食品汚染・残留農薬にもどる
n03902#厚労省の輸入食品監視調査結果−2020年11月〜2021年4月の残留農薬基準違反#21-06
【関連記事】記事n03302(2020年5月-2020年10月)
【参考サイト】厚労省:食品中の残留農薬等の頁にある食品中の残留農薬等調査:
輸入食品監視業務の頁にある違反事例
輸入食品違反事例(2020/4-21/3月分、xls版)と2021/4-5月分
なお、この調査は、基準より低い残留量は発表されません。残留分析結果そのものを公表している機関はあまりなく、東京都健康安全研究センター調査が参考になります(2018年度の調査を紹介した記事n03402など)。
★違反件数は延べ88件(実検体数85)〜31品目の食品で、30種の農薬に基準超え
残留基準又は一律基準違反の延べ件数は前の半期より19件増加の88件(うち、一律基準0.01ppm違反は71件)で、事例公表の月別件数は、8-19件でした。
半年間に、17カ国(うち中国25件、ベトナム19件が目立つ)、31品目の輸入食品(冷凍や加工食品も含む)から30種の農薬の食品衛生法違反(検出範囲は、ペルー産バナナのフィプロニル8ppb〜ベトナム産のトウダイグサ科の植物アマメシバのペルメトリン8000ppb)がありました。また、ニュージーランド産のハチミツには、除草剤グリホサートが20又は60ppb検出されたものもあり、汚染経路は不明なのが、懸念されます。
違反を摘発した検疫機関は17で、件数が多い検疫所は東京と神戸二課12、成田空港11、神戸と大阪10、下関7、関西空港6、福岡5件の順でした。違反が判明したのはモニタリング検査が43、命令検査が35.自主検査が7件ありました。
食品別、生産国別、農薬別の件数を違反の多い順に表1に示します。
表1 2020年11月〜21年4月の内容別違反の延べ件数
(a)食品別 (b)生産国別 (c)農薬別
ニンジン 14件 中華人民共和国 25件 ヘキサコナゾール 12件
トウガラシ類 10 ベトナム 19 プロシミドン 8
カカオ豆 7 タイ 9 2,4−D 7
タマネギ 6 大韓民国 8 ジメトモルフ 7
ハチミツ 6 ニュージーランド 6 チアメトキサム 7
バナナ 6 台湾 4 グリホサート 6
オオバコエンドロ5 メキシコ 3 デルタメトリン及び 4
ブロッコリー 4 エクアドル 3 トラロメトリン
アマメシバ 3 プロピコナゾール 4
違反数2件の食品 違反数2件の生産国: プロフェノホス 4
:にらなど5種 コートジボワールなど2国 ペルメトリン 3
同1件の食品:いちごなど12種 同1件の生産国: 違反数2件の農薬:
ほかに鯨肉/活うなぎ/活あさり アメリカなど7国 イミダクロプリドなど5種
同1件の農薬:
クロルピリホスなど14種
【食品別の違反】検出数が14件のニンジンは、中華民国産とベトナム産がそれぞれ7件づつで、前者では、殺菌剤ジメトモルフ(検出範囲:20-130ppb)が、後者では、殺菌剤ヘキサコナゾール(10-130ppb)が検出されました。トウガラシ類の10件では、韓国産が6件.ベトナム産3件。中でも、韓国産の赤トウガラシにテトラコナゾール400ppbやヘキサコナゾール200ppbが、ベトナム産の冷凍青トウガラシにプロピコナゾール260ppbが見出され例が気になります。
カカオ豆の7件の国別内訳は、エクアドル3、ベネズエラとコートジボワール各2件で、いずれも2,4-Dの残留(20-160ppb)でした。
それぞれ6件の違反があったタマネギは中華民国産にチアメトキサム(30-40ppb)、ハチミツは上述のようにニュージーランド産にグリホサートが残留していました。バナナは台湾産は3件で、うち、2件はデルタメトリン及びトラロメトリン(20と60ppb)、1件はイミダクロプリド50ppb、ベトナム産ではペルメトリンが、ペルー産とフィリピン産にはフィプロニルが検出されました。
水産物や畜産物の残留農薬では ノルウェー産鯨肉にヘプタクロル、台湾産活うなぎにレバミゾール、中華民国産の活あさりにプロメトリンが見つかりました。
【生産国別の違反】中華民国の25件が一番多く、特に、野菜類での残留が目立ちました。ニンジンのジメトモルフルフ7件、タマネギのチアメトキサムが6件、ブロッコリーのプロシミドン4件のほか、バレイショ、ニラ、ホウレンソウなど多種にわたります。
ベトナムの19件では、ニンジンのヘキサコナゾール7件のほか、アマメシバ、シソクサ、オオバコエンドロなどでも、ルフェヌロン、プロフェノホスほかが検出されています。
【農薬別の違反】殺菌剤のヘキサコナゾールの違反が一番多く、12件で、ベトナム産のニンジン6件でのヘキサコナゾール残留(20-130ppb)が目立ちます。次ぎに多いのは、プロシミドンの8件で、半数は中華民国産のブロッコリー(20-40ppb)、検出値ではニラの170ppb高かったです。
除草剤の2,4−Dの7件は、すべてカカオ豆、同じくグリホサートの6件は、すべてハチミツでした。
複合違反例は、タイ産及びベトナム産オオバコエンドロとタイ産スナップエンドウに各1件ありました。
【違反原因】残留違反の原因については、調査がなされ。判明しているものは、少なく、下記のように、20%の10件しかありません。
隣接農場からのドリフトによる汚染 5
日本の基準の認識不足 2
規格基準改正前の値で管理していた 1
使用時期の記録及び報告漏れ 1
農薬が使用された地域から密を採取したと推測 1
記載なし 78
【措置別】違反判明後、どのような措置をされたかについては、下記のようで、約70%が廃棄・全量保管となっています。
このうち、全量消費済は、韓国産トウガラシ、タイ産オクラ、台湾産活うなぎ。
全量販売済は、ベトナム産アマメシバ/シソクサ/ドリアン、メキシコ産いちご、タイ産オオバコエンドロでした。
廃棄、積み戻し等を指示(全量保管) 61 積み戻し 3
全量販売済み 7 全量消費済み 3
一部消費済み、残余廃棄 6 廃棄 3
廃棄、積み戻し等を指示 4 廃棄、積み戻し等を指示1
(一部販売済み、残余保管中) (調査中)
2021-06-28