食品汚染・残留農薬にもどる

n017074#福島県大熊町:震災・原発除染復興に、みずをさした農薬取締法違反のイチゴの施設栽培#19/08
【関連記事】記事n01502
【参考サイト】大熊町:Top Page  イチゴ栽培施設が着工(2018年3月27日)
            いちご栽培施設管理運営者の選定結果(2019年1月11日)  広報おおくま6/01号p7
       ネクサスファームおおくま:Top Page 会社案内 事業内容

 東北大震災と福島第一原発メルトダウンによる放射能汚染被害からの復興事業として、福島県大熊町が建設したイチゴの栽培施設(ポットスライド型高設養液栽培で、約2ha)から、予定より1ヶ月半遅れの8月初旬から始まりました。同施設では、6月20日にイチゴ栽培に適用外農薬を使用するという農薬取締法違反の失態が明らかになりました(記事n01502.htm)。その経緯を教えてもらいたいと思い、大熊町とイチゴ栽培の管理会社ネクサスファームおおくま(以下、ネクサス社という)に問い合わせをしました。新聞報道もされていたので、きちんと答えてくれると思ったのですが、あにはからんや今回は違いました。

 問い合わせは以下のように、いままで同様事例に類した文面でした。
 *** ネクサスファームおおくま への問い合わせ ***

  東日本大震災と東京電力の原発爆発事故で、被害を受けた貴町で、復興のため、大熊町いちご栽培施設が
  建設され、その管理運営に、ご努力されていると拝察します。

  しかし、報道及び貴社のお知らせによると、本年から栽培のイチゴに適用のない農薬を使用された
  とのことで、これは農薬取締法違反にあたります。
  農水省が、2017年度の農薬使用状況調査を公表し、477戸の調査で、不適切な使用はなかったと
  報告した後だったので、町営施設での違反栽培は遺憾に思います。
  
 そこで、下記のお尋ねをしますので、7月16日までに、お返事ください。

  1、JA福島さくらに注文された農薬名、受け取った農薬名はなんでしたか。

  2、大熊町が建設したイチゴ栽培施設では、どのような規模で、作業者は何名おられ
ますか。
   また、農薬はどのような方法で使用されていますか。年間、使用計画があれば、どのような
   農薬をどのような目的で使用されるかも教えてください。

  3、当該農薬発注から使用、誤りにきづき、お知らせをだすまでの経緯を日時を追って、教えてください。
  
  4. 農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令第二条1項には、『適用農作物等の範囲に
   含まれない食用農作物等に当該農薬を使用しないこと。』などがあります。
   当該農薬使用前に、ラベル表示で確認されなかったのはなぜですか。

  5.同省令第九条 にある帳簿の記載はされていましたか。

  6、誤使用について、どなたが、どのようなことで、いつ、気づかれましたか。

  7、誤使用で栽培されたイチゴは収穫されましたか。残留農薬を調査をされておれば、その結果を教えてください。

  8、誤使用があったハウスは、何個所あり、他の栽培ラインへの影響がないことはどのようにして確認されておられますか。

  9、再発防止のため、どのような対策をおとりになりますか。
★報道情報も確認せず、経緯を明らかにできないと
 ネクサス社からの回答は、『この度、お問い合わせいただきました内容に関して、社内で検討した結果、 情報公開に関する規定に基づきご回答する事が出来かねます。』 でした。
 また、大熊町には、『町は、イチゴでの不適正な栽培について、管理者にどのような指導をされましたか。また、栽培・農薬使用について指導マニュアルがあれば、お示しください。』との要望を加えましたが、回答は、『栽培施設は町有ではあるものの、運営自体は(株)ネクサスファームおおくまが行っており、町からの返答は差し控えさせていただきますので、ご了承願います。』とありました。

   ネクサス社の代表取締役は、大熊町の副町長なので、両者は示しあわせて、口をつぐんだに違いありません。せっかく、みずから、農薬取締法違反の農薬使用を公表したにも拘わらず、その経緯をきちんと教えてくれない姿勢を解せません、  福島民報の報道でわかることは、下記です。
  ・ネクサス社からイチゴの殺菌剤の注文を受けたJA福島さくらの職員が間違えて、苗の
     殺菌に使う農薬「べンレート水和剤」(登録番号第20889号で、有効成分ベノミル;40%、
     イチゴの炭疽病、萎黄病に適用あり)でなく、「ベンレートT水和剤20」(登録番号第20888号で、
     有効成分ベノミル;20%、チウラム:20%、イチゴに適用なし)を発注し、ネクサス社に納品した。
  ・ネクサス社は、納品された農薬を確認しないで、四月下句に品種「すずあかね」の約19000株の定植時に使用した。
  ・同社社員が、農薬の袋のデザインが異なったことに気づき、適用外農薬を使用したことが発覚した。
★JA福島さくらもノーコメント
 問題のベンレート剤を誤納入にしたJA福島さくらにも、問い合わせをしましたが、上記の報道記事内容を確認しただけで、他の質問にはノーコメントでした。
 *** JA福島さくら への問い合わせ ***
  1、ネクサス社から注文を受けてから、誤使用の連絡を受けるまでの経緯を日を追って、教えてください。

  2、最初注文をうけた農薬販売所はどこで、当該販売所は、農薬取締法第十七条(販売者の届出)の
   届けをだしておられましたか。
   また、当該販売所へのネクサス社からの発注は文書でしたか、電話・口頭でなされていましたか。

  3、福島県における「農作物病害虫防除指針」で、いちごには、どのような農薬が適用できる
   ことになっていますか、指針の該当個所をお示しください。

  4、ネクサスから、注文のあった農薬製剤名及び貴JAが誤出荷された農薬製剤名はなにでしたか。

  5、当該出荷農薬のラベル表示について、
   (1)適用作物や適用方法などが、明記されていましたか。
   (2)いちごへの適用はどのようになっていましたか。
   (3)ラベル表示で、製剤名が紛らわしい、読みにくいなどの問題はありませんでしたか。
   (4)出荷時に、いちごへの適用をチェックされましたか。

  6、貴JAは、いつ、どこから、どのようなことで、当該農薬の誤配送に気づかれましたか。

  7、ネクサス社のお知らせには、『JA福島さくらとは、「今回の農薬誤納品で生じた損失補償金を
   弊社へ支払う」ことで合意しております。』となっていますが、
   貴JAは、農薬使用者であるネクサス社が、みずから、ラベル表示のチェックをせずに、
   使用したことについて、どうお考えですか。

  8、貴JAでは、出荷に際し、生産物の放射能検査に力をいれておられますが、農薬使用については、
   生産者にどのような方針をお示しになっていいますか。
   また、いちご栽培・農薬使用について指導マニュアルがあれば、お示しください。

  9、再発防止のため、どのような対策をおとりになりますか。

  10.本事案については、農水省及び福島県の農政関連部署に報告されましたが。された時期と
   その内容について教えてください。
 要するに、JA福島さくらは納品間違に気づかず、ネクサス社は農薬容器の記載内容を確認もせず、イチゴに使用したことが、農薬取締法違反の主因です。
 その後、同社は、苗を植えなおし、8月の出荷につなげたわけです。出荷は加工用で、放射能検査もパスしているとのことですが、自ら栽培に使用している農薬がなにかを企業秘密としているようでは、消費者の信頼を得られません。
 農水省には、食品の安全性を求めるわたしたちの声にきちんと応えるためにも、農薬取締法違反事例にきちんと対応しててもらいたいののです。

作成:2019-08-30