環境汚染にもどる
n02902#大分豪雨水害による農薬流出と富山・日産化学の火災続報#20-08
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前号で紹介した日産化学富山工場の火災と大分県日田市の豪雨による農薬流出について、問い合わせに対する回答が届いたので、紹介します。
いずれの回答も、推定にすぎず、科学的データが開示されていないという共通点があります。
【日産化学からの回答〜富山工場の倉庫火災】
事故の経緯等は以下の通りで、塩素系ガスなどの工場内外の環境調査については、試料採取場所や具体的数値は、公表されてませんでした。
・午前4時30分頃一般倉庫で出火し.4時52分消防局通報・公設消防出動、
5時30分頃周辺地域への広報実施した。鎮火は8時39分で、工場周辺の
小中学校に対しては、火災事故の状況説明含め、当日中に報告した。
・富山工場では、塩素化イソシアヌル酸系殺菌・消毒剤を製造しており、
当該倉庫には、塩素化イソシアヌル酸系殺菌・消毒剤の原料、製品と
少量の規格外品を保管されていた。
・火災により、焼損した規格外品は、塩素化イソシアヌル酸系原料の他に
複数原料を混合した製品粒度が規格範囲を外れたものである。
・規格外品は、高温多湿の状況下で発熱しやすい性質がある当該洗浄剤を
専用の包装材に入れて保管していたが、包装不良による吸湿にて発熱、
その付近の紙製容器等が燃えたものと推定している。
・ガス検知は塩素ガス検知管にて測定、人体や健康に影響が出ない基準値
未満を確認した。当該ガスの検知は、風下中心に敷地境界および1km
範囲内で実施した。
・工場内外の大気、土壌、水系(工場廃水も含む)などのダイオキシン類の
調査は行っていない。
・消防当局による指導内容:
@自動火災報知設備の点検・復旧
A当該建物の施錠とパトロール実施
B監視カメラ設置
対策:@交換・復旧済、A即時実施、B設置予定)
・ひとへの影響:火災当日、地域住民の方より状況確認・外出可否等に
関する問い合わせがあったが、住民や従業員から 翌日以降は連絡はない。
洗浄剤が吸湿により発熱し、発火原因となったとされていますが、この結論は、専門家による原因調査の結果ですか。吸湿で、何度くらいになりましたか。
吸湿により発熱する物質を、可燃物とともに、保管することは危険なことは自明ですが、本件の発火のメカニズムを事例や文献などで、教えられたい。との問いには、『社内考察によるもので、事例や文献はございません。』との回答でした。
【日田市環境課からの回答:玖珠川に流出した農薬製剤】
令和2年7月豪雨で、7月7日に、大分県日田市天瀬町(あまがせまち)で、玖珠川(くすがわ)が氾濫し、JAおおいたの農薬倉庫が河川水と土石の流入で、損壊し、保管していた農薬が河川に流出したことは、前号で報告しました。その経緯を日田市に尋ねました。
保管されていた農薬製剤、流出した製剤、回収された製剤のの種類と数量を尋ねたが、総量しか明示されませんでした。
・令和2年7月7日(水)午前10:30頃JAおおいた天瀬支店裏手の河川
対岸斜面が崩落し、飛来した岩石等によって店舗が破壊された。、
・商品(農薬含)が店舗内や河川と反対方向の駐車場に散乱しているのを
農協職員が確認した。
農協発表情報*;農薬総重量 保管時 1,104kg、回収 1,081kg。 回収率 98%
(うち劇薬である農薬) (57kg) (57kg) (100%)
*:JAのHP https://jaoita.or.jp/important/5858 7月27日現在
現在も継続的に回収作業を行っているところです。
・ 農薬流出が原因で、ヒトのクレームや被害、魚介類などの水生生物の被害報告は、
7月30日現在ない
・その後の河川の現況として、最近まで災害の影響で河川が増水しており、人が川に
近づけない状態が続いていた。 7月30日現在、河川の変化は見当たりません。
流出後の玖珠川水系の農薬濃度を調べられましたかという問には、『現時点で未回収の農薬の全量(23kg)が河川に流出したと仮定した場合、1時間後の濃度は0.009ppmと推計されます(想定水量:2,380,000m3)。よって河川に流出した可能性のある農薬量は少量となっており、魚類等の水生生物への影響は無いものと考えます。』との回答で、水系中の農薬分析調査は実施されなかったようです。
作成:2020-08-30