健康被害にもどる
n01904#農薬及び関連物質による危被害 (2)農薬関連の事件・事故20事例#19-10
本年3月以降の農薬やその関連物質にかかわる事故や犯罪を、報道からピックアップしました。農薬空中散布の安全ガイドライン(kiji/n01701参照)が発出されたばかりの7月に、無人ヘリコプターやドローンの事故が5件も起こったことや農薬・殺虫剤がらみの火災・犯罪の多さが心配です。
【クマよけ剤】3月18日、岐阜県高山市の新穂高ロープウェイ・第1ロープウェイ(標高約1000m)のゴンドラの乗客約40人中10人が、刺激臭により体調不良を訴えたということです。手持ちのクマよけスプレーが、気圧の影響で、漏れ出たのが原因と考えれられています。
10月9日、北海道札幌市の北海学園大学でも、サークル部室のある建物で、学生ら約100人が、のどや眼の痛みを訴え、5人ば病院に搬送されました。山岳サークルの学生がクマ撃退スプレーを誤って噴射したのが原因でした。
、 いずれも、クマよけ剤に含まれる辛子系のカプサイシンによるものと思われます。
【塩素か、硫化水素か】4月8日、長野県安曇野市の民家で、異臭が発生し、トイレで倒れていた男性と様子をみにいった親族3人が病院へ搬送されました。酸性洗剤があり、なんらかの有毒ガスが発生したと見られています。トイレで次亜塩素酸系製剤が混合使用されていたら、塩素ガスの発生が疑われますし、硫黄系入浴剤と混合されたら、硫化水素が発生します。
【農薬散布や除草中の死亡事故】<5月11日、佐賀県小城市のミカン園の急斜面で、農薬散布車が転落、運転していた男性が振り落とされ、死亡しました。
6月13日、秋田県男鹿市のナシ園で、農薬散布中の事故で男性が散布車と木に挟まれて死亡しました。
8月31日、山梨県笛吹市の柿園で、乗用型除草機で作業中の女性が機械と柿の木の間に挟まれ死亡しました。
【農薬等による火災】6月28日、JA伊勢の玉城支店で火災が発生。倉庫にあった小麦や軽トラが被災しました。 農薬も保管されていたということですが、どうなったか不明です。
7月5日。愛知県大治町にある同朋高校乗馬部の倉庫で、火災がありました。点火されていた蚊取り線香の火が、近くにあった殺虫剤スプレーに引火し、干草から倉庫に燃え移り、関係者一名が。火傷を負ったとのことです。
8月16日、福岡県春日市のアパートで、通電をとめられていた住民がろうそくを使っていたところ、殺虫剤スプレーに引火し、火災となりました。家人がやけどしたとのことです。
9月2日、大阪府豊中市にある 大日本除虫菊社の中央研究所で、スプレー缶による、火災がおこりました。研究室で、殺虫剤の耐久性試験を行っていたところ、スプレー缶が破裂し、他のスプレー缶にも引火し、約50m2が焼け、約1時間半で、鎮火したものの、負傷者はいませんでした。
【空中散布事故】7月29日、茨城県筑西市で、水田で農薬(殺菌剤アゾキシストロビン含有のアミスターエイト水和剤とジノテフラン含有殺虫剤スタークル液剤10)の空中散布を行っていた有人ヘリコプターが高圧線に接触し、墜落・破損し、操縦士が負傷しました。実施主体は茨城県西農業共済組合で、ヘリの所有はエス・ジー・シー・佐賀航空社でした。
無人航空機については、国土交通省が平成31年度無人航空機に係る事故報告をしており、4月から7月に空中散布中の事故が5件ありましたが、いずれも、人の被害はなしでした。
4月16日、岡山県岡山市で、100kg級無人ヘリが家屋の外壁に接触して墜落
7月23日、兵庫県多可郡 25kg級ドローンが電線に接触し損傷。
7月27日、北海道石狩市 25kg級ドローンが電線に接触し損傷。
7月28日、北海道赤平市 100kg級無人ヘリが電線に接触し損傷。
7月31日、新潟県新潟市 100kg級無人ヘリが電線に接触し損傷。
【除草剤による樹木の枯死】山形県鶴岡市の藤島歴史公園は、2015年に開園しましたが、フジの花が有名です。6月上旬、フジの木13本とイチョウの木1本に除草剤が散布されているのが判明しました。その後、フジ1本が枯れ、9月には、新たに3本が枯れました。
市は、同公園では除草剤を使用しておらず、、8月下旬に、何者かが、故意に除草剤を撒いたとして、警察に被害届を提出し、器物破損の疑いで捜査が行われるそうです。
2012年ごろ、神社等の古木に除草剤が散布された事件を思い出します(記事t25505c)。
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【農薬盗難事件】8月27日、愛媛県はJA愛媛たいきに、8月27日〜9月29日までの34日間の毒物劇物販売業の業務停止処分を命じました。同JAでは、櫛生出張所で、劇物指定の農薬「スプラサイド水和剤及びアグロスリン乳剤」の盗難が発生し、管理責任を問われたためです。
9月11日、 長野県塩尻市の畑の倉庫から、転売目的で、農薬を盗んだとして、男が逮捕されました。朝日村でも4月に劇薬指定の殺虫剤が盗まれ、ほかにも10数件の被害届がされているため、容疑者は、余罪が追及されるとのことです。
【小動物事件】5月13日、大阪市生野区の 「北鶴ふれあい公園」で、飼い犬が草むらに置かれていたドッグフードを食べ、嘔吐・痙攣を繰り返し、一週間後に死亡しました。餌には、エチレングリコールが含まれており、ほかにも同薬品が入った容器が公園で見つかっており、警察は動物愛護法違反で捜査しています。
今夏、福岡県北九州市小倉港から約10kmの響灘にある「馬島」(地域ネコの多い「猫の島」として知られている)で、この5年前に90匹いたネコが30匹まで減ってしまったとの報道がなされました。青色の薬品がついた魚を食べて不審な死に方したとの目撃住民もいるため、動物虐待問題に取り組むNPO法人「SCAT」は、10月4日に(ツイッター参照)、動物愛護法違反で警察に告発状を提出しました。
作成:2019-10-30