行政・業界の動きにもどる
n02101#地方自治体の条例・要綱・要領・指針等で、農薬被曝や摂取の防止を#19-12

【関連記事】5・31集会案内記事t31002記事t31102
【参考サイト】長野県:10月15日のプレスリリース「環境政策を推進する条例に関する意見を募集します」
         環境省:G20 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境関係閣僚会合の頁
               持続可能な社会づくりのための協働に関する長野宣言(6/14)
         イマココラボSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)

 6月に長野県で開催された環境問題についてのG20関係閣僚会議で、「持続可能な社会づくりのための協働に関する長野宣言がだされ、これを踏まえて、同県議会が、「環境政策を推進する条例に関する意見」を募集していることにふれました(詳しくはプレスリリース参照)。宣言では、『気候変動と密接に関連する火急の課題が、陸上及び海洋の生態系・生物多様性の保全である。研究者たちは、「惑星の限界(プラネタリー・バウンダリー)」の議論の中で、生態系とその生物多様性の崩壊の危険性を強調してきた。「惑星の限界」とは、その範囲内に開発・消費を留めなければ、人類と他のすべての生命が将来にわたって発展し生存し続けることができないというものである。』との認識が示されています。わたしたちは、いままで、長野県での松枯れ対策の空中散布禁止を求め、農薬使用に反対してきましたが、宣言で、生物多様性がとりあげられていることは、農薬使用削減に通ずるところです。

 長野県の環境条例意見募集については、本記事をリライトしたものを送付しました(送付意見)。

★遵守省令と住宅地通知をもとにした農薬使用規制
【参考サイト】ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議:ニュースレター Vol.109 Feb.2018 中下裕子さんの提案記事

 反農薬東京グループのいままでの運動では、農薬の人体被曝は、大気・水など環境由来と食品由来に分けた場合、健康被害の訴えが絶えない前者について、行政サイドへの対応に重きをおいてきました。しかし、省庁などの中央官庁への要望やパブコメ意見では、法規制の実現が遅れます。そこで、生活により身近な地方自治体の条例・要綱・要領・指針など(以下、条例等という)においても、具体的なアクションを求めようと、2017年5月に、農薬危害防止運動への消費者・市民提案集会「今こそ人とミツバチ等への農薬被害を食い止めよう」を開催し(集会報告は記事t31002.記事t31102参照)、さらに11月には、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議とともに、「生活環境中の農薬ばく露から子どもの健康を守る条例について」の勉強会で、住宅地通知の遵守に主体をおいた提案をしました(記事t31602)。

 農薬については、国が登録している農薬について、たとえば、環境や人への影響をあたえているネオニコチノイドやグリホサードの登録をするなということのほかに、地方自治法に基づき、使用規制等を求める議会の意見書が、国会議長や担当大臣宛てに送付されていますが(有機農業ニュースクリップにあるネオニコチノイド農薬関連年表の議会の欄参照)、県の条例等で、農水省等の努力規定での指導内容を具体化することも可能です。

★有効な「遵守省令の条文」をみてみよう

 地方自治体の制定する条例等は、もとになる国の法律で、どのように定められているかが重要です。
 農薬使用については、2003年に制定され、その後、何度か改定された「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」(以下、遵守省令という)が役立ちます。
 さらに、省令第六条(住宅地等における農薬の使用)に基づき、農薬被害者と農水省らとの交渉を行い、その結果生まれたのが、同年9月の通知「住宅地等における農薬使用について」(以下、住宅地通知という)でした。その後も、通知の改善をめざし、2度の改定で2013年の現通知となっています。しかし、遵守省令も住宅地通知も、努力規定が多く、条文にある内容が遵守されないことが問題です。そのため。法的な規制とともに、県の条例等による使用規制の強化を目指さねばなりません。たとえば、囲み記事に示したような事例があります。
遵守省令の第一条にある農薬使用者の責務は以下のようで、この責務を果たすための具体的な実施事項を、条例等に記載することはなんら問題ありません。

 第一条 農薬を使用する者(以下「農薬使用者」という。)は、農薬の使用に関し、   次に掲げる責務を有する。    一 農作物等に害を及ぼさないようにすること。    二 人畜に危険を及ぼさないようにすること。    三 農作物等又は当該農作物等を家畜の飼料の用に供して生産される畜産物の利用が     原因となって人に被害が生じないようにすること。    四 農地等において栽培される農作物等又は当該農作物等を家畜の飼料の用に供して     生産される畜産物の利用が原因となって人に被害が生じないようにすること。    五 水産動植物(2020年4月から 生活環境動植物となる)の被害が発生し、かつ、     その被害が著しいものとならないようにすること。    六 公共用水域(水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する     公共用水域をいう。)の水質の汚濁が生じ、かつ、その汚濁に係る水(その汚濁により     汚染される水産動植物を含む。)の利用が原因となって人畜に被害が生じないようにすること。

  また、自治体の担当部署は、使用者に対し、第二条以下にある下記の努力規定を遵守するように、、条例等で強く指導することもできます。
  すなはち、

 第二条1項では、食用作物について表示ラベルに反する不適切な使用は、農取法で罰則が科せられ、  第二条2項でも、適用作物違反、農薬の貯蔵や使用上の注意事項、最終有効年月を守らなければ、   樹木や非食用作物でも、条例等の規制対象になります。  第四条1項で、農薬空中散布計画を提出しないと罰則を科せられるのは、有人ヘリ空中散布だけですが、   無人航空機のうち無人ヘリコプターは飛行ガイドライインで義務化されています。   条例等では、ドローン型にも計画届けをださせればよいでしょう。  第五条1項(ゴルフ場農薬) については、散布計画を提出しないと罰則が科せられるが、  第四条2項と五条2項の域外への飛散又は流出防止は、条例等で規制することができます。  第六条(住宅地使用)と第七条(水田農薬)でも、飛散又は流出防止は条例等による規制で対処できます。  第八条(クロピクの被覆)は、『農薬を使用した土壌から当該農薬が揮散することを防止するために   必要な措置を講じるよう努めなければならない。』とあり、住宅地通知とともに、条例等での   規制となります。  第九条(使用農薬の帳簿記載)は農薬使用者に。条例等で、義務付けるとよいと思います。

 これらをもとに、以下のような意見をまとめてみました。

【1】農薬の受動被曝をへらすために
 住宅地周辺の農地や公園、学校や運動場その他公共施設、一般家庭等での農薬使用は、住宅地通知で、守るよう定められた多くの事項がありますが、その大部分は、努力規定であり、遵守義務ではありません。たとえば、この通知に関して、神奈川県は農薬安全使用指導指針(2019年12月18日一部改正)で、下記のようになっています。

  住宅地等(学校、保育所、病院、公園等の公共施設内の植物、街路樹並びに住宅地に近接する農地及び森林等)
  における病害虫防除に当たっては、農薬の飛散が周辺住民・子供等に健康被害を及ぼすことがないよう
  農薬の散布を行う土地・施設等の管理者、殺虫・殺菌・除草等の病害虫防除の責任者、農薬使用委託者及び
  農薬使用者等は次の事項を遵守すること。

 (1)近隣に影響が少ない天候の日や時間帯を選び、風向きやノズルの向きに注意し、農薬の飛散が
  少なくなるように散布すること。
 (2)事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、農薬散布の日時、農薬の種類等を記した書面や看板等
  により周知すること。
 (3)農薬を使用した年月日、場所、使用した農薬の種類又は名称、使用量又は希釈倍数について記帳すること。
 (4)近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮すること。
 (5)周辺住民等から農薬の散布が原因と疑われる体調不良等の相談があった場合には、農薬中毒の症状に
  詳しい病院又は公益財団法人日本中毒情報センターの相談窓口等を紹介すること。
 (6)特に農地以外については、次の事項を遵守すること。
   ア 病害虫の早期発見に努め、病害虫の発生や被害の有無に関わらず定期的に農薬を
    散布するのではなく、病害虫の発生状況に応じた適切な防除を行うこと。
   イ 被害を受けた部分のせん定や捕殺等を優先的に行い、農薬使用の回数及び量を削減すること。
   ウ やむを得ず農薬を使用する場合は、最小限の区域における農薬散布に留めること。

 (6)に関していえば、遵守省令には農地においても『病害虫に強い作物や品種の栽培、病害虫の発生しにくい適切な土づくりや施肥の実施、人手による害虫の捕殺、防虫網の設置、機械除草等の物理的防除の活用等により、 農薬使用の回数及び量を削減すること。』となっていることも遵守すべきです。
 さらに、保護具を装着する散布者よりも、周辺住民の被害が多い土壌処理剤クロルピクリンについては、

  劇物であり、常温でガス化しやすく、そのガスは人体の粘膜を強く刺激するとともに植物に対しても
  薬害を及ぼすので、次のことに留意すること。、
   ア 住宅密集地では絶対に使用しないこと。
   イ 人家及び畜舎から十分(100m以上)離れていることを確認すること。ただし、育苗用土の消毒で
     全面をポリエチレンフィルムで被覆する場合、マルチ畦内処理を行う場合、または、0.03mm以上の
     ポリエチレンフィルムで被覆する場合を除く。

 とされていますが、土壌処理後のクロルピクリンが大気や水系を汚染し、被覆を除いたあとも周辺住民の健康にどのような影響をあたえているかの調査もなされていません。
 わたしたちは、以下の事項を条例等に折り込むことを求めます。

 ・住宅地周辺では、農薬を使用しない植栽管理を優先させる。  ・防除業者や無人航空機空中散布者の届出制度を作り、散布計画の届けと公表を義務付け、   公共施設などでの防除業者には、化学物質過敏症の専門家を加えた講習会への出席を義務づける。  ・農薬使用者には、最終有効期限が切れた農薬の使用を禁じ、使用履歴の記載を義務付ける。  ・農薬使用者には、HPや配布ビラ、学校や公共施設での掲示、立て看板、放送などで、周辺住民への   散布要件の周知(散布地域、連絡先、散布予定日時、散布農薬名、散布目的、立入禁止期間など)   を義務付ける。  ・住民の被害が多いクロルピクリンの被覆を義務づけ、住宅地周辺では禁止する。  ・農薬使用者は、散布地周辺に生活する化学物質に過敏な住民には、被曝による健康被害の   防止のための措置をとるよう義務づける。  ・農薬登録のある除草剤も、登録のない除草剤(住宅地通知の適用外である)も、住宅地等での使用を制限する。  ・毒劇指定農薬や登録のない非農薬系除草剤を販売する業者の指導に際しては、レジ等で、   譲渡者に注意をおこなうことを義務付ける。  ・道路や線路周辺での除草剤の散布でも、飛散防止措置をとることを義務付ける。   (道路でのグリホサート散布で、50m以内の作物被害が約88%、110mのところでも被害があった)  ・農薬除草剤及び農薬登録のない除草剤の生活圏での使用規制を行う。  ・農薬の販売者には、購入者に対し、毒劇法、遵守省令、住宅地通知の内容を熟知させる義務を科す。  ・養蜂ミツバチや自然界のポリネーターに、影響を与える農薬についても、農薬使用者に、散布計画の   都道府県への届出と周辺への周知を義務付ける。  ・行政の実施する植栽事業の仕様書には、上記を明記し、事業の実施状況をフォローする。  ・上記に違反して、人や環境等に被害を与えたり、農薬飛散の措置をとらない使用者には、農薬使用を制限する。

【2】農薬空中散布の被害をへらすために
  有人ヘリコプターによる空中散布は、散布面積は減りつつありますが、水田や松林で依然として続けられています。また、有人ヘリにかわり、無人ヘリが、さらには、地上散布にかわり、ドローン型ヘリによる散布面積が増加しています。
 作物についての適用登録があり、単位面積あたりの使用量が地散と同じならどんな農薬でも空中散布することが可能です。
 空散は短時間で広い面積で上空から撒布するため(無人ヘリは作物上3−4m以下、ドローンは2m以下)、液剤では地上散布より高い希釈濃度で行われ、一層の飛散拡大が心配されますし、粒剤では、ローターの風圧で、農薬の微粒粉塵が舞いあがります。
 また、果樹のように斜面にあったり、山林や松林のように樹高のある対象に散布すれば、風による飛散距離もひろがります。散布可能な風速は3m/秒以下ですが、これは、地上1,5mでの測定にすぎないからです。
 わたしたちが求めるのは下記の事項です。

 ・住宅地周辺での有人ヘリや無人航空機による空中散布は、目標を決めて、縮小し、   人が手動で操作する散布は、やめるべきである。   (群馬県では、松枯れ農薬散布で被害住民の訴えを聞き入れ、農業団体に有機リンの空中散布の    自主規制を求めた。その結果、無人ヘリ空散面積が大幅に減少した)  ・空散防除業者は、届出制度をとる。  ・無人航空機は、無人ヘリコプターもドローン型も、実施主体及び散布者は実施計画及び実績の届出義務を負う。  ・無人航空機による空中散布は、実施主体や散布者に散布計画提出を義務付けるとともに、地元住民の   意見を聞いて、その可否を判断する。  ・空散実施主体や散布者には、周辺住民、養蜂・養蚕・水産養殖者、水道管理者、周辺有機農業者等に   散布計画を周知し、飛散防止や避難措置を行うことを義務付ける。  ・無人航空機の安全ガイドラインでは、無人ヘリもドローンも同等に規制し、事故を起こしたり、散布高度や   風速規制を守らなかったり、地域外へ飛散させた散布者等には、ペナルティーを科する。  ・空中散布高度や風速規制の遵守、障害物との接触や地域外への農薬飛散防止のための自動制御装置の   搭載を無人航空機に義務付ける。  ・架線や住宅その他、障害物がある地域では、目視による空中散布を実施しない。  ・飛散防止のための十分な緩衝地帯を設置することを義務付ける。  ・マツノザイセンチュウへの効果が明確でない松枯れ空中散布は認めず、樹種転換などで対応する。

【3】作物の残留農薬を減らすために
【参考サイト】厚労省:食品中の農薬の残留基準値設定の基本原則について(2019年7月)
       食品安全委員会:残留農薬に関する食品健康影響評価指針案についての意見募集(2019年5月)
              反農薬東京グループの意見「残留農薬に関する食品健康影響評価指針」(2019年9月)(パブコメ意見への見解あり)
       EUの場合:残留農薬に関する規制 JETROと農林水産・食品調査課の2015年の報告
             農薬DB(ADIなど残留基準など)

★問題が多い残留基準の決め方
 わたしたちは、食品中の農薬残留について、残留基準違反を農薬危被害のひとつととらえるとともに、食品からの農薬摂取を出来るだけ少なくするよう、厚労省に求めています。
 日本の残留基準は、残留試験で、作物ごとの最大残留値をもとめ、それに作物ごとの平均摂食量を乗じて、人が一日あたり、どれだけ その農薬を摂取するかを推算して、ADI(生涯にわたり食べつつけても影響をうけないと推定される一日摂取許容量)の80%以下なら安全だと評価されています。
 しかし、これを超えても可食部係数や加工調理係数を乗じて、無理に80%以下にみせかけるのが厚労省のやり方です。ADIだけでは、一般的ですぎて、体重の軽い人たち、偏食の人にはあてはまらないと批判した結果、一つの作物を一度にたくさん食べるひとのために、ARfD(一度に食べた場合、急性中毒にならない急性参照用量)が導入されました。
 ADIについては、EUの場合、自国での作物栽培に使用しない農薬は、一律基準なみの低値となっているのに対し、日本では、国内使用がなくとも、輸入相手国の言い分をきいて、高い基準にすることが多いという問題があります。
 わたしたちは、厚労省の残留基準設定の際のパブコメにおいて、基本的には、下記のような認識で、意見を述べていますが、高すぎる値は変更されたのは、わずかしかありません。

 (1)同じ毒性試験でも、国によって、ADIの評価値が異なることがあるので、低い方を設定するよう求める。
 (2)作物ごとの外国での栽培条件、食習慣の違い、残留試験方法、基準の決め方が不明のため、他国の
  基準値そのものと日本の残留基準の高低を比較することはあまりしないが、外国の高い基準や
  残留試験データが不明な国際基準をそのまま、日本の基準とすることに反対している。
 (3)残留試験においては、現行より試験数を多くし、日本の気象条件下で栽培し、適用登録の要件と
  同じ農薬使用方法で残留試験を実施することを求めている。
  たとえば、残留量の増大につながり、国内適用のない防黴用殺菌剤、ポストハーベスト、
  プレハーベスト使用をもとにした基準値に、反対するのはその最たるものである。
  アメリカで多くみられるような、残留試験の最大残留値を散布当日の値とすることに反対している。
  さらに、特定農薬に耐性を有する遺伝子組み換え作物の輸入も反対である。
 (4)厚労省の、TMDIの対ADI比が80%をこえなければ可とする残留基準の決め方に反対である。
  また、幼小児の場合、TMDI/ADIが成人の2倍であっても可とすることにも反対である。
 (5)短期摂取推定量であるESTIの対ARfD比が、10%を超える残留基準の設定にも反対している。
 (6)厚労省は、TMDIの対ADI比、ESTIの対ARfD比の算出において、残留基準より低い
  残留暴露量(残留試験でえられた中間値など)を採用し、両比率を目安より低くみせる場合もある。
  それなら、低い残留量なみに基準を設定すればよいと主張している。
 (7)農水省は国内農産物の輸出の拡大を目指し、相手国の低い農薬残留基準に適合した農薬を用いて
  栽培をするよう指導している。一方で、国内向けには、高い残留基準の農薬を使用してもいいという。
  外国向けに、低基準の農薬を使えるなら、国内も同様にすればよい。
 (8)農薬を使用しなければ残留しないというのが大前提であり、農薬の使用による環境汚染の結果、
  蜂蜜や畜産品、魚介類などへの蓄積・残留を認めるような農薬の基準を決めることも反対である。
 (9)わたしたちは、残留基準を、市場流通食品の残留量=残留実態にもとづいた基準値にすべきだと、
  主張している。また、 原則的には、1ppmを超える農薬の残留は認めない。
 (10)厚労省の設定する残留基準で、TMDI/ADI、ESTI/ARfDが高かすぎる場合、全体的に
  もっと低値にすべきである。
  また、たくさん食べるコメなどの食品のTMDIへの寄与率が高い場合は、1ppm以下の提案値でも、
  より低くすることも求めている。

★自治体の条例等に求めることをまとめると
【関連記事】記事t31601記事n01801
 わたしたちは、農薬の残留量の少ない食品を供給するため、以下を条例等に組み込むことを求めたいと思います。

 ・保育園、幼稚園、学校など子どもの給食の食品には有機栽培作物を使用する。
 ・地域で流通する食品の残留分析件数を拡大し、残留基準違反を公表するだけでなく、検出範囲も公表する。
 ・GAP=農業生産工程管理の資格認定においては、農薬の安全使用基準を守る=ラベル表示どおりの使用、
  散布履歴を記帳することが記求められているが、遵守省令で努力規定とされている項目が実行されている
  ことも、資格認定の基準に組み込み、自然環境や生活環境の汚染を防止しなければ。資格を与えない。
 ・作物毎に農薬使用回数、使用量を現行の半分以下に減らすよう、目標をきめて実施する。
  また、優良実施事例を調べ、公表・推奨する制度をつくる。
 ・残留基準違反者はもちろん、遵守省令義務違反者は、罰則を適用したり、講習会への参加を義務付ける。
 ・遵守省令の努力規定(農薬使用履歴の記帳、水田への流出防止、散布域外への流出、クロピクの被覆など)の
  違反者には、自治体は、農薬の使用禁止や出荷停止のペナルティーを科する。
 ・農薬の散布域外への飛散により、住民・環境への影響を与えたり、有機農作物の認証が取消された場合、
  原因者はその補償をする。
 ・県内で、生産したり、販売する農作物には、使用された農薬名を記載し、消費者に、どのような
  農薬が使われたかわかるようにする。これは、使用農薬の履歴記載を利用すればよい。
 ・現在農水省は、2018年改定の農薬取締法における再評価制度に基づき、14の対象農薬
  (ネオニコチノイド3種、グリホサート系4種を含む)のメーカーに再登録評価のための試験資料の
  提出を求めめているが、どの農薬に、どのような理由で、どんな資料を求めているか不明であり、
  地方自治体はこれを質した上、当該農薬の再評価が終わるまで、同じ成分を含む農薬製剤の
  適用拡大や新規の製剤登録による使用を認めないようにすべきである。
 ・EUで、人の健康への影響や環境・生態系への影響などを問題視し、安全性を示すデータが、
  十分でないとして、使用出来なくなったり又は登録されていない農薬成分が多数ある(記事t31601の表参照)。
  また。2018年には、ネオニコチノイド類のイミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムが、
  開放系での使用ができなくなっている。地方自治体の条例等では、該当する農薬の使用規制をする。


*** 【囲み記事】国よりも、厳しい地方自治体の条例等が制定されている事例 ***
@兵庫県の防除業者についての要綱や指導です。
  2003年の農薬取締法改定で、防除業の届出は不要となったが、県は実施しています。
  ・兵庫県の防除業者の皆様へのお願いの頁 
  ・兵庫県防除業者に関する指導要綱防除業届
    
  ・防除業者の皆様へ (2019.1.18) 農薬の適正な使用について

A名古屋市の施設等における農薬・殺虫剤等薬剤の使用状況調査
  名古屋市がやっている調査で、市民の声で実現しました。
  ・名古屋市のHPにある調査のまとめ
  市は、使用状況の詳細を、毎年、公表してくれ、反農薬東京グループのHPに掲載しています。
  ・施設別使用状況 2017年屋外2017年屋内

B無人航空機による農薬空中散布のガイドラインでは、計画のうち、ドローンは地上散布なみに、
 都道府県への届けが不要になりました。
 農薬空中散布に関するものではありませんが、多くの自治体が飛行制限の条例等を制定しています。
 国よりも厳しく、無人ヘリコプターもドローンも散布計画を提出するようにすべきです。

 ・国土交通省:無人航空機の飛行を制限する条例等
 ・長野県:2019年の空中散布計画一覧
  このような広報をHPで行っている自治体は少なく、無人ヘリコプターにもドローンにも適用し、
  実施主体に連絡先や無人航空機の機種名、散布地図をつけて、公表させるよう義務づけることは、何ら問題ない。
  また、群馬県や長野県では、県民の健康や環境への影響防止の意向をくみ、国が適用登録をした有機リン剤を
  空中散布しないよう散布者に自粛を求めている、条例でなくとも、厳しく指導することが可能です。
 
 農薬散布で受動被曝をうける住民の立場から使用規制内容を決めることが重要です。


作成:2019-12-30、更新:2020-01-14