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n02604#農水省が2018年度の国産農作物の農薬使用状況公表〜不適切な使用は1農家の1件#20-05

【関連記事】記事n01502(2017年度)
【参考サイト】農水省:国内産農産物における農薬の使用状況及び残留状況調査の結果についての頁
        平成30年度結果の概要使用状況調査農薬別残留調査作物別残留調査

 農水省は、5月15日、2018年度の「国産農作物における農薬の使用状況及び残留状況調査結果」を公表しました。今号では使用状況調査の内容を報告します(2017年度は記事n01502参照)。

★調査対象農作物は10種、調査農家数476戸
 調査対象の作物は下表に示したように、コメ、大豆、日本なしと野菜類7の計10種で、コメ以外は、前年の調査になかったものです。調査対象農家数は、作物ごとに異なり、30から60戸で、合計476戸でした。例年同様、農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が、予め当該農家に農薬使用状況等記入簿を配布し、使用された農薬の適用農作物、使用量又は希釈倍数、使用時期及び使用回数の調査を行うものです。なお、農薬の使用状況を生産者団体等の独自の作成している帳簿等の様式に記入している農家については、当該様式に記載された内容に基づき、調査を行った、とあります。

 今回の使用調査では、不適正な使用(対象作物、使用量・希釈倍率、使用時期、使用回数)が、こまつな農家で1戸ありました。ダイアジノン粒剤の使用は、「は種時」「定植時」又は「出芽時」に土壌処理することになっており、残留試験では、最大残留値が0.02ppm以下のレベルなのに、当該農家のこまつなから、残留基準0.1ppmを大幅に超える0.5ppmが検出されたのは、異常です。帳簿には、「は種時」のみに使用したかのように記載されており、聞き取り調査で、さらに、使用量を正確に計量せずに、使用基準(6kg/10a)より多い使用量8.6 kg/10a)で使用していたこともわかりました。農家は、誤った使用量 又は希釈倍数で使用したということで、地方農政局及び都道府県から、農薬の適正使用の徹底を図るよう指導を受けましたが、罰則の適用はなかったようです。
 そのほか、表からわかるのは、作物ごとに平均何回の農薬が使用されるかということで、日本なしは32.1回、ピーマンは14.7回も使用していたのかとその多さに驚きます。

 残留農薬調査では、一律基準や残留基準を超えるケースは、コマツナ以外に、にんじんのイミシアホス1件がありましたが、農薬残留状況(農薬別作物別)については次号で報告する予定です。
対象農産物調査農家数農薬の
総使用回数
平均使用回数不適正使用の
あった農家数
誤った作物に
使用
誤った使用量又
希釈倍数で使用
誤った時期に
使用
誤った回数で
使用
米穀603235.40(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)
大豆302086.90(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)
日本なし60192732.10(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)
にんじん604617.70(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)
こまつな572574.51(1.8%)0(0.0%)1(1.8%)0(0.0%)0(0.0%)
しゅんぎく592344.00(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)
ブロッコリー302207.30(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)
非結球レタス301826.10(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)
にら301836.10(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)
ピーマン6088314.70(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)0(0.0%)
476487810.21(0.2%)0(0.0%)1(0.2%)0(0.0%)0(0.0%)
 (注)2017年度の対象作物は、米穀/ぶどう/だいこん/さといも/ほうれんそう/
    みずな/ねぎ/たまねぎ/なす/さやいんげんの10種。


作成:2020-05-30