環境汚染にもどる
n02603#水戸市内の河川で魚毒事故〜原因は倉庫火災か?#20-05
5月2日昼ころ、茨城県水戸市内を流れる逆川の本郷橋付近で住民が死魚を発見しました。その後、5日に、同川で約110 kg,7日に合流している桜川で約210 kgのウナギやコイ,その他大小の魚が回収されました。原因を調査すべく、2日に、発見地点(本郷橋付近)の河川水を採取、簡易テストによりシアン,六価クロム,COD,DOの調査を実施、翌日に逆川の笠原橋で採取した河川水中の農薬が分析されました。茨城新聞の報道しかなかったため、詳細について、水戸市及び茨城県に問い合わせしました。
★茨城県は、詳細については情報公開請求しろと
下記のような問い合わせをしましたが、水戸市は、茨城県に報告してあるから、そちらに聞け、県の環境対策課水環境室からは『茨城県情報公開制度(茨城県情報公開条例)の手続きにより,閲覧又は写しの交付を受けることができます。』とのことで、詳細は不明のままです。
【茨城県への質問と回答】
(1)河川水の分析調査結果について、どのような調査をどの場所で実施されましたか。
農薬の分析については、その結果を採取期日、採水場所、検体数、分析対象農薬と検出値、
検出限界の一覧でお願いします。
[回答]水戸市が3日に逆川の笠原橋で河川水を採取し,チウラム等の農薬の分析を実施し,9種類の農薬が検出されております。また,水戸市は4日に桜川の柳堤橋で河川水を採取し,チウラム等の農薬の分析を実施しております。
(2)死魚の分析調査について、どのような調査をどこで、実施されましたか。
農薬の分析については、その結果を採取期日、採取場所、検体数、分析部位、分析対象農薬と
検出値、検出限界の一覧でお願いします。
[回答]へい死魚の分析調査については,本事案では実施しておりません。
(3)農薬汚染原因について、報道では、水戸市笠間にある農業用資材倉庫での火災が疑われていますが、
そのように考えられた理由はなにですか。
当該倉庫は、農薬販売者のものですか。農業者など農薬使用者のものですか。
この火災の経緯と保管されていた農業資材が何かを教えてください。
そのうち農薬について、どのようは農薬がどの程度被災しましたか。
保管されていたすべての農薬製剤とその数量でお願いします。
[回答]報道の内容につきましては,報道機関に直接お問い合わせ願います。
なお,県では,現在,魚のへい死の原因について調査中です。
(4)河川水及び死魚中に検出された農薬は。すべて、当該倉庫に保管されていたものですか。
保管農薬製剤が河川に流入したのは、なぜですか。
倉庫と河川との距離は、どのくらいありましたか。
[回答]報道の内容につきましては,報道機関に直接お問い合わせ願います。
なお,県では,現在,魚のへい死の原因について調査中です。
(5)河川水中の農薬濃度及び死魚数は、事故後どのように変化しましたか。
[回答]河川水の農薬濃度につきましては,水戸市が4日に桜川の柳堤橋で河川水を採取して,
チウラム等の農薬の分析を実施し,不検出又は3日の逆川での分析結果より低下
(環境基準が設定されているものについては基準値以下)していることを確認しております。
へい死魚につきましては,逆川と桜川でへい死魚を回収した後,新たな魚のへい死は
確認されておりません。
(6)被災後の農薬製剤の処理はどのうようになされましたか。
[回答]質問の「被災後」が,報道にありました倉庫火災についてでございましたら,
農薬製剤の処理につきましては,消防や警察に御確認願います。
(7)今回の倉庫火災及び農薬流出と河川汚染の結果、住民からのクレームや、健康被害の訴えが
ありましたか。あれば、その内容を日時を追って教えてください。
[回答]今回の魚のへい死事案につきまして,住民から問合せがございましたが,
その内容等につきましては,ご本人の承諾を得ておりませんので,ご回答を差し控えさせて
いただきます。
(8)同類事故の再発防止のため、どのような対策を指導されましたか。
[回答]本県では,茨城県緊急水質事案対策要領に基づき,県内の公共用水域の水質の緊急水質事案が
発生した場合,関係機関と連携して事案に係る影響の未然防止に努めております。
ご質問の「同類事故」が,魚のへい死(緊急水質事案)についてでございましたら,
引き続き茨城県緊急水質事案対策要領に基づき,関係機関と連携して対応してまいります。
報道にありました倉庫火災についてでございましたら,消防や警察に御確認願います。
以上,今後とも本県の環境行政への御理解と御協力をお願い申し上げます。
★倉庫火災との関連不明
結局、市、県からの回答では、河川水に検出された農薬はチウラムなど9農薬であり、死魚の分析も実施しておらず、死因は不明。農薬が流失した原因が火災と関連あるかも不明ということでした。なお、火災については、5月1日、同市の農業資材倉庫で発生したもので、水戸市の消防本部からは、直接、返事がなく、水戸市の市民相談室が聞いてくれた話では、火災現場は、市の公設卸売市場にある業者の倉庫で、農薬もあったが、製剤名や数量はわからない。現場と河川の距離は600mほどあり、汚染経路もわからない、ということでした。これでは、再発防止には役立ちません。今後、きちんと調査してもらいたいものです。
【追記】茨城新聞の6月11日付け《ニュースを追って》水戸の逆川で魚大量死 住民ら
不安の声 環境、生き物「いつ戻る」などによると。河川水から検出された
農薬10種で、チウラム、ピラクロニル。1,3-ジクロロプロペン(D−D)など、
火災倉庫の管理記録にはにはチウラムはなかった、とのことです。
なお、チウラムはゴム加硫促進剤としても使用されるので、別ルートかも。
以前にも、農業資材倉庫の火災、しばしばみられ、鹿児島県志布志町で、農薬3.4トン、農ビ150トンが燃えた事例のほか、 西東京市の種苗店の倉庫火災、山梨県中央市のクロルピクリン保管倉庫、三重県度会町のJA伊勢など、いくつもあり、農業資材は農薬だけでなく、ダイオキシンが発生する危険のある農ビなどの塩化ビニル製品の火災にも注意せねばなりません。
作成:2020-05-30、更新:2020-06-15