農薬の毒性・健康被害にもどる

n03804#埼玉県狭山市で、また、カラスの大量死が発生〜こんどもシアノホス検出#21-05
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 埼玉県狭山市内で、4月下旬から5月上旬にかけて、カラスの死骸が合計14羽みつかりました。同県では、昨年11月に熊谷市で約50羽のドバトが死亡し、殺虫剤メソミルや殺菌剤チウラム、除草剤メコプロップなどが検出され(記事n03204)、本年1月にも、越谷市と狭山市で、カラスなどの野鳥の大量死がみつかりこの時は、有機リン化合物「シアノホス」、有機塩素化合物「フサライド」、合成ピレスロイド「エトフェンプロックス」が検出れています(記事n03504)。
 両事例について、当グループは、その都度、県に問い合わせをしています(20年11月21年2月)。  これらの文書への回答では、   農薬の摂取経路(たとえば、毒餌があたえられたとか)について、不審な餌の有無は、警察の捜査にまかせており、担当部署は知らないとのことでした。
 また、再発防止のために下記の要望していますが、具体的な対策は示されませんでした。

  (a)熊谷市に県から情報提供するとのことですが、同類の被害がおこらないため、     どのような方法で、どのような情報を提供し、市民への注意を喚起されますか。   (b)周辺のパトロールを強化するとのことですが、今後、どのように強化されるか、     具体的な内容を教えてください。   (c)農薬の適切な保管・管理及び使用についてですが、販売者の義務として、毒劇法の     指定の有無に拘わらず、購入者に口頭及び文書で、使用上の注意を説明した上、     住所氏名を記載してもらうことが必要かと思いますが、いかがお考えですか。   (d)農薬使用者については、無人ヘリコプター空中散布だけでなく、ドローン空中散布、     地上散布についても、通知「住宅地等における農薬使用について」の別紙2-(5)を     遵守し、使用計画を予め、行政機関へ届け出る義務が必要と思いますが、いかがお考えですか。   (e)現在、県の条例・指針・要綱等で、上記(c)、(d)を指示する条文がありますか。     あれば、条文を教えてください。なければ、ぜひ、条文化してください。

★4月と5月の事例〜カラスにシアノホス
 狭山市内では、カラスの死亡事例が相次いで見つかりました。4月26日と28日、5月7日には、市民からの通報で、合計カラス14羽の死骸が確認されました。鳥インフルエンザ検査結果は陰性でしたが、化学分析した12羽から有機リン剤「シアノホス」が検出されました。検出濃度不明で、「シアノホス」とカラスの死亡との因果関係は不明とのことです。県が明らかにしているのは、下記のようです。

 【発生場所】狭山市(新狭山地内、東三ツ木地内)  【発生状況】    ・4月26日:狭山市から西部環境管理事務所へ通報        西部環境管理事務所が現地を確認し、カラス4羽の死亡を確認、全ての死骸を回収    ・4月28日:狭山市から西部環境管理事務所へ通報       西部環境管理事務所が現地を確認し、カラス 4 羽の死亡を確認、うち2 羽の死骸を回収    ・5月 7日:狭山市から西部環境管理事務所へ通報 西部環境管理事務所が現地を確認し、カラス 6 羽の死亡を確認、全ての死骸を回収  【検査結果】   ・鳥インフルエンザ簡易検査:12羽全て陰性    ・胃内容物の化学物質検査:12羽全てから「シアノホス」を検出  【今後の対応】    ・野鳥の死骸を見つけても素手で触らないように注意喚起します。    ・周辺のパトロールを強化します。    ・農薬の適切な保管・管理及び使用について周知徹底します。

 県があげた再発防止対策はいままでとかわりなく、具体的な強化策はわかりません。私たちの上述の要望を真摯に受け止め、とくに、(c)販売者の義務化、(d)使用者の義務化、(e)県の条例・指針・要綱等の設定を早急に実施すべきと思います。

作成:2021-05-28