表 2018年の時期別ミツバチ被害状況 (被害数/箱は、1巣箱あたりの被害頭数) *( )は最大規模の被害がでた巣箱数で、#はすべての巣箱が同等被害であることを示す。 発生時期 被害箱数 被害数/箱 発生時期 被害箱数 被害数/箱 H30年4月中旬 13(#) 1000 H30年8月上旬 15(7) 1万 H30年5月上旬 11 (2) 数百〜1000 H30年8月上旬 50(22) 5000 H30年5月下旬 2 (1) 3000 H30年8月上旬 2(1) 1000 H30年6月 中旬 82 (9) 2000〜3000 H30年8月上旬 12(8) 1500 ・周辺の農作物栽培状況:水稲(分けつ期)、 ・周辺の農作物栽培状況:水稲(出穂開花期) 大豆(3〜4葉期)、ウメ (果実肥大期)、 ・散布状況:空中散布は約800m〜1800m の距離 モモ (果実肥大期) 、 リンゴ(果実肥大期)、 実施計画が提出されていたが、 被害は 空中散布実施前に発生。 ブドウ (開花終期) 、オウトウ (果実肥大期) H30年8月上旬 19(1) 1000 、 クリ (開花期)、ブルーベリー(収穫直前) H30年8月上旬 50(40) 2000) 空中散布の計画はなし H30年8月上旬 10(#) 3000 H30年6月下旬 2 4万5000 H30年8月中旬 20(2) 1000 H30年7月上旬〜中旬 130(26) 6000 H30年8月中旬 17(1) 2000 H30年7月下旬 30(10) 2000 H30年8月下旬 8(3) 4000〜5000 H30年7月下旬 10(#) 6000 H30年9月上旬 37(#) 1000〜3000 H30年7月下旬 300?(#) 2万 H30年10月上旬 40(#) 2000★前年より被害数も規模の減少したが
・2018年6月中旬:被害箱数 82箱、1箱当たりの死虫数約2,000〜3,000匹 周辺の農作物栽培状況は、表参照 原因:空中散布の計画はなし/寄生ダニ及びその他の病害が認められない /死虫に認められる所見等から、原因は農薬である可能性がある /空中散布等の広域防除は実施されていないことから、原因ではない 対策:情報共有の徹底 ・2018年7月上旬〜中旬:被害箱数 130箱、1箱当たりの死虫数 約6,000匹 原因:事故発生直前に周辺農地において蜜蜂への影響が懸念される農薬の使用は確認されず /原因は特定できなかった 対策:水稲の無人航空機による防除計画の確実な情報共有/使用時の農薬ラベルの遵守の 徹底について指導 ・2018年7月下旬:被害箱数 300箱、1箱当たりの死虫数約20,000匹と規模が大きい。 (被害規模が大きすぎるので?をつけた) 原因:周辺の果樹園で使用された農薬の暴露による斃死の可能性が考えられる。 対策:養蜂家及び農薬使用者への注意喚起/防除時期の巣箱の退避指導/果樹園の下草管理の徹底 ・2018年8月上旬:被害箱数 19箱、1箱当たりの死虫数 約1,000匹 原因:死骸にダニや病気の寄生が確認されず、また被害が発生したと推定される期間中に、 周辺の水田圃場で無人ヘリコプターによる殺虫剤散布が実施されていた 対策:防除実施主体と養蜂家の間での情報の共有がうまく行かなかった部分があったことから、 防除実施主体からの情報提供をより確実に行える手法をとるとともに、養蜂家には 防除実施主体からの情報提供がない場合には防除実施主体に連絡をとるよう依頼 ・2018年8月上旬:被害箱数 50箱、 1箱当たりの死虫数 約5,000匹 原因:周辺の果樹園で使用された農薬の暴露による斃死の可能性が考えられる。 対策:養蜂家及び農薬使用者への注意喚起/防除時期の巣箱の退避指導/果樹園の下草管理の徹底 ・2018年8月上旬:被害箱数 50箱、1箱当たりの死虫数 約2,000匹 原因:周辺ほ場で農薬散布が行われていたことから、農薬への暴露が原因の可能性が高い 対策:蜜蜂被害防止対策会議の開催(1市、2町合同、年2回開催) /農薬散布計画の情報提供 (JA⇒養蜂組合⇒養蜂家)/町とJAとの共同で、農薬飛散防止の チラシを全農業者へ配布/蜜蜂農薬危害防止に関する連絡体制の整備による情報共有の推進 /蜜蜂被害状況の取りまとめと報告/農薬散布回数を減らす啓蒙指導 ・2018年9月上旬:被害箱数 37箱、1箱当たりの死虫数 約1,000〜3,000匹 原因:原因は特定できないが、周辺ほ場で農薬が使用されていたことから、農薬への暴露が 原因の可能性は否定できない。 対策:情報共有/巣箱の退避等の危害防止対策 ・2018年10月上旬:被害箱数 40箱、1箱当たりの死虫数 約2,000匹 原因:原因の特定は不能であるが、周辺に農地があることから、農薬への暴露の可能性は否定できない。 対策:養蜂業者へは、養蜂組合を通じて県から防除計画の情報を提供★行政の対策を批判する養蜂業界内の意見
・蜜蜂被害について行政に報告したところ、蜂蜜も回収され「分析して農薬が検出されたら 出荷停止になる」と言われた。このようなことでは、蜜蜂の被害報告ができない。 ・農薬の散布情報について、県外防除業者の散布計画の届出が必要 ・農家の散布時期に、巣箱を退避させても、粉剤や液剤の飛散で、被害がおこる。 ・農水省の被害防止対策に「巣門の閉鎖」と書かれており、農家に誤解されるとの会員の意見に 対して、協会は『農水省に削除するよう申し入れる。<蜜蜂の活動が最も盛んな時間帯 (午前8時から12時まで)を避け、可能な限り、早朝又は夕刻に行うこと>も文言の修正を求める』 としている ・斑点米カメムシ防除で、粒剤を使用しても、農薬は作物に吸収移行する。 ・死骸がまわりにない状況では、農薬かどうかわからない。その場合は、振興局などへの連絡だけで 報告となるようできないか。 ・農薬工業会で、蜜蜂がどのような花粉をとってきているか調べている。花粉に農薬が含まれtいるか 否かを調べていない。 ・イチゴの施設園芸で使用される農薬に「ミツバチにやさしい」と書かれているものがある。 これは、農家に間違った取扱いを助長させることになる。この文言を削除し、正しい使用方法を 大きく表示してほしい。 ・イチゴ農家では、籾殻を畑の畝にいれており、そこでは、蜜蜂が死んでいる。ハウスで大量死する こともある。 ・農薬は、水和剤か粒剤などの剤型のに関係なく、成分に問題がある。 ・昨年、農水省に提出された蜜蜂の農薬被害は21件しかない。問題解決には、数字が重要なので、 少しでも被害があったら声をあげてもらいたい。などです。さらに、業界内には、農薬について、蜂蜜中のネオニコチノイド類の残留基準が、アセタミプリド(0.2ppm)しかないため、すでに検出されているイミダクロプリドを含め、現行の一律基準を緩和する動きがあります。
*** 環境省パブコメの「生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申)*** |
★環境省の新たな評価方法〜野生ハナバチについて 【関連記事】記事n00805。記事/n00901. 【参考サイト】環境省:野生ハナバチ類に関するもので 「生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申案)」に対する意見の募集(3/19-4/17) 反農薬東京グループの意見、第二次答申のパブコメ結果について(6/26):パブコメ結果と第二次答申 以下に答申の概要をしめします。 野生ハナバチの農薬登録基準の設定について 1 基本的考え方 ・野生ハナバチ類については、第一次答申において示したとおり、植物の授粉に重要な役割を 果たす花粉媒介昆虫である ・欧米等において、農薬による被害のおそれがある対象としてリスク評価、規制が行われていること ・我が国でも、農林水産省が、養蜂用ミツバチに対するリスク評価を導入していること 等を勘案すれば、評価対象動植物に加えることが適当である。 2 農薬登録基準の設定方法 @当面の評価対象は、社会性を有する在来の野生ハナバチ類(ニホンミツバチやマルハナバチ等をいう) とし、蜂群が維持されれば個体群は維持されることを前提として、段階的な評価法を採用する。 A第1段階評価では、セイヨウミツバチを供試生物とした毒性評価、及び、セイヨウミツバチの 摂餌量等のデータを用いたばく露量の予測により、リスク評価(B〜F)を行う。 B 成虫の単回接触毒性試験を必須として要求するほか、成虫又は幼虫について、 農薬が残留した花粉・花蜜の摂餌に伴う経口ばく露が想定される場合、それぞれ 単回経口毒性試験を要求する。 C 要求された毒性試験ごとに、セイヨウミツバチの毒性値(LD50)を種間差による不確実係数(10) で除して、野生ハナバチ類の毒性値(換算値、LD50相当)を算出する。−以下略 D セイヨウミツバチの接触ばく露量は、1頭当たりの農薬付着量(70nL/bee)に、 有効成分濃度を乗じることにより推計する。セイヨウミツバチの経口ばく露量は、 摂餌量(成虫:150mg/day、幼虫:124mg/day)に、花粉・花蜜の農薬残留量(予測濃度)を 乗じることにより推計する。 E Dで得られるセイヨウミツバチの予測ばく露量に「ばく露確率」を乗じて、 野生ハナバチ類の予測ばく露量(成虫・接触ばく露量、成虫・経口ばく露量、 幼虫・経口ばく露量)を算定する。 F〜E −省略。 H AからGに掲げたリスク評価の結果、リスクが許容できないと判断される場 合には、 野生ハナバチ類への著しい被害のおそれがある(登録拒否)とする。 3 適用開始 養蜂用ミツバチに係るリスク評価が令和2年度から導入されていること、また、 野生ハナバチ類に係る農薬登録基準の設定にあたっては、セイヨウミツバチを 供試生物とする試験成績を用いることを踏まえ、可能な限り早い時期に、野生ハ ナバチ類に係るリスク評価を導入することが適当である。 |