だとおもいますが、貴社は、いかがお考えですか。

【設問5】、本年の貴社の線路除草計画は、どのようになっていますか。除草の場所及び時期、
   農薬を使用する場合は使用除草剤名を教えてください。また、散布計画地域への周知は実施されるか
   どうかも合わせてお答えください。
 【JR東日本の3,4への回答】
  弊社といたしましても、除草剤に関する環境対策及び適正使用の徹底をはかっているところであり、
  今回いただきましたご意見につきましても参考とさせていただき、引き続き適正使用及び
  管理等に努めてまいります。
 【JR東日本5への回答】
   除草計画につきましては、繁茂する草や沿線の状況などを勘案したうえで策定しており、
   除草剤の使用に際しては、散布を行う請負会社に対し、農林水産省出典のリーフレット
  「農薬飛散による被害の発生を防ぐために」に基づき、近隣住民等への十分な配慮を行うよう
   契約時に指示しているところです。

 【JR西日本】
  当社では除草作業は手刈・機械刈等を基本とし、やむを得ず除草剤を使用する場合について、
  作業時の薬剤の飛散による薬害の発生防止に、最大限留意して作業を実施するよう
  周知しております。
  除草剤の使用にあたっては、「農薬の販売の禁止を定める省令」、毒物及び劇物取締法、
  PRTR法(第一種、第二種指定化学物質)における指定物質を含まない薬剤を使用するとともに、
  農林水産省による「住宅地等における農薬使用について」の順守事項を踏まえ、特に
  住宅地等に隣接する場合について、個別に地元と話をして散布箇所を決定するなど、
  除草剤の
  飛散による危害防止に努めています。

 【JR四国】
  当社では、除草剤散布については、作業員が目視にて散布範囲・散布状況を確認し
  弊社用地以外に飛散しないよう細心の注意を払って実施しております。散布について
  線路沿線沿いの方々への周知は行っていませんが、近隣の土地に影響しない範囲で実施して
  いるため問い合わせ等もありません。
  線路除草については、草の生育状況に合わせて適宜実施しており、使用除草剤は農林水産省登録の
  適切なものを使用しています。

【設問6】2015年以後、貴社の線路等の除草や農薬使用で、飛散による農作物の被害や周辺住民からの
   クレームの事例がありましたら、当該場所/時期/使用農薬/被害状況を教えてください。
 【JR四国】周辺住民からのクレームについては個別に対応しており、詳細の開示は控えさせて
  いただきますのでご理解下さい。
  今後も当社における除草作業や除草剤の散布について、沿線の皆様に配慮しながら実施してまいります。
★JR東海〜まともに答えない
  JR東海は、東海道新幹線に加え、東海道線、御殿場線、身延線、中央本線、高山本線、紀勢本線、関西本線ほかの在来線を管理していますが、回答は、『 弊社におきましては、在来線沿線の一部で除草剤を使用した植栽管理や除草を実施しております。  除草剤を使用する場合におきましては、国の基準や関係法令等を遵守して使用しております。
 ご理解を賜りますようお願い申し上げます。』でした。

★JR九州〜昨年の沿線除草剤被害状況にはダンマリ
 設問6は他社と異なり、『昨年の福岡県の農作物被害については、農水省は、詳細を貴社に尋ねてくれといっています。昨年の問い合わせについては、下記のURLにアップしておりますので、ご回答お願いします。また、事案発生に伴い、農水省や国土交通省からのいつ、どのような指導があったかも教えてください。』としましたが、以下の回答があっただけです。
 『ご心配をお掛けしております。昨年8月に鉄道用地への除草剤散布における沿線農作物への   被害を発生させ、沿線の方々、関係省庁ならびにJAの皆様のご指導を頂き、再発防止に   現在努めているところであります。関係者の皆様のご理解もいただいている状況であり、今後も連携を図り取組んで参りますので、個々の質問に対する回答は控えさせていただきたいと存じます。   今後とも農作物等への被害を発生させないよう取組んで参りますので、ご理解の程よろしくお願い致します。』

★6年前と変わらぬJRの体質
 今回のJR各社の言い分は、わたしたちが、6年以上前に鉄道各社への問い合わせ(駅等における無農薬植管理及び線路除草について)の際の回答を想起させます。下記に、記事t25602にあるJRについて記述を再掲しておきます。いえることは、除草剤を適正に使用すればいいというJRの体質は、今も変わらないということです。
***2012年12月のてんとう虫情報記事「鉄道除草と駅植栽管理で農薬使用アンケート
             〜回答の約6割が線路用地などで除草剤使用」より***
 ★JR系6社は除草剤を使用
  JR6社(北海道、東日本、東海、西日本、九州、四国)からは、いずれも簡単な記述の回答を
  得ました。路線が長く、駅が多いせいか、線路用地での除草剤を全く使わないという会社は
  ありませんでした。
  安全運行をめざし、線路用地は、除草のほか、場所によっては防草シートの設置や製鋼スラグを
  用いた防草工事を行っている個所もあるようです。

  JR北海道は『人力・機械伐採、もしくは除草剤散布。水路に近い個所を避ける。天候や時間に
   注意している』。
  JR四国は『市街地や農耕地付近は草刈機による手作業を基本とし、山間部等の一部区間においては、
   1回〜2回/年の頻度で、登録農薬を使用方法等を遵守し、天候を配慮して散布する』
   とありました。
  JR西日本は『当社の監督のもと薬剤に精通した専門業者に委託を行う』としています。
  JR東日本からは『使用量・範囲は最小限に抑え、使用する除草剤については、人畜毒性では
   普通物、魚毒性ではA類を基本としています。また、散布条件が悪い場合は作業の中止を徹底するなど、
   周辺に影響を与えないようルール化している』との回答とともに、『2010年度は、221トンの
   除草剤を使用しております。なお除草剤の製剤名や使用区間等の詳細につきましては回答を
   差し控えさせていただきます』とありました。
  JR東海は、『沿線等における除草等の植栽管理につきましては、在来線の沿線の一部におきまして、
   除草剤を使用しております。また、駅等におきまして、お客様に危害を与えうる害虫の駆除を
   目的に必要最低限の範囲で殺虫剤や殺菌剤を使用する場合がございます。』という当たり障りのない
   回答でした。同社は、1985年、神奈川県の高架下での除草剤散布で、農作物に被害えたことの
   あるだけに、その反省が行き届いているのでしょうか。
  「住宅地通知」の注意事項の周辺への周知は実行されているかどうか、明確でありませんでした

作成:2019-08-30