農薬の毒性・健康被害にもどる

n03204#埼玉県熊谷市で、野鳥50羽が死亡〜殺虫剤メソミルら検出/鳥インフルエンザも猛威#20-11
 農薬による野鳥の大量死事件は 前号記事n03102で紹介した札幌市につづき、仙台市では殺虫剤混入コロッケでカラス7羽、さらに、11月下旬には、埼玉県でもドバトの大量死が発覚しました。
 野鳥や養鶏に高病原性鳥インフルエンザで大きな被害がでていることにも注視してください。(こちら)。

 【追加情報】埼玉県では、2021年1月16日越谷市で、26日と28日狭山市で、カラスなどの野鳥の大量死が発覚し、農薬シアノホスらが検出されています(県政ニュース:1/181/29)。

★熊谷市で、ドバト50羽が死亡しました
【関連記事】記事n03102
【関連サイト】埼玉県:ドバト約50羽の死亡事例(11/21)

 埼玉県の発表によると、11月20日、熊谷市で、約50羽のドバトの死骸がみつかり、胃内容物から殺虫剤メソミルなどが検出されました。
 環境部みどり自然課の報告及び問い合わせへの回答によると、大量死の経緯は、以下のようです。
 ・11月20日、熊谷市久保島地内(事業所敷地及びその周辺)で、ドバト約50羽の死骸発見。
   発見者から熊谷市を通じて埼玉県北部環境管理事務所に通報。
   県が死骸回収。
 ・鳥インフルエンザ簡易検査を10羽について実施、すべて陰性。
 ・埼玉県環境科学国際センターで、ドバト(カワラバト)10羽の胃内容物分析。
   10羽からカーバメート系殺虫剤「メソミル」検出、
   9羽からジチオカーバメート系殺菌剤「チウラム」検出、
   1羽からフェノキシ酸系除草剤「メコプロップ」検出、
   定量はしておらず、死亡原因となった農薬成分は不明。
 ・県による、現場での死亡個体や周辺を含めた状況の確認及び聞き取り調査
   @周辺で麦の播種作業が行われており、種子消毒にチウラムが使用されていると想定される。
   A周辺で毒物を混入した餌は発見されていない。不審な餌もない。
   Bドバトの移動範囲内での摂食行動に起因する可能性が考えられる。
 さらに、県は、摂取経路が明確でないため、再発防止を含め、農薬使用について以下を実施しているとのことです。
   @熊谷市に当該事件の情報を提供し、周辺住民に対し野鳥の死骸を見つけても素手で
    触らないようにするなど注意喚起の広報を依頼した。
   A環境管理事務所等が現場及びその周辺での野鳥の不審死等がないか定期的なパトロール確認を行う。
   B市町村や農協等を通じ、農薬の適切な保管・管理及び使用について周知徹底する。
   C農薬使用者に対して、適用作物・希釈倍率・使用量の確認、飛散防止対策、
    使用記録の整備等、適正使用の啓発を行う。
   Dドローン等の農薬散布による空中散布事業の安全性を確保するため、実施主体に対し、
    散布計画の提出を求める。
★環境省の法規制だけでは、野鳥大量死はなくならない
【関係サイト】熊谷市:鳥獣被害防止計画
       環境省;鳥類の農薬リスク評価・管理手法マニュアル

 環境省は「鳥類の農薬リスク評価・管理手法マニュアル」(記事t24805記事t26403参照)を発出しています。
 このマニュアルのパブコメ意見募集の際、私たちは、毒餌による野鳥死があとをたたないため、犯罪捜査や法律による取締りを強化する必要がある』を明記するよう求めましたが、同省は『鳥類に対する農薬リスク評価・管理の具体的なツールを提供することが目的であって、犯罪捜査や法律による取り締まりの促進を目的としたものではないことから、ご意見のような記述は本マニュアルに馴染まないと考えています』とされ、採用されませんでした。

 熊谷市の鳥獣被害防止計画では、対象となる野鳥は、カラス、ドバト(カワラバト)、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、カモ、カワウとなっており、2018年度のドバトによる作物被害は、水稲や麦など4アール(被害額2.9万円)とスズメ45アール(23.6万円)、カラス20アール(27.9万円)にくらべ多くありません。
 農薬の通常散布で野菜類にドバトを殺すほどのメソミルが残留していたとは思えず、許可なく野鳥を殺してまで対策をとる 理由も不明です。人為的に意図された毒餌がばらまかれた可能性が強いのですが、県の見解は、『ドバトの移動範囲内での摂食行動に起因する可能性が考えられる。』と抽象的な内容にとどまっており、移動範囲に毒餌があったかどうかの調査についての言及もありません。

 環境省所管の鳥獣保護管理法(「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」)では、野生のハトは、保護対象であり、駆除のために殺傷・捕獲・卵を捨てるには、環境大臣又は都道府県知事の許可が必要です。
 しかし、餌の豊富な市街地で繁殖するドバトは、マンションなどでの営巣、糞害などで、ヒトの生活環境に悪影響をあたえるため、ドバトを狩猟鳥獣に加えて、処理可能にしようとしましたが、ドバトと飼鳩の区別がつかないとして、指定は見送られ、みだりに給餌しない/ハトが寄り付かないようにするなどの対策におわりました(環境省通達「ドバトによる被害の防止について」参照)。

 メソミルは、ラットの半数致死量が12〜48、ニワトリが28mg/kg体重となっており、毒劇法で、毒物に指定(45%以下の製剤は劇物指定)されています(記事t26805)。毒性が強いため、毒餌として用いられ、カラスやドバトが、殺傷されるという保護法違反の事例があとをたちません。熊谷市の場合も、メソミルが検出されており、人為的に意図した鳥殺しの疑いが残ります。
 身の回りにある農薬のような毒性の強い製品をドバトの殺傷に使用することはゆるせないとの思いから 埼玉県には、以下のお尋ねと要望を送付し、回答を得ましたが、第5項目については、一部しか返事がありませんでした。
  *** 埼玉県環境部宛ての お尋ねとお願い  ***
 1、ドバトの死亡について、発見から、現在にいたる経緯を、日を追って
  教えてください。→記事本文参照
 
 2、死亡場所と被害について 
  (2-1)「久保島地内」とありますが、番地でいえば、どのあたりですか。
   [回答]公開していないため、回答は控える
  (2-2)死亡したドバト個体が見出されたのは、何メートル範囲ですか。
   [回答]半径150m程度
  (2-3)ドバト死亡状況はどのようでしたか。
   [回答]外傷や嘔吐
  (2-4)ドバト以外の野鳥などの被害状況はどのようでしたか。
   [回答]ドバト以外の被害なし。

 3、農薬の検査について →記事本文参照
 4、農薬摂取の原因について→記事本文参照
 5、再発防止対策について →一部、記事本文参照
  (5-3)農薬の適切な保管・管理及び使用についてですが、販売者の義務として、毒劇法の
    指定の有無に拘わらず、購入者に口頭及び文書で、使用上の注意を説明した上、
    住所氏名を記載してもらうことが必要かと思いますが、いかがお考えですか。
  (5-4)農薬使用者については、無人ヘリコプター空中散布だけでなく、ドローン空中散布、
    地上散布についても、通知「住宅地等における農薬使用について」の別紙2-(5)を遵守し、
    使用計画を予め、行政機関へ届け出る義務が必要と思いますが、いかがお考えですか。
  (5-5)現在、県の条例・指針・要綱等で、上記(5-3)、(5-4)を指示する条文がありますか。
    あれば、条文を教えてください。なければ、ぜひ、条文化してください。
 以上

★鳥インフルエンザも、ケージ飼いニワトリで拡大中
【関連サイト】高病原性鳥インフルエンザ関連の情報
      農水省:
鳥インフルエンザに関する情報
           令和2年度 国内における高病原性鳥インフルエンザ発生事例について
      環境省:高病原性鳥インフルエンザに関する情報野鳥家禽
      北海道:鳥インフル情報の頁
      香川県:高病原性鳥インフルエンザに関する情報
      鹿児島県:鳥インフルエンザ関する情報11/20出水市環境水11/27同市ツルのねぐら水
      新潟県:野鳥に関する鳥インフルエンザについて11/25阿賀野市環境水検出事例
      兵庫県: 高病原性鳥インフルエンザ情報11/28淡路島市での発生事例
      福岡県:高病原性鳥インフルエンザの発生に関する情報
               11/25第一回本部会議11/25第一報同日第二報
      宮崎県:高病原性鳥インフルエンザ第一回本部会議11/30日向市第一報12/01第二報
            令和2年度宮崎県内での発生に関する情報
      岡山県 高病原性鳥インフルエンザについて
      奈良県 高病原性鳥インフルエンザの頁情報提供
      高知県 鳥インフルエンザ関連情報(令和2年度)

 コロナによる新型インフルのヒトへの感染が問題となっていますが、鳥の世界でも、野鳥及び密な養鶏場のニワトリに高病原性鳥インフルエンザが拡大しつつあります。
 10月下旬に北海道紋別市で、カモ類の糞にウイルス検出されたのを皮切りに、11月にはいって、鹿児島県出水市でツルのねぐらの水、カモ類の糞や死骸でも陽性が見つかっています。香川県三豊市では、養鶏場のニワトリ3800羽が死亡し、ウイルスが確認されたため、33万羽の殺処分が実施され、その後も、東かがわ市など県内の養鶏場で防疫措置がとられています。同県では、渡り鳥が飛来するため池が多いことも懸念材料になっています。
 そのほか、新潟県阿賀野市、兵庫県淡路島、奈良県五條市、岡山県矢掛町、福岡県宗像市、宮崎県日向市/都農町/都城市/小林市、高知県でも、ウイルスの確認調査がなされ、養鶏の殺処分や防疫措置がとられたりしています。ニワトリの大量感染死や処分の一因が密なケージ飼いであることを忘れてはなりません。
 なお、農水省や環境省が発信している県別の高病原性鳥インフルエンザ関連情報は一覧表や環境省の鳥インフル情報サイトをごらんください。

作成:2020-11-30、更新:2020-12-09