農薬の毒性・健康被害にもどる
n02601#2020年度農薬危害防止運動はじまる〜実施要綱にみられる変化#20-05
【関連記事】記事n01301(2019年度防止運動通知)、記事n02102(2018年度無人航空機事故)
記事n01702(2018年度ミツバチ被害)、記事n01904(2019年度農薬事故)
【参考サイト】農水省;農薬の適正な使用の頁、「2020年度 農薬危害防止運動」の実施について、実施要綱とポスター
農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況についての頁
平成30年度農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況、発生状況(2014〜18年度)と詳細情報
農薬工業会:冊子「農薬中毒の症状と治療法」の利用についてと
「農薬中毒の症状と治療法」第18版(医療従事者用)(2020年4月。日本中毒情報センター監修)
農水省、厚労省、環境省等による本年度の「農薬危害防止運動の実施について」の通知は、昨年より3週間遅れ、5月15日に公表され、多くの都道府県では、6月から月間運動(実施期間は原則6月1日から8月31日までの3ヶ月間)が展開されていると思います。
前文につづく、「実施要綱」には、もくじが新設されていましたが、構成は前年と大差なく、何個所かが、追加・改定されていました
以下に、昨年度の実施要綱との主な違いを紹介しますが、なによりも、不思議なのは、危害防止運動の通知が発出された後、5月29日に、2018年度の農薬被害・事故事例が公表されたことです。逆もいいところで、被害事例をもとに、防止対策等が検討されるのが、順序だと思います。残念ながら、被害事例の詳細の紹介は次号にまわしますが、2018年の人の事故は死亡4人と中毒21人、農作物及び魚類の被害はそれぞれ7件と5件。蜜蜂被害は21件でした。
2019年度の無人航空機事故報告も、後日、発表がありました(2020年度の無人航空機による農薬等の空中散布における安全対策について )。48件の詳細はこちらにでていますが、紹介はやはり、次号になります。
★趣旨では、コロナ問題に触れられたが
冒頭の<第1 趣旨>では、末尾に、『本年度の農薬危害防止運動については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に十分配慮し、密閉空間、密集場所、密接場面を避けて実施するほか、外出自粛などの各都道府県等の状況に応じて、可能な取組を進めることとする。』と記載があり、どんなことだろうと読みすすめると、『新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に十分配慮し、例年行っていた講習会等や対面での農薬使用者等への指導については、対面で実施しない又は時期を変更する等、各地域の実情に応じた柔軟な対応をとるものとする。』とあります。対面なくして、十分な現場での指導が行われるとは思えませんし、講習会の参加人数が減るのも問題です。
インターネットを活用したオンライン講習会を開催するのかと、農薬対策室に尋ねましたが、下記のような回答でした(下段の【緊急要望】の【要望1】と【質問1】も参照)。
新型コロナウイルス感染症の状況は各都道府県等によって異なりますので、各地域の状況に
応じて可能な取組を進めることとしています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に
十分配慮しながら、オンライン講習会も含め地域の実情に応じた様々な方法で、指導事項の
周知徹底を行ってまいります。
すでに、広島県では、今年の「農薬危害防止講習会」の開催を中止し、チラシとともに、講習会で予定されていた説明資料がHPへアップされています。農薬使用等の講習は、オンライン授業のような双方向形式にして、資料を読んで理解したどうか、質問して、回答をもらうようにでもすれば、まだしも。単に資料を公表するだけでは、講習にはなりません。同県は、別途、実施していた「農薬適正使用アドバイザー認定試験」について、検討中としていますが、どうなるか?
★<4 実施主体>で、優良事例をとりあげようと
運動の要綱では、『実施主体は、国、都道府県、保健所設置市及び特別区とする』となっており、国は、『農薬の適正使用等についての指導を行う』とされ、都道府県、保健所設置市及び特別区にあっては、『地域の特性を活かした運動方針、重点事項等を掲げた実施要領を作成し、運動の活発化を図るとともに、取組の効果の検証に努めるものとする。』とあります。地方自治体等は、この要綱をもとに、独自の要領等を作成することもできます。(たとえば、神奈川県の令和2年度農薬危害防止運動の頁参照)
ところで、この項目で、下記のような「優良事例の共有」方針が示されたことは、歓迎すべきことです。
『国は、各都道府県等での取組の効果を検証し、優良な取組事例等を
全国レベルで共有することにより、農薬の適正使用に係る指導を充実
させるとともに、次年度以降の運動の実効性をなお一層高めるよう努
めるものとする。』
すでに、環境省は、2010年に作成した「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」に基づいた「マニュアル優良事例」Vol.1を2013年に、Vol.2を2017年に発行しています。
私たちは、農水省。環境省と通知「住宅地等における農薬使用について」の改定をめざし、交渉していましたが、その過程で、2012年春、街なかの芝生や街路樹、花卉等について「樹木や花卉、芝地などに農薬を使用していない農薬フリーゾーンの設置や表彰制度を提案しました(記事t24701、記事t2402)。さらに、会員やHPなどで、「樹木や花卉、芝地などに農薬を使用していない施設や地域」を募集し、各地から多くの事例を集めました(記事t25002、記事t25606)。
今回、農水省、環境省は新たに、優良事例を調査・検証しようとしているのは、有意義なことです。私たちのリストにあった西東京市の事例はその後も生き続けています(記事t31603)。
★運動のテーマに<農薬は周りに配慮し正しく使用>
前年までの<第5 運動のテーマ及び重点指導項目>が『令和2年度は、運動のテーマを「農薬は周りに配慮し正しく使用」と設定することとする。』として改稿され、 『農薬の適正使用等に関する必要な知識の普及、農薬の使用に関する情報提供等を通じて農薬使用者の自発的な知識・理解の向上や農家の適正使用を図っていくことを念頭に置きつつ、本運動における適正使用を周知する媒体(ポスター、リーフレット等)において、引き続き、「農薬を知る。理解する。適正に使う。」(2019年度の運動テーマ)のロゴなどの使用にも努めることとする。』という文面となりました。
重点指導項目は 前年と同じ趣旨で、4項目がありますが、赤字部分で示したように表記が変更されています。
@ 土壌くん蒸剤を使用した後の適切な管理の徹底
A 住宅地等で農薬を使用する際の周辺への配慮及び飛散防止対策の徹底
B 誤飲を防ぐため、農薬の容器の移し替えについて注意喚起 →
B 誤飲を防ぐため、施錠された場所に保管するなど、保管管理の徹底
C 農薬ラベルによる使用基準の確認の徹底
★<第6 実施事項>について
ここでは、下記の3つに分けて、記述されています。
<第6-1>農薬及びその取扱いに関する正しい知識の普及啓発
<第6-2>運動中に実施した活動や取組に係る検証の実施
<第6-3>農薬使用者、農薬販売者等の関係者への指導等
【<第6-1>の(2)啓発資料の配布や情報配信等を通じた普及啓発】では赤字部分が追加されました。
・農薬使用者のほか、毒物劇物取扱者、農薬販売者、さらには地方公共団体の施設管理部局等、
施設内の植栽管理のために病害虫防除を委託する可能性のある者等を対象として、農薬の安全
かつ適正な使用、農薬の適正販売、農薬による危害の防止対策、事故発生時の応急処置、
関係法令等に関する啓発資料の配布又は電子メール若しくはSNS等を活用した情報配信等により、
農薬の取扱いに関する正しい知識の普及を図ること。
・農薬の安全かつ適正な使用や保管管理、中毒時の応急処置、地域の医療機関情報等について解説した
資料により、理解の増進に努めること。また、地域の実情に応じて、生産者団体や作物ごとの部会
及び出荷先(直売所等を含む)等を通じた情報発信を行うことで、個々の農薬使用者に
指導事項の周知徹底が図られるように工夫すること
★<別添:指導等における留意事項>について
別添は17頁あり、上記の <第6-3>で、『農薬による危害を防止するとともに、農薬の正な使用や販売を推進するため、また、有用生物や水質への影響を低減するために、農薬使用者、農薬販売者等の関係者に対して、別添に掲げる事項について指導等を徹底すること。』とされたことに対応するもので、下記の項目にわけられており、この要綱の中核です。主なものを紹介します。
<別添-1>農薬による事故を防止するための指導等:指導ほか4事項
<別添-2>農薬の適正使用等についての指導等 :指導ほか4事項
<別添-3>農薬の適正販売についての指導等 :5つの指導
<別添-4>有用生物や水質への影響低減のための関係者の連携:3つの対策
【クロルピクリンについて】別添-1の(1)農薬使用時の事故防止対策の周知にある
<ウ 土壌くん蒸剤の使用に当たっての安全確保の徹底>では、今年3月発出の消費・安全局長通知
「被覆を要する土壌くん蒸剤の適正な取扱いの徹底について」(元消安第5645号)」を示した上、
・使用場所や周辺の状況に十分配慮して防除を行うこと。特に、住宅地等に近接する場所に
おいては、被覆を要する土壌くん蒸剤の使用以外の防除方法を検討すること。
やむを得ず、被覆を要する土壌くん蒸剤を使用する場合は、農薬の揮散によって周辺住民等に
健康被害が生じないよう最大限注意するとともに、事前に周辺住民に対して十分な時間的余裕をもって
幅広く周知すること。
と記載されました。
(下段の【緊急要望】の【要望2】と【要望4】も参照。
上記の局長通知ついては、【要望2】の[回答]に概要を示した)
【住宅地通知について】別添-1の(1)の<エ 住宅地等における農薬使用に当たっての必要な措置の徹底>は、
昨年と殆ど同じですが、 赤字が追加され、
・農業生産場面 住宅地等の周辺ほ場(市民農園や家庭菜園を含む。)において、農薬を散布する
場合は、飛散の少ない剤型の選択や飛散低減ノズルの使用、周りに影響が少ない等、
農薬の飛散を防止するための必要な措置を講ずる
・事前に、農薬を散布する日時、使用農薬の種類等を記した書面・看板等により、周辺住民への
周知を十分な時間の余裕をもって幅広く行うこと。
となりました。
【農薬空中散布について】別添-1の(1)の<オ 有人・無人航空機による農薬散布に当たっての留意事項の
遵守の徹底> は、2.5頁におよび、特に 昨夏、無人航空機について、無人ヘリコプターとドローンに
わけた通知「空中散布に係る安全ガイドライン」が制定されたせいで、安全かつ適正な農薬散布の
実施のための10項目の指導が記載されています。
・実施区域周辺に学校、病院等の公共施設、家屋、蜜蜂の巣箱、有機農業が行われている
ほ場等がある場合には、危被害防止対策の一つとして、当該施設の管理者及び利用者
並びに居住者、養蜂家、有機農業に取り組む農家等に対し、農薬を散布しようとする
日時、農薬使用の目的、使用農薬の種類及び実施主体の連絡先を十分な時間的余裕を
持って情報提供し、必要に応じて日時を調整すること。
・周辺農作物の収穫時期が近い場合、実施区域周辺において有機農業が行われている場合
又は学校、病院等の公共施設、家屋、水道水源若しくは蜂、蚕、魚介類の養殖場等が
近い場合など、農薬の飛散により危被害を与える可能性が高い場合には、状況に応じて、
無風又は風が弱い天候の日や時間帯の選択、使用農薬の種類の変更、飛散が少ない剤型の
農薬の選択等の対応を検討するなど、農薬が飛散しないよう細心の注意を払うこと。
ほかがありますが。農薬飛散による人や生態系への影響防止に関して、一番の問題点は。無人ヘリコプターに
義務付けられた散布計画や散布実績の都道府県担当部署への提出が、ドローンでは、
免除されていることです(記事n01701、記事n02301。下段の【緊急要望】の【要望3】も参照))。
【農薬の保管管理について】別添-1の(2)<農薬の保管管理及び適正処理に関する指導>は、農薬の誤飲・
誤食による中毒事故や危害・犯罪防止のための項目ですが、
・毒劇物たる農薬が飛散し、漏れ、流れ出し、染み出し、又は地下に染み込んだ場合に
おいて、保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その旨を保健所、
警察署又は消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために
必要な応急の措置を講じること。また、毒劇物たる農薬が盗難にあい、又は紛失した
ときは、直ちに、その旨を警察署に届け出ること。
が、追加されました。ペットや野鳥の殺害に、農薬がしばしば使われているのに、加害者の摘発はまれです。
要綱に『盗難』や『警察』という語句が使われたのも、めずらしいことです。
【別添2の(4)その他の留意事項】では、農薬取締法改定で<水産動植物>を<生活環境動植物>に変更したことに加え、
下記の事項が追加されました。
・医療や畜産の分野での薬剤耐性菌対策について、世界的に関心が高まっている。
農作物等の防除における抗菌剤(殺菌剤)の使用に関しては、農作物等の病害虫防除の
分野での薬剤耐性菌の発達も重要な課題であるところ、同一系統の薬剤の連続散布を避け、
病害虫の発生状況に応じた計画的かつ必要な範囲での使用が重要であることに留意すること。
【無登録除草剤について】別添3の<(5)農薬として使用できない除草剤の販売に対する指導>は、
植栽管理に使用できない無登録除草剤の販売についてですが、昨年、農水省が、農薬メーカーや販売者に、通知を
だして、大きく取り上げた割には、地味なあつかいになっています。
5項目の指導内容も昨年とかわらず、通知指導後の実態のフォローも記述されていません。反農薬東京グループが、
業者あてにだした要望と回答は記事n01802にまとめてあります。
【農薬によるミツバチ被害について】別添4の<(1) 蜜蜂の被害防止対策>では、昨年の記述を改定した個所が
ありました。たとえば、以下の個所では、赤字部分が追加されました。
<ア 蜜蜂の被害に関する認識の共有>にあるB被害を軽減させるための有効な対策として、
・農薬使用者と養蜂家の間の情報共有
・巣箱の設置場所の工夫・退避
・農薬の使用の工夫(粒剤を使用する、蜜蜂の活動の盛んな時間の使用を避ける等)
があります。一方、昨年度記載されていた『巣門の閉鎖(併せて日陰に設置するなどの対応が必要)』が削除され
ています。これは、養蜂業者から、巣箱の温度があがり、ハチが蒸殺される恐れがあるとの懸念が示されたため
でしょう(記事t31707)。
さらに、水稲の斑点米カメムシ防除に関しては、
・農薬指導部局は、農業団体等協力を得て、蜂場が設置される可能性のある場所の周辺
(蜜蜂の飛翔範囲を考慮すれば、通常、蜂場から半径約2kmの範囲)の水稲のカメムシ
防除の時期等の情報を、畜産部局及び養蜂組合等にできる限り速やかに伝えること
(情報は、有人ヘリコプターによる農薬散布の事業計画、無人ヘリコプター
の空中散布計画や地域の農業団体が作成する防除暦等から得ること)。
との記載があります。空中散布については、前年の要綱には、無人ヘリコプターという語句は見られず、
ドローンと無人ヘリの両機種を意味する無人航空機となっていました。ドローンについては、実施主体が、
都道府県や国に空中散布計画を届け出る義務がないだけに、この指導が抜け穴にならないか心配です
( 下段の「緊急要望」の【質問2】と【要望3】も参照)。
★通知の別記〜ほぼ前年と同じ
具体的な対策は、通知に付随した下記の別記(全8頁)に記載されていますが、そのほとんどか前年とわらないままでした。
別記1 農薬による事故の主な原因等及びその防止のための注意事項
別記2 農薬の不適正使用の主な原因及びその防止対策
別記3 毒劇物たる農薬の適正販売強化対策
以上が、実施要綱の概略ですが、反農薬東京グループでは、農水省に<緊急要望:農薬危害防止運動について>を送付し、回答を得ましたので、下記に示します。
*** 囲み記事:農薬危害防止運動についてに関する緊急要望と農水省回答 ***
要望・質問文中、p-* は実施要綱の頁を示す。
【要望1】p3に『本年度の農薬危害防止運動については、新型コロナウイルス感染症の感染
拡大防止に十分配慮し、密閉空間、密集場所、密接場面を避けて実施するほか、外出自
粛などの各都道府県等の状況に応じて、可能な取組を進めることとする。』と。またp4
には、『新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に十分配慮し、例年行っていた講習
会等や対面での農薬使用者等への指導については、対面で実施しない又は時期を変更す
る等、各地域の実情に応じた柔軟な対応をとるものとする。』とあります。
これでは、いままでの講習会の参加人数を制限することにつながりかねません。
インターネットを活用したオンライン講習会を開催するようにしてください。
[回答]は、上記 趣旨について
【質問1】p7の 1 農薬による事故を防止するための指導等−(1)農薬使用時の事故防
止対策の周知- ア 農薬使用に当たっての防護装備着用の徹底 の項があります。
貴省は、3月はじめ、コロナ関連で、農業者の皆様へとして『農薬散布用マスクに係る
ご協力のお願い』をだされていますが、農薬使用現場でのマスクの不足や使用状況はど
うなっていますか。
[回答]農薬散布用マスクについて、例年の需要を満たす十分な供給量が確保されていると
考えていますが、引き続き、需給状況を注視してまいります。
【要望2】p8にある下記通知の全文を教えてください。URLでも結構です。
「被覆を要する土壌く取扱いの徹底について」
(令和2年3月11 日付号農林水産省消費・安全局長通知)
[回答]全国の地方農政局長等あての通知添付
通知の概要
・農薬使用者に対して農薬の適正な取扱いに関する指導の一層の強化を図るため、
都道府県が開催する講習会、ホームページ、チラシ等でクロルピクリン剤の
使用に伴う留意事項を周知するとともに、特に、下記の事項について、農業
者団体等の関係者と連携し、各地域の状況に応じたよりきめ細かな指導を行う
指導事項の3には『使用場所や周辺の状況に十分配慮して防除を行うこと。
特に、住宅地等に所においては、クロルピクリン剤の使用以外の防除方法を
検討すること。やむを得ず、クロルピクリン剤を使用する場合は、農薬の
揮散によって周辺住民等に健康被害が生じないよう、適正な材質及び厚さの
資材を用いて被覆を完全に行うなど最大限注意するとともに、事前に
周辺住民に対して十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること』とある。
・クロルピクリン剤の使用実態や、現場での指導方法について、
(貴局管下都道府県)※2に対し別添様式により調査を行うこととするので、
管下の各地域の実態を総点検して、結果を基に改めて指導を徹底する
とともに、調査結果の報告を依頼するようお願いする。
なお、その他の土壌くん蒸剤についても、その適正な取扱いに十分注意
することを併せて周知、指導いただくようお願いする。
(調査内容:「使用実態」「被覆の実施・指導状況」「使用・指導に係る課題」
調査期限:2020年3月31日で、報告様式添付あり)
【質問2】p19 4 有用生物や水質への影響低減のための関係者の連携−( 1 ) 蜜蜂の被
害防止対策−ウ 被害軽減のための対策の推進−A 農業団体等の協力を得て、農薬使用
農家に対し、以下の指導を行うこと。
にある)p22 蜜蜂に関して、『害虫の発生源になる圃場周辺等の雑草管理については、
これまでも栽培管理の一環として実施されてきたところであるが、蜜蜂の開花雑草への
訪花を防ぐためにも、農薬を使用する圃場の畦畔や園地の下草等の雑草管理を徹底する
こと』とありますが、
蜜源植物に他の作物の病害虫が発生し、当該作物に被害を与えるのは、どのような例
がありますか、作物名ごとに関連する雑草名がなにか教えてください。
[回答]圃場周辺等で蜜源となりうる雑草としては、水稲の畦畔のクローバー等があると
承知しています。
また、農薬を使用する圃場の畦畔や園地の下草等の雑草管理は、除草剤のような農薬の
使用を意味しますか。それとも、手取りや機械除草のような除草剤不使用を意味しますか。
[回答] 手取りや機械除草のほか、除草剤による管理も一つの手法と考えます。
一方、蜜蜂の蜜源を確保することは、重要なことですが、農薬を使用しないで栽培
している蜜源はどのように、なっていますか。蜜源の種類と面積の最近5年の推移
を教えてください。
[回答]蜜源植物植栽面積の推移と主な蜜源の種類については、以下、「養蜂をめぐる情勢」
の1ページ下段において、各県からの情報を元に整理していますので、御確認ください。
なお、農薬を使用しないで栽培している蜜源の状況については、把握しておりません。
【要望3】有用生物や水質への影響低減のための関係者の連携−(1) 蜜蜂の被害防止対策
−p20末尾のA 1)に『水稲のカメムシ防除の時期* 等の情報を、畜産部局及び養蜂組
合等にできる限り速やかに伝えること( 情報は、有人ヘリコプターによる農薬散布の事
業計画、無人ヘリコプターの空中散布計画や地域の農業団体が作成する防除暦等から得
ること』とありますが、
『・・・・・・・地域の農業団体が作成する防除暦等(使用者による無人マルチ
ローターによる散布計画を含む)から得ること』としてください。
[理由] p10-12にある無人航空機の項で、具体的な留意事項が記載されたのとは別に
安全ガイドラインでは、マルチロータの実施計画の都道府県への届けは廃止されたため、
ここでは、無人航空機が無人ヘリコプターの記載しかない。あらためてマルチロータも
強調すべきと思います。
[回答]水稲の防除に係る情報としては、各都道府県における地域の実情に応じた情報収集
の中で、無人マルチローターの使用者からの農薬散布計画の自主的な情報提供に
ついても情報を活用することとしています。
【要望4】クロルピクリンについては、要綱p25別記1の【人に対する事故】にある−2
農薬散布中−(1)原因の『C 土壌くん蒸剤の使用に当たって、直ちに被覆をしない、
十分な被覆を行わなかったなど適切な揮散防止措置を講じなかったことによるもの』と
の指摘と 同上(2)防止対策の『オ クロルピクリン剤等土壌くん蒸剤の使用に当たっ
ては、揮散した薬剤が周辺に影響を与えないよう風向き等に十分注意するとともに、直
ちに適正な材質、厚さの資材を用いて被覆を完全に行う』及び
同上3 農薬散布後−(2)防止対策の『イ 土壌くん蒸中は、適正な厚さの資材によ
る被覆状態を維持するとともに、ほ場に立て札を立てる等により、関係者以外の者の立
入りを防ぐ。』との指導があるにすぎません。
クロルピクリンの大気汚染は、散布中にだけ、おこるわけではありません。特に、周
辺住民の健康被害防止には、被覆中や被覆除去後の耕耘によるガス抜きに伴う汚染にも
留意せねばなりません。この視点で、距離を決めて、クロルピクリンを住宅地周辺で、
実施しないよう指導することを求めます。
[回答]土壌くん蒸剤の使用に当たっては、施用直後に適正な材質、厚さの資材を用いて被覆
を完全に行う等の安全確保を徹底するよう都道府県より指導をしているところです。本
年度の農薬危害防止運動においても、「土壌くん蒸剤を使用した後の適切な管理の徹
底」を重点指導項目としております。また、使用場所や周辺の状況に十分配慮して防除
を行うとともに、周辺に影響を与えないよう風向き等に十分注意することについても指
導しています。引き続き、使用者にクロルピクリンによる被害のリスクを認識し、被覆
の徹底等の適正使用が行われるよう指導してまいります。
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作成:2020-05-31、更新:2020-06-08