食品汚染・残留農薬にもどる
n01903#農薬及び関連物質による危被害 (1)残留基準違反や農取法違反10事例#19-10
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巻頭記事では、食品安全委員会が示した「食品健康影響評価指針」が、わたしたちの主張と相容れるものでないことを述べましたが、食品のリスク管理も、いかに、頼りないものであるかという実態を農薬危被害のひとつ農薬適用違反・残留基準違反の事例から検証します。
★国産農作物の残留基準違反
今年3から9月までの約半年に、新聞報道などで、明らかになった国産農作物の農薬取締法や食品衛生法違反として、記事n01702で大熊町のイチゴを、記事n01704で愛媛県の蜂蜜)を示しめしましたが、今号では、その他の10事例(うち、適用外使用4件)ありました。
【JA福岡市東部 シュンギク】3月11日、 JA福岡市東部が出荷したシュンギクからIGR系殺虫剤成分のルフェヌロン0.35ppm(一律基準0.01ppm)を検出されたこと明らかになり、回収措置がとられました。
【JAやまがた 食用ベニバナ】5月17日、JAやまがたが、自主点検の結果、食用ベニバナに適用外の農薬ベストガード水溶剤を使用していたことが判明、出荷停止と回収の報告をしました。同剤はネオニコチノイド系のニテンピラムを有効成分とする殺虫剤です。
【JA東とくしま コマツナ】5月25日、徳島県は、JA東とくしまのみはらしの丘あいさい広場産直市で販売されたコマツナを、県安全衛生課が簡易検査したところ、適用外のプロシミドンが0.03ppm検出され、回収されました。生産農家が使っていい農薬と勘違いしていたのが原因ということです。
【JA倉敷かさや 連島ゴボウ】6月6日、倉敷市保健所の収去検査で、名産の連島ゴボウからメタミドホスが0.05ppm(残留基準0.02ppm)が検出され、出荷したJA倉敷かさやが7日に、お詫びを広報し、回収措置をとりました。その後、12日に、他のゴボウには、違反はなかったとして、出荷再開されました。メタミドホスは日本では登録されておらず、アセフェートの代謝物であったと思われます。
【JAひだ ホウレンソウ】7月23日、JAひだが出荷したホウレンソウに、自主検査の結果、適用外のフルベンジアミドが一律基準を超えて検出され、お詫びと回収の報告がなされました。
高山市内の生産者が、昨年、トウモロコシに、同成分を含む殺虫剤フェニックスを使用した防除散布機を使用しましたが、洗浄不十分が原因とされています。
【JA新いわて ミニトマト】7月31日、JA新いわては、雫石町管内の生産者がミニトマトにで適用外のカスミンボルドーを使用したことが判明、お詫びと出荷停止、自主回収の報告をしました。
当該農薬は、カスガマイシンを有効成分とし、トマトやキュウリには適用される殺菌剤です。残留分析結果は、0.01ppmで、残留基準0.2ppmを超えるものはなかったとのことです。
【さいたま市 牛肉にイソプロチオラン】8月11日、さいたま市食肉衛生検査所が収去検査した牛肉にイソプロチオラン0.17ppm(牛の筋肉の残留基準0.02ppm)を検出し、回収及び廃棄が命じられました。これは、さいたま食肉市場出荷組合が出荷した茨城県産のもので、牛の肝疾患用の動物用医薬品としての用途もあります。
【JA摩周湖 ホウレンソウ】8月15日、JA摩周湖は、Aコープてしかが店で販売した袋詰めホウレンソウからプロシミドン0.03ppm(一律基準0.01ppm)を検出、お詫びと自主回収のお知らせを発出しました。
【JA全農長野 パセリ】9月11日、JA全農長野傘下のJA川上蔬菜販売から出荷されたパセリを横浜市が収去検査したところ、ボスカリドが0.05ppm(一律基準0.01ppm)検出され、273ケースが自主回収されることになりました。当該生産者ハ検出農薬の使用実態がないということで、原因不明のままです。
【JAおおいた ミツバ】9月20日、JAおおいたは、11日出荷した「大分市産みつば」に、有機リン剤アセフェートが0.059ppm(一律基準0.01ppm)検出されたことを公表し、自主回収を始めました。当該生産者は約100kgを出荷していましたが、その他の生産者も含め、14都府県へ出荷された約1トンが回収されるとのことです。
ミツバを栽培していたビニールハウスに隣接するキャベツを栽培するハウスで使っていた殺虫剤オルトランが風で飛散したのが原因としていますが、ハウス越しに汚染されたことに対し、農薬取締法違反ではないと説明し、他の生産者8名のミツバには、残留基準違反はなかったとしています。
作成:2019-10-30