食品汚染・残留農薬にもどる

n02804#厚労省の輸入食品監視調査結果−2019年11月〜2020年4月の残留農薬基準違反は64件#20-07
【関連記事】記事n02003(2019年5月〜10月)
【参考サイト】厚労省:輸入食品監視業務の頁にある違反事例

 記事n02003に続き、厚労省管轄の検疫所での輸入食品検疫検査で、残留農薬が基準を超えて検出された事例について、2019年11月〜2020年4月の半年分をまとめました。
 なお、この調査は、残留基準に適合するかどうかを判定するもので、基準より低い残留量は発表されませんが、厚労省は。別途、自治体等の調査データを基に、作物ごとの残留範囲や農薬ごとの一日摂取推定量を、pdf版で詳細報告書を公表しています。囲み記事にあるリンク先を参照ください。

★違反件数は64件28品目の食品で、23種の農薬に基準超え
 残留基準又は一律基準違反数は前の半期と同じ64件(検体数では62件)で、うち、残留基準違反16件、一律基準0.01ppm違反は46件)で、多いのは2019年11月18件、同12月13件、2020年3月9件、月平均10.7件でした。
半年間に、23カ国、28品目の輸入食品(冷凍や加工食品も含む)から23種の農薬の食品衛生法違反(検出範囲は、カザフスタン産はちみつ加工品のクロラムフェニコール0.004ppm〜カナダ産ポップコーンのデルタメトリン及びトラロメトリン合算1.4ppm)がありました。
 違反を摘発した検疫機関は12個所で、件数が多い検疫所は横浜16、東京11、成田空港7件の順でした。違反が判明したのは命令検査とモニタリング検査がいずれも24、自主検査が12件ありました。下表に、食品別、生産国別、農薬別の件数を違反の多い順に示します。

【食品別の違反】
 表(a)の食品別違反で、前の半期10件あったとうがらし類が11件(うちインド産でトリアゾホス5件)に、7件あったカカオ豆が9件(すべて2,4-Dで、ガーナ産4件、エクアドル産3件)に、2件であったポップコーンは8件(すべてデルタメトリン及びトラロメトリンで、うちアメリカ産が7件)に増え、ワースト3になっています。4位は、アボガドが5件(メキシコ産で、ビフェントリン)となりました。
 前半期4件あったスリランカとベネゼラはゼロとなっています。

【生産国別の違反】
 表(b)の生産国別違反では、前の半期ゼロであったインドが10件で、ワースト1位に浮上しました。これは、すべてトリアゾホスで、香辛料のとうがらし5、ういきょう3、カルダモン2件でした。2位は、アメリカの8件で、とうもろこしやポップコーンのデルタメトリン及びトラロメトリンでした。前半期から10件減少した中国も8件で、とうがらし、ごぼう、ににくの葉、しそ、しょうがなど野菜類の違反が多くみれらました。
 前の半期違反がみられたスリランカとベネゼラはゼロとなりました。

【農薬別の違反】
 表(c)の農薬別違反件数では、トリアゾホス11(すべて香辛料で0.02〜0.35ppm)、デルタメトリン及びトラロメトリン合算11(ポップコーン8検体など4食品で、0.02〜1.4ppm))。2,4-D10件(すべてカカオ豆で、0.02〜0.55ppm)の3農薬が前の半期より倍増して、上位3位となりました。ついで、ビフェントリン5件(すべてアボカドで0.02〜0.11ppm)、クロルピリホス4件(そばや野菜類で0.03〜0.17ppm)ありました。前の半期で、8件あった(中国産のたまねぎやねぎが多い)チアメトキサムは1件に減り、2件づつあったイマザリル、フィプロニル、メトキシフェノジドはそれぞれゼロとなっています。

【違反の原因と措置】
 違反原因については、前半期と同じくすべての事例で不明となっています。
 違反食品の措置については、廃棄、積み戻し等を指示(全量保管)が53件と最も多く、全量廃棄済みは中国産のしそ1件で、イソプロカルブとフェノブカルブの基準違反が成田空港で摘発されています。
  全量消費済みの1件(イタリア産パセリのボスカリド基準違反)を含め、廃棄、積み戻し等を指示(一部販売済み、残余保管中)の7件は、すでに消費者が食べていることになります。ちなみに後者の内訳は、台湾産バナナ(基準違反ピラクロストロビン)、カナダ産果実調整品(同プロフェノホス)。中国産ごぼう(同クロルピリホス)、オランダ産セルリアック(同クロルプロファム)、インドネシア産パイナップル(同テブコナゾール)、フィリピン産パパイヤ(同デルタメトリン及びトラロメトリン)、ハンガリー産はちみつ加工品(同クマホス)の各1件づづです。
  表  2019年11月〜20年4月の内容別違反件数  ( )は前の半期の違反数
 (a)食品別                (b)生産国別                       (c)農薬別
 食品名                 違反件数       生産国名       違反件数      生産国名               違反件数         
 とうがらし類            11(10)            インド            10(0)	   トリアゾホス                   11(5)
 カカオ豆                 9(7)             アメリカ合衆国     8(11)	   デルタメトリン 
 ポップコーン(爆裂種)      8(2)             中華人民共和国     8(17)	          及びトラロメトリン      11(4)
 アボカド                 5(2)             ベトナム           5(5)	   2,4-D                         10(5)
 フェンネル(ういきょう)   3(0)             メキシコ           5(2)	   ビフェントリン                  5(3)	
 はちみつ加工品           2(0)             ガーナ             4(2)	   クロルピリホス                  4(4)	
 カルダモン類             2(0)             エクアドル         3(1)	   プロピコナゾール                3(4)
 青龍菜                   2(0)             カナダ             3(0)	   プロシミドン                    3(3)
 その他の果実の調整品     2(0)             フィリピン         2(2)	  プロフェノホス                  2(0) 
 二枚貝類,切り身鯨肉   各1(二枚貝、        マレーシア         2(0)	   アセフェート                    1(3)
             うなぎ各1)        タイ               1(3)	   チアメトキサム                  1(8) 
 セルリアックなど15食品   1                台湾               1(1)	   トリシクラゾール                1(2)	
 セロリ                0(6)             イタリアなど11カ国 1	          イソプロカルブなど12農薬         1
 たまねぎ               0(4)             スリランカとベネゼラ 0(4)         イマザリル、フィプロニル、
 ねぎ                 0(3)                                                メトキシフェノジド       0(2)
 さといもとナツメ       0(2)

*** 囲み記事:厚労省のHPにある検査命令と食品中の残留農薬等の頁より ***

厚労省の輸入食品に対する検査命令

2019年11月14日 インド産フェンネルの種子、その加工品(トリアゾホス)
2019年12月5日 ベトナム産赤とうがらし、その加工品(プロピコナゾール)
2019年12月24日 マレーシア産ゆり科野菜、その加工品(クロルピリホス)
2020年3月25日 オランダ産セルリアック()その加工品(クロルプロファム)及び
 ベトナム産きだちとうがらし、その加工品(トリシクラゾール)
2020年6月15日 中国産にんじん、その加工品(トリアジメノール)

食品中の残留農薬等調査

食品中の残留農薬等検査結果 平成27年度検査結果についてまとめ作物別全体版(944p))
平成28年度検査結果についてまとめ作物別全体版(946p)
食品中の残留農薬等
   平成29年度結果まとめ平成30年度結果まとめ
- H26年以前はリンク略-
食品中の残留農薬等一日摂取量調査結果 平成27年度調査結果平成28年度調査結果
平成29年度調査結果- H26年以前はリンク略-

作成:2020-07-31